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3.サバイバル未経験者

ーーピルッピルル

鳥の声がして目が覚めた。


「寒い…」


ぶるっと身震いをして辺りを見ると、薄っすら明るくなり始めていた。

唯一暖かさを感じる身体の右側には少女がいる。

先に起きていたらしく空を見上げていた。


あれから私は頑張った。

縛られたままはあんまりだと思い、拾った石で縄をひたすらガリガリ削ったのだ。

たぶん1時間以上掛かってなんとか縄を切ることに成功した時には真っ暗になっていた。

大きな木の根元に2人で座り、寄り添って夜明けを待った。

私は途中で寝てしまったけど……


段々と明るくなる森に、気持ちも少し上昇して来る。

何より1人じゃないという安心感は凄い。


何も解決してないけども!

お腹空いてるし喉も乾いてるけど!


あの池の水は飲めるのかな…川や池の水って菌とかヤバいんだっけ?

ああ、サバイバル知識が全くないのが恨めしい。

両親は揃ってインドア派。

旅先でご飯は絶対作らない!という母の信念により、石川家の家族旅行は必ずホテルか旅館に泊まる。

キャンプすらしたことが無いのよ私は。

森で生き残る知恵が皆無なんだけど神様……


そんなことを考えていると、私が起きたことを確認した少女が立ち上がって伸びをした。

太陽の下で見るとキラキラした淡い金髪と青みを帯びた紫色の目、透明感が凄い白い肌、ほんのり桃色の頬が超絶可愛い。

天使の羽が似合いそう。

こんなに綺麗だから不埒な輩に狙われたのかな。


あまりに薄着な私を気の毒に思ってか、マントも貸してくれた優しい天使ちゃんである。


「おはよー」


挨拶すると返事をしてくれる。

無駄に愛想笑いはしない子だけど、それが返って接しやすい。

私も愛想笑いはあまり得意ではない方だしね。



池を指してから両手で掬って飲むふりをすると、少女は首を横に振った。

池の水は澄んでいて綺麗だけど、飲料水としては良くないのだろう。


「ミオリ、ミオリ」


自分の顔を指差して名前を伝える。

少女は軽く頷いて、


「ミオリ」


と可愛い声で言ってくれた。


「ルッカ」


同じように少女も名前を教えてくれる。

ルッカという名前らしい。

もしかするとリュッカかも知れない微妙な発音だけど……


「ルッカ」


と私が言うと頷いてくれたので合ってると思う。

たぶん。





あの赤いやつ美味しそうだなぁ…食べられないかな。


木に成った沢山の赤い実を見上げてからルッカを見ると首を横に振られる。

毒なのか……確かに鳥がつついた形跡ないもんな。

でも1人だったらうっかり食べてたかも知れない。

うむ、セーフ。


ルッカと森を歩くこと暫し、私は時々何かの実を見つけては同じことを繰り返していた。

涼しい気温からして秋頃なのか、森には意外と色んな実が成っている。


人が食べられる果実って少ないんだな……


昨日の焼き蕎麦を最後に何も食べていないから腹ペコだ。

こんなことならもっと山盛り食べておけば良かった。

とりあえず水が飲みたい……


しかし自分より年下の子が辛そうな顔をせずに歩いているので私も顔に出さないように頑張ろう。


ルッカは太陽の位置や木の形を時々確認しながら森を進む。

昨日闇雲に歩いていた私とはかなり違うと思う。

森に慣れている雰囲気がある。



付いて行きますルッカ先輩ー!



役立たずですいません……

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