船旅 小話
たぶん深夜頃。
やましい気持ちで寝付けない私は静かに起き上がった。少し離れた隣のベッドではルッカが寝息を立てている。
船なので緊急時に避難出来るようにか部屋は真っ暗ではなくオレンジの照明が点いている。
なので動ける程度には見える。
ちょっとだけ……。
下心に負けてそっと自分のベッドから降りてルッカの近くへ行き、しゃがんでその寝顔を眺める。
寝ててもかっこいいって狡いな。
すっと高い鼻、薄い唇、長い睫毛。
2年前に見た寝顔は可愛かったけど今は男性っぽくなっててドキドキする。
私だけ眠れなくなってて悔しいわ。
寝込みを襲うのはダメよ。
わかっております!でもちょっと私に対して無警戒過ぎると思うのです!
信頼されてるのよ。
そうですね!頑張って我慢します!
脳内で一人芝居をやりながらじっと見つめる。
美人は3日で飽きるって絶対嘘だよなぁ。
全然飽きないんだけど。
いつまででも見てられそうだわ。眼福。
うずうずと触れたくなる衝動に駆られるけれど我慢。
起こしてしまったら悪いしね。
でも少しだけ、ほんの少しならいいかなぁ……?
おやすみ、また明日ね。という気持ちを込めてそっと
頬にキスをした。
◇◇◇
ミオリが自分のベッドに戻って眠り始めた頃、上体を起こした。
……眠れるわけがない。
頬に手をやり触れた感触を想って心臓が少し早さを増した。
側に寄って来たのだって気付いていたけど声を掛けたら逃げそうな気がして眠っているふりをした。
何をしていたのかは知らないけど少しの間近くにいて、そっとキスをして戻って行った。
……可愛い。襲われたいのか。
こっちは活力溢れる十代の男なんだけど。
我慢にも限界があることを知って欲しい。
それに船旅で雑魚寝なんて論外だ。
ミオリに変な気になる奴がいたらどうするんだよ。
本当に無警戒過ぎて嫌になる。
いや嘘。嫌にはならない。
さっきとは逆にこっちがミオリのベッド脇に移動する。
眠れたみたいで良かったね。
髪にそっと触れた後、ミオリの頬にお返しをした。




