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13.村の人が強過ぎる件

「わぁ積もったなぁ」


昨日から降り始めた雪で村は銀世界になっていた。

今は積雪10cmくらいだろうか。

積もった雪をさくさくと踏みながら歩いていつもの畜舎へと向かう。

雪だろうが雨だろうが生き物の世話に休みはないのだ。


最近は前からの頭突きは避けられるようになった。

後ろからだとまだ食らってしまうこともあるが、自分の中では成長を感じている。


畜舎の掃除を終え、放牧していた羊達を中に誘導する。


「終わったよー。ほら入って」


雪を蹴散らし少ない草をはむ羊達はなかなか言うことを聞いてくれない。

干し草よりも新鮮な草の方がいいらしい。


羊の中で一番大きい雄がリーダーだと聞いている。


「リーダー、そろそろみんなと中に入ろうよ」


ぐいぐいと畜舎の方に押してみるが完全に無視されている。

いつものことだ。

もう少し外にいさせておくかと思った矢先、


グォオオオオーーー!!


鼓膜を破るような獣の咆哮が響き渡った。


「なに……!?」



メェエエエーーー!!



リーダーの鳴き声を皮切りに、羊達が一斉に畜舎へ駆け出す。

咆哮のした方を見れば、1匹の巨大な黒い獣が森から駆け降りて来る。


……え、デカくない?


乗用車サイズの熊にみえるが、目は異様に大きく赤い。


「ミオリ!中に入れ!!」


あまりの現実味のなさに一瞬惚けてしまった私に、畜舎から飛び出して来たグレゴさんが叫ぶ。


そのまま呪文を唱えて獣に向かって腕を振る。


ドガァンッ!!


獣の前足のあたりが爆発した。


「直ぐに人が来るからな!それまで絶対外に出るな!!」


慌てて畜舎に戻る私にグレゴさんが言う。

……待って。グレゴさんは?

戦うの?アレと?


万が一こちらに来ても羊達を食われないように畜舎の入り口を閉めて中から様子を伺う。


巨大な獣にグレゴさんは臆することなく対峙していた。

グレゴさんが魔法を放つ。

獣の顔が炎に包まれて、怒りの咆哮をあげる。

炎を消そうと頭を振り回す獣の胴体あたりがまた爆発する。


うわぁ……グレゴさん強いな……。

頼もしい雇い主に引いている自分がいる。

いやアレと戦うとか私には無理だし……魔法も使えないし。


そうこうしているうちに自警団の人達が到着したようで、獣を囲んだ人達から炎の矢が無数に獣へと降り注ぐ。

断末魔の咆哮を残し、獣が炭になっていく。


ーーーバキィィン!!


最後は消火の意味も込めてなのか、氷漬けにして終わりである。

ここまで、たぶん獣が現れてから10分くらい。


……いや、早っ!!

一件落着が早過ぎて着いて行けないよ!

強いんだね、みんな………うん、引いてるよ。



「毎年な、冬になると赤目熊が何回か羊を狙って降りてくるんだよ」


グレゴさんはちょっとカラスを追い払って来たかのように笑いながら戻って来た。

今まで気のいい羊飼いのおじさんと思っていた人は豪傑の戦士だったみたいだ。


自警団の人達が和やかな会話をしながら氷を粉砕して帰って行く。



うん、アレだな……今更気が付いたけど、ここ……



RPGだと終盤に出て来る秘境の村だな!?



そりゃ森に出るなって言われるわ。

あんな敵に遭ったら私は一撃で即死だよ!



「ルッカは赤目熊って平気……?」


その日の夕方、まだ朝の出来事が尾を引いている私はルッカに尋ねてみた。


「そう言えば今朝出たらしいね。平気って?」


「私から見ればとんでもない化け物なんだけど、グレゴさんも自警団の皆さんも日常の範囲みたいな感じで……私の感覚がおかしいのかと思って」


「それは仕方ないんじゃない?人族の街の人も似たような感覚だと思うよ」


森に住んでる人には日常の風景らしい。


「……ちなみに他にも魔物って村に出る?」


「いつも出るわけじゃないけど、時々噛み付き猿や一角猪が畑の作物を狙いに来るかな」


死亡フラグがいっぱいだなぁ……。

その猿と猪、たぶん凄いデカいよね?


「あとは羊狙いで黒狼も」


「あ、うん。わかりました……」


森の冬ヤバい……怖い。




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