2-10.ケモミミ発見
今日も夢に黒い奴が現れる。
眠る度に出て来るのでもう夢の登場人物レギュラーになっている。
ーーー知らない奴には付いて行かないと言っていただろう。まずは知り合いになろう。
どんなポジティブシンキングだ。
ーーー今日は冥府の良いところを教えてやろう。今月来れば冥府の王と謁見出来る特典も付いている。
要らないよ。あと王様の扱い軽くないかそれ。
ーーーお前の好む姿に変身してやろう。
私の推しキャラ……!?これはちょっと狡い!
ちょっと付いて行きたくなるから恐ろしい……腕を上げたな。
と、まぁ毎度こんな感じである。
たぶん奴はお迎えの仕事に向いていない。
というか本当に死神なのかもわからなくなって来た。
私のバカな夢のような気がして来た。
ーーー業績が悪いと王からお叱りを受けた。お前のせいだ。
転職をお勧めしますよ。
変な夢が続くなぁ。
数日続いた雨が上がると朝晩の空気に秋の気配が濃くなっていた。
すっかり体調も良くなった日の昼下がり。
この街の冒険者ギルドに初めてやって来た。
人口が一万人近い街だけあって、冒険者ギルドもそこそこ大きく人が多い。
私はそこで初めて出会った人種に感動を覚えた。
あれは本物のケモミミ……!!
テーブル席にいる褐色の肌のワイルド系イケメンに狼のような耳と尻尾が付いている。
髪で見えないけど人の耳がある部分はどうなっているのだろう。
「どうかした?」
「けもみ……いや、あそこにいる亜人種のお兄さんが気になって」
絶対無理だろうけど耳と尻尾触りたい。
お兄さんがいるということはおじさんやお爺さん、少女からお婆さんまでいるということよね?
見たい!特に少年か少女が見たい!
「獣人だね。ああいう人が好きなの?」
好きというかオタク心をくすぐられます。
「ルッカの方がかっこいいよ」
肌から雰囲気まで全然タイプ違うもんね。
にこりと笑って言うとルッカが押し黙る。
「……ミオリ余裕が出来たよね」
「そうかな?」
「うん。なんか上手くあしらわれてる気がして」
「そんなことないよ。本心だよ」
「本当かな」
「愛されてるからそう見えるのかもね」
「……やっぱりちょっと腹立つ」
勝ち負けなんて無いのになぜ。
それにルッカがイケメンで私がモブ顔なことに変わりはないよ。君が圧倒的に有利だよ。
受付で素材の買取をして貰った。
売れるから取っとけってグレゴさんに言われて村で倒した赤目熊や黒狼の牙や爪、取っておいてよかった。
寝込んだ日数分の宿代に変わった。
「依頼見て行く?」
「大きい所は依頼も多いだろうけど競争率高そうだよね」
一緒に掲示板を眺めるけれど、残念ながら読めているのはルッカだけだ。
もっと勉強しないとな。
「何かいいのある?」
「ゴブリン討伐か素材採取かな。報酬だけなら討伐の方がいいけど」
ゴブリンかぁ……旅の移動中にイヤというほど遭遇するからわざわざ会いに行きたくはないな。
「素材採取はきのこ狩りだね」
「秋を感じる依頼だね。それいいなぁ」
「きのこ狩り行く?報酬少ないけど」
「ルッカときのこ狩り楽しそうだなって思っただけなんだけど行ってもいいの?」
デート感覚で依頼って受けてもいいものなんでしょうか。
真面目にやれって怒られない?
「いいよ。行こう」
ルッカが依頼の紙を剥がして優しく微笑む。
「ちなみにゴブリンと黒猪もいる山だから遭遇する可能性は高いよ」
「じゃきのこ狩りしてゴブリン倒して猪肉も獲得してこないとだね」
「逞しくなったね」
そうだね。けど女子力的なものは下がってってる気がします。
きのこ狩り楽しみだなー。




