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ホームステイ、そして再会(終)

「……しかし、このイーリアス出身のジオさんやその奥様であるエリスさんはともかく、ミリアムさんにシドさん、ゲイルさんは何故この国に?」

ミリアムに撫でくり回された後、俺は気になっていたことを質問した。彼等がここに居る理由はないはずだが。

「まあ、強いて言うなら墓参り、だろうな」

「……それって」

「そう、魔王戦で死んだアランのな」

俺の問いに答えたのはゲイル。それにジオが割って入る。


うーん、頭が痛い……何せ自分の墓参りに来ているというのだ。妙な気分になる。

「アイツはいつも全体を俯瞰していたというか……冷静だったんだよな。パーティ内で揉め事が起これば仲裁してたし、戦闘中も、敵に突っ込むだけの俺と違って、色々と考えてたし

「ただちょっと、私たちからも距離を置いている感じはしたわね。信頼はしてくれていたと思いたいけど……」

「まあ、ヤツはやたらと自己評価が低かったからの……自分は暗殺者だから人と深く関わる資格はない、といった考えを持っとったしな」

「私たち、そんなこと誰も気にしてなかったのにねー……」

「そうだな……それにアランは暗殺者でありながら立派な人格者だった。生前、自らが葬った人間達の鎮魂の為に教会に通っていたり、行く先々のスラムの様子を見たりな」


そこから、俺の思い出話が始まった。

正直、この上なく居心地は悪かったが、生前の俺のことをこんなにも良く見てくれていたのか、と思うと胸の奥が暖かくなる感覚があった。

しばらく黙って聞いていると、

「それにしても、そのアランが生きてるかもしれないってさ〜……あ」

ミリアムがそう漏らし、やってしまったといった具合に口に手を当てた。

そのミリアムを、周りのメンバーは何やってんだという、呆れの視線を送っていた。


ああ、やっぱりあの件はコイツらも知っていたか。

昨年の同じ時期、俺は誘拐されたが、人攫いグループを全員殺した事件があったのだ。

確かにあの時は自分の影をコイツらに見せて軽くからかうつもりだったのだが……まさか、こんな事になるとは。もう会うことは無いと踏んでいたからあんな大胆な事をやったというのに。


「……だから、アランが生きているはずはないと結論を出しただろう」

「じゃ、じゃあ、ちょっと前に教会からアイツの武器が消えたのはどう説明するのよ?

あんなのアイツにしか扱えないし、第一あのダリルが侵入すら気づかなかったなんて有り得る!?」

「それは……そうだが」

……一気に空気が悪くなったな。

ここまで思い詰めさせる事になるとは……軽率な行動は避けるべきだったか。

とはいえ、ここで正体を明かすこともできまい。それこそ余計に混乱させてしまうだろうし、俺自身俺の秘密が露見することは避けたい。


「……えーと、すみません」

「あ……ご、ごめんね、こんな話して。何かな」

ミリアムがハッとして、直ぐに笑顔を取り繕う。

「いえ……あの、アラン=ハイド様の墓参りに行かれるんですよね? 私も行ってみたいな、と」

「アランのこと知ってるんだ?」

「ええ、母によく聞かされていました。暗殺者だったが、英雄であったと」

自分で自分を様づけしたり、英雄だなどと言うのは気が引けたが、ここは『幼い頃から魔王討伐パーティに憧れている少女』で通すことにする。


その後、何とか会話の流れを変え、俺についての話題から逸らそうとした。

ミリアム達もそんな俺の意図を汲んでくれたのか、俺の話題から離れ、雑談に興じるようになった。

その日はとりあえず和んだ空気で終わり、夕方になるとミリアム達3人は席を立った。

「…じゃ、今日はそろそろ帰るね。」

「……そういえば、ミリアムさん達はこちらに滞在している間何処にいらっしゃるのでしょうか。迷惑で無ければお邪魔したいのですが……」

「んー? あ、そういえば言ってなかったね。私、イーリアスに住んでるの」

「えっ!?」

「俺とシドさんは普通に宿屋だがな」


そうか…そういえばミリアムのやつ、「ウチに来ない?」とか言ってたな……

「…しかし、なぜまたこの国に?」

「え? それはその……」

「この国にアランが眠ってるからよ」

「ちょ、言わないでって!」


エリスが悪戯っぽく言い、それに慌ててミリアムが返す。

「…? アランがハイド様のお墓があるから、ですか?」

「ええ、この子、いつも何だかんだアランといがみ合ってたけど、彼のこと好きだったから」

「え!?」

「だから、そういうの勝手に言わないでって! もう帰るからね!」

ミリアムはそう言い残し、逃げるように帰っていった。

それに続くようにして、シドとゲイルも帰っていったが、俺はしばらくぼーっとしていた。


…え、何? 両想いだったの?

「……アリアちゃん? どうしたの?」

俺はエリスにこえを掛けられてもなお、驚きで放心してしまっていた。

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