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14.昼食にお呼ばれ

「こんにちはー」


本日、私はルッカのご両親にランチに誘われてお宅にやって来ていた。

周りの家と似た二階建ての石造りの家だ。玄関先には白い花が沢山咲いていて可愛いらしい。


「よぉミオリ。兄ちゃんまだ寝てるぞ」


扉を開けてくれたレックが言う。

ルッカが寝坊とか珍しいな。


「いらっしゃい。ごめんなさいね、昨日あの子遅くまで起きてたみたいなの。悪いけど起こして来てくれるかしら?」


ラナさんがニコニコしながら言う。

ニナはキッチンでお皿を運ぶお手伝いをしているようだ。

ブルーノさんもテーブルを拭きながら妙に笑顔だ。


……客に起こされるルッカを揶揄いたくてわざと起こさなかったっぽいな。

思春期の息子がグレても知りませんよ。


階段先にある、ルッカの部屋の扉を叩く。


「ルッカ、そろそろお昼ご飯だよー」


しん、と静けさが返って来る。

何度か呼んでいると下からブルーノさんが入っていいよーと声を掛けて来る。

いや駄目だろ……とは思うものの、好奇心からそっと扉を開けてしまった。

ベッドと机と椅子、小さい棚で構成されたシンプルな部屋だ。広さは6畳くらいかな。

性格が現れているのかどこもきちんと整頓されている。


奥のベッドでルッカは眠っていた。

窓から差し込む日の光でただ寝ているだけなのに神々しい感じがする。


寝顔も可愛いとか……!まつ毛長いな!尊い!

私が画家なら絶対ルッカをモデルに100枚は絵を描くわ!


尊さに少々悶絶したけど、変態じゃないよ!


「ルッカ、お昼だよ」


薄ら目が開いたことを確認して部屋から出ようとした時、机の上に開いたノートがあることに気が付いた。

剣っぽい刃物のイラストと、読めない文字で何やら細かく書かれている。

男子あるあるの空想武器ノートだろうか。


「うわっ!なんでいるの!」


飛び起きたルッカが素早い動きでノートを閉じる。


「ラナさん達が起こして来てって」


「……着替えたら降りるから先に行って」


不満顔も可愛いね。


「……なんでニヤニヤしてるの」


「何でもないよ」


ルッカにも年相応なところがあって、お姉さん安心したよ。


「……何考えてるのか知らないけど、それたぶん間違ってるからね」





賑やかな昼食はとても楽しい時間だった。

食卓にはロールキャベツ風の煮込み料理や柑橘系の果実が入ったサラダ、ベーコンや野菜が入ったキッシュが並ぶ。ナタリーさんの料理も美味しいけど、ラナさんもとっても美味しい。


「ミオリがいるからいつもより豪華なんだぞ」


レックがトマトっぽい野菜を避けながら言う。

こら、いらんこと言うな。


「レック?トトル残さず食べなさい」


ラナさんがにっこり笑顔で圧を掛ける。

怒らせると一番怖いタイプだろうな。



「入り口の白い花可愛いね。冬でも枯れないんだね」


いらない発言&野菜避けで怒られているレックには触れず、話題を変えようとルッカに話を振る。


「あぁ……あれ熱覚ましの薬になるんだよ。レック達がまだ時々熱出すから」


「そうなんだ」


「周りの家も、火傷用とか切り傷用とか色々植えてるよ」


「……みんな花が好きなんだと思ってたよ」


村の素敵な風景にはとても実用的な理由があった。


美味しいねーとニナと笑い合ったり、嫌いな食材に挑むレックに声援を送ったり。

なんかいいなぁ。私は兄が一人いるけど、兄が反抗期になってからは食卓が静かになった気がするな。

なんだかいつも機嫌が悪くて面倒な奴だったわ。

大学生になった今はもう普通になったけどね。


……お母さん達元気かな。


「……でね、兄ちゃんこの間から叩きの作業やらせて貰えるようになったんだって」


あ、ニナの話ちょっと聞いてなかった。

えっと、何?叩きの作業ってあれかな?

包丁とか作る時に赤く熱した鉄をハンマーで叩くやつ。

鍛治の知識は全然ないけど、結構重要な段階なんじゃなかったかな。


「それって凄いんじゃないの?」


「別に」


ルッカが素っ気なく言うけど、


「俺には今までの見習いの中で最短だって自慢してたじゃん!」


レックがそのクールな態度を台無しにする。


笑っちゃ駄目だ、笑っちゃ駄目だ、笑っ……

ごめん無理だった。

なんだこの可愛い兄弟は。


「凄いね、ルッカ」


「……」


「仕事で評価されてるんだから、自慢していいんだよ!」


「……」


笑ってしまったからルッカが怒っている。

違うよ!バカにしたわけじゃないんだよ!

慌てて色んな言葉でフォローを試みるも、むすっとしたルッカは目を逸らしたままだ。


わーん!嫌わないでー!


「照れてるだけだから気にしないで」


泣きそうになった私にブルーノさんが微笑んで言う。


「あんまり意地悪しないの。ミオリが泣きそうよ」


ラナさんも女神のような微笑みでルッカに言う。


「……ごめんね」


ビビり過ぎて私の声ちっさい!

もう一回言い直そうかと思った時、


「……いいよ。ごめん」


ルッカがこっちを見てくれた。

困ったように笑うその表情が最高に尊いです。



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