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小話 夫婦の時間

「……もう寝ていいかな」


身体に多めに残る疲労感から私は訴えた。


「駄目。まだそんな遅い時間じゃないよ」


いい笑顔で鬼畜な言葉をルッカが返す。


「ええ……」


先程までの営みにぐったりしている私と違い、まだまだ元気そうだしご機嫌だ。

魔性の生き物が未だ爪を研いでいるような状況だけど、私の体力は既に残り少なくなっている。

甘い夫婦の時間も過度に摂取すると砂糖はもういいとなるわけでして……。


「昼間怒らせてしまったから今日はいっぱい愛してるって伝えようと思って」


「もう十分伝えて貰ったよ」


「まだ伝え足りないから」


「いやもうほんとにじゅうぶん……」


「最近色々あったから2人で過ごせるの久しぶりだよね」


お腹いっぱいだと訴える私を無視して頬や額に次々とキスをする。

こういうスキンシップは幸せな気持ちになるけれど。

くすぐったいような感覚に笑っていると、次第に耳や首に移動し始めて雰囲気が妖しくなって来たので手で軽くルッカの口を塞いだ。


「待って。まだ早い」


まだ休憩させてください。


「次はゆっくりするから大丈夫」


それ何も大丈夫じゃないんだけど……。


「も、もう少し話してたいなぁ……」


言い方を変えてみる。

要求が通るよう出来るだけ可愛く……可愛いかこれ?

可愛くお願いってどうやるの。


「終わったらゆっくり話そう」


ほら通じない。

私には可愛らしさが圧倒的に足りないんだわ。

むうっとしているとルッカが不思議そうな顔をする。


「どうしたの?」


「ルッカが言うことを聞いてくれるような可愛さが欲しいなと思って」


「どういう意味かな。今だって可愛いと思ってるけど」


「でも私のお願い通らないじゃない。待ってって言っても待ってくれないし……」


「それは……可愛くないからとかじゃないんだけど。むしろ逆だし」


「……そうなの?」


「お腹が凄く空いてる時に目の前にご飯があったら食べるでしょ?そんな感じ」


「……ある程度食べてると思うんだけど」


「食べ盛りだから全然足りないんだよね」


そう言ってルッカは魔性の笑みを浮かべる。


「だから食べさせてね」と耳元での囁きにぞくっとするような興奮を覚えた。


「………っどうぞ」


恥ずかしさからそっと背中に手を回して私も耳元で小さく伝えると再び甘い時間が始まった。


たまには素直にいちゃいちゃするのもいいな。

砂糖の過剰摂取は中毒になりそうで怖いからほどほどにしたいけども。


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