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2-11.きのこ狩りと鹿狩り


「ミオリそれ毒あるやつ」


「こっちは?」


「そっちも毒」


うーむ。難しいな。

椎茸やしめじに似てるやつが毒でオレンジと白の水玉模様が食べられるってどういうことなの。

勘で採ると大体毒なんだけど……。

森の人なだけあってルッカは籠にどんどんきのこを入れている。

選別の出来ない私はルッカに聞かないと入れられないので籠の中身が全然増えない。


………猪探して来ようかな。


きのこよりは簡単な気がするって思ってしまうあたり、私の女子力は尽きているのかも知れない。

でもきのこ狩りに来たのに猪狩って来る女って引かれるだろうか。

森の人なら子供でも猪くらい獲って来そうだから大丈夫な気もするけれど。


「ちょっとその辺見て来るね」


「あんま離れないようにね」


街から歩いて2時間程の山の中に私とルッカはきのこ狩りに来ていた。

実際にきのこ狩れてるのはルッカだけだったりするけれど。


鬱蒼とした山の中は昼間でも街より涼しい。

鳥の声や風が茂みを揺らす音、耳を澄ませて生き物の気配を探しながら歩く。

そんな簡単には見つからないと思っていたら、運がいいことに数頭の鹿を見つけた。普通サイズのやつね。

猪は鹿に変更だ。


よーし、行くぞ。

足音と気配を殺して気付かれないギリギリの距離まで近付いてタイミングを見極める。


今!


1匹に狙いを定め、腰の剣を抜刀して一気に飛び出した。


「うわぁああ!」


誰かが叫んだ。


私が1匹の鹿の首を斬り付けた瞬間、顔のすぐ横を矢が通り過ぎた。


うわ危なっ!?

びっくりしたー!


「だっ大丈夫かっ!?」


近くの茂みから慌てた人物が駆け出して来た。

濃紺の髪と目をした同年代の青年だ。

皮の鎧を身につけ手にはボウガンを持っている。

冒険者(どうぎょうしゃ)かな。


お互い驚いた顔のまま、足元を見る。

首を斬られ頭部に矢を受けた鹿が倒れている。

どうやら同じ鹿を同じタイミングで襲撃してしまったらしい。


どちらからともなく笑いが起きた。

びっくりし過ぎてお互い大笑いだ。


「びっくりしたー!俺人殺すところだったわ」


「私もびっくりしたよ。周りに人がいないかもっと気を付けてれば良かったね」


「俺も次からは人にも気ぃ付けるわ。でもまさか剣持った女が飛び出して来ると思わないだろ」


「私もまさかだったけど。ごめんね」


「俺もごめん」


謝罪したところで互いに自己紹介をした。

青年はアルフレッドというCランク冒険者だった。


「仲間ときのこ狩りに来たんだけど飽きたから狩猟に変更したんだよ」


……君は私か。


矢を当てそうになったお詫びにと鹿の血抜きと内臓抜きをやって貰うことになった。

お肉は半分こで話がまとまった。


「私もアルフレッドと同じできのこ狩りに来てたんだ」


私の返答を聞いてアルフレッドは楽しそうに笑う。


「長いからアルでいいぞ。きのこ見分け難しいよな。全然わかんねーもん」


「うん。私もそうだよ」


「猪探すかってなったら運良く鹿見つけてさ」


「私も猪探してたんだ」


「ほんとか?ミオリ俺の生き別れた妹だったりする?」


「あはは、それはない」


「髪色もちょっと似てるしな」


「私は黒いけどね」


談笑しながら手早く鹿は捌かれていく。

手慣れてるなー。


「はい、こっちミオリの分」


「ありがとう」


「これから帰るのってパッセルだろ?ギルドとかでまた会うかもな」


「そうだね」


「街でまた会ったら飯でも行こうな」


じゃあまたね、とアルと手を振って別れた。


鹿肉を手にルッカの所へ戻ると離れ過ぎたことは怒られたけど鹿狩って来たことについては引かれず褒められたので良かった。




きのこ狩りの翌日。

今日は旅の物資を買い足して明日は街を出発する予定だ。

野営用の薪を買って魔道具屋を出た所で後ろから声を掛けられた。


「ミオリ!」


振り返るとアルと茶髪の青年が通りの反対側からこちらに駆け寄って来るところだった。


「この子?お前が言ってた鹿の出会いって」


「そうだよ。また会ったなミオリ」


横の青年はアルの仲間かな?


「今日は髪下ろしてるんだな」


「ああ、うん」


私は基本的に街の外ではポニーテールにして、街の中では下ろしている。肋骨下くらいまで長さがあるせいかずっと髪縛ってると頭が痛くなるんだよね。


「横の奴は……」


アルがルッカに目をやり何とも言えない表情になった。

ふふふ。イケメンでしょう。

まぁ男性がイケメン見て嬉しいのか知らないけど。

私は美女を見るのは好きだ。


人にルッカを紹介する時って何て言うのが正解なんだろ。

同伴者、仲間、恋人……は恥ずかしいな。


「仲間のルッカだよ」


茶髪の青年がアルの肩をぽんぽんと叩いている。


「………彼氏だったりする?」


「え?うん、まあ……」


わぁ人に彼氏って言うの初めてかも。照れるわ。


「昨日ミオリに矢を当てそうになった人?」


「うん。鹿捌いてくれたアルフレッド君」


「そっか。今日は買い物の続きがあるし、誘われた食事はまた今度にしたら?」


あれ、ルッカの目が笑ってない。

なんか怒らせることしたかな……?

あと明日は街出るから今日さよならしたら今度ってもうないよね。


「行こうミオリ」


「うん。じゃあね」


お元気で!という気持ちを込めてアルとその仲間に笑顔で手を振った。


「やっぱりもうちょっと自覚して欲しい……」


隣りを歩くルッカが溜息をついた。




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