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2-16.前を向いて


「渡り人の寿命が短い……?」


泣き過ぎて腫れた目を濡れたタオルで冷やしながら私は昨晩聞いた話をしていた。

話を聞いたルッカが呆然と呟く。


「必ずそうってわけじゃないんだろうけど、見つけた先輩達も40代で亡くなってるし短い人が多いみたい」


結構冷やしたからマシになったかな。

タオルをずらして隣のルッカを見ると両手で顔を覆っている。


「ミオリちょっと俺のこと殴ってくれないかな……」


「どうしたの急に」


「午前中の自分の阿保さが許せそうになくて……」


「何があったの」


事情を聞くとどうやら見学に行った作業場で腕相撲大会をして来たらしい。

何それ面白い。私も見たかった。


「そんなの気にしなくていいよ。別行動したいって言ったの私なんだし」


思わず笑ってしまってそう言うとルッカが眩しそうな顔をする。


「泣いてたのはその事じゃなくて、家族ともう会えないんだなって今更自覚したからなんだけどね」


この胸の痛みはこの先も消えることはないと思う。

けれどそれも受け止めてみんなの幸せを祈ろう。


「ちゃんと泣く必要があったのにそのままにしてたから。いっぱい泣いたしもう大丈夫」


深呼吸して背筋を伸ばす。

前を向いて進まないといけない。


「……足りないかも知れないけど俺はいるから」


「足りなくないよ。ルッカがいるから大丈夫なんだよ」


まだ少し気まずそうな顔をしたルッカにやっぱり笑ってしまう。


「私、ルッカと同じくらい生きたい。ずっと一緒にいたいから。その方法を考えていくよ」


「……俺の彼女が可愛い……なのに俺は……」


いや腕相撲そんなに後悔してくれなくていいよ。

ルッカまだ15なんだから年相応に腕白なところがあってもいいと思うよ。


「ルッカが勝つところ見たかったな。午後から別のとこ一緒に見学行こうよ。そこでもやろう!」


「……やらない」


「えー」


「男の手握るよりミオリの手握ってる方がいい」


なんだそれ可愛いな。


「お腹空いたしご飯行こう」


立ち上がってルッカに手を差し出す。


「別に怒ってないけどデザート分けてくれたら許すってことにしようか」


「……いくらでも食べて」


やったぁ。言質取りましたよ。


そのまま手を繋いで広場を後にした。





「魔法都市?」


魔法都市ヴィソネア。隣国タムノスの王都らしい。

このウォルズ王国より魔法や魔学が進んでおり、知識を求めて他国からの留学生も集まって来るのだとか。

魔法学園もあるんですって奥さん。

悪役令嬢とか王子様とか通ってるかしら。

魔導研究所には賢者と言われる人もいるらしい。


「行ってみよう。渡り人の寿命のこととか、他にも何かわかることがあるかも知れないし」


国内で渡り人探しから国を出て渡り人の謎探しになるってことよね。

うん、私も純粋に知りたいことはまだある。

そもそもどうして渡って来るのかとか、魔力があるなしがあるのは理由があるんだろうか。


「森に帰るのもっと遅くなるけどいいの?」


「いい。俺もミオリと同じくらい生きたいよ。ミオリがいなくなった後に何十年も1人で生きるの嫌だよ」


ルッカが真剣な顔で言う。

ルッカなら中年でも再婚は余裕だよとか言える雰囲気ではないな。


「じゃあ魔法都市行ってみようか。面白そうだね」


「観光に行くわけじゃないけどね」


「観光もついでにしようよ」


「いいけど」


「いいんだ」


笑い合って頷き合う。

2人でならどこでも行くよ。


魔法学園見学出来るかな。

令嬢ものを生で見たい。完全に部外者というポジションは特に良い。


お隣の国へ出発だ。


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