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ホームステイ、そして再会(中)

「ぜぇー……ぜぇー……!!」

「はぁ……はぁ……ど、どうだ……ウチの親父(バカ)の鍛錬は……」

「死ぬかと……思った……!!」

俺がジオ達の家に来た翌日、俺とアレクは息を切らして庭に倒れていた。

「おいおい、もうへばったのか」

「だから親父がおかしいんだよ!!」

「人間には限界って物があるの知ってます!?」


ジオに向かってまくしたてる俺達。

俺達は先日の話の通りに、ジオによってしごかれていた。

本気で死ぬかと思った。

まず基礎鍛錬。俺がかつて屋敷でやっていたようなものだが、その量がバカとしか思えない。

この時点でかなりヤバかったが、次の戦闘鍛錬はバカどころではない。イカれていた。

いや、内容は『俺とアレクでジオから一本取る』というシンプルなものだが、まず普通に大人の剣士と戦っても赤子のようにいなすジオ相手に、10才の俺たちが一撃入れるなどまず不可能だ。

俺とアレクには確かに身体強化があるが、それでやっと奴の素の身体能力より少し低いくらいだろう。

俺達はその課題を、丸々6時間程でようやくこなしたのだ。しかしそれも剣先が掠った程度。


「まったく、だらしのない」

「…本当、俺達に付き合って息ひとつ乱れないとかおかしいから」

「しかも心の底から言ってますよこれ……人間の悉くが脳筋なわけじゃないですからね……」

取り敢えず俺はアレクに同情した。それと同時に納得した。こんなんやってたら嫌でも強くなる。

「……にしても、初めてで最後まで耐えられる奴がいるとは思わなかった」

「……これもはや初めてでとか関係なく耐えられない人がほとんどじゃないですかね……」

「違いない……」


2人でブツブツとジオへの恨み節を連ねていると、鍛錬が終わったらしいのを知ったエリスが家から出てきた。

「終わったかしら? お腹空いたでしょう、中に用意してあるから……」

エリスが言い終わる前に、俺達は家の中に駆け込んだ。終わるまで昼飯抜きだったのだ。

「それにしても……」

「ん? どうした、エリス」

「……アリアちゃんにも、アレクと同じような鍛錬を?」

「おう、中々見所あるぞ。本来の得意武器は剣では無いみたいだが」

「そう……まだ小さい女の子に、ねえ?」

「…………」

「邪魔するのもどうかと思って止めなかったけど、随分泥だらけだし、痣も出来てたし……あの子、嫁入り前なのよ?」

「ちょ、ちょっと待っ……ひぇっ」

「……後で、お話があります」

「……ハイ」

エリスは昔から、本気で怒る時は笑顔であった。



「「はァ~~~……」」

昼飯を食べ終えた俺達は、テーブルに突っ伏してため息をついた。

「……普段、これをどのくらいの頻度で?」

「……週1、2回」

「……生き地獄ですか?」

「アリアがいたら少しは手加減してくれるかと期待してたけど……宛が外れた」

「という事は私もそのくらいの頻度でさっきのを……あれ、涙出てきました」

……この子、よく今日まで折れなかったな……純粋に感心する。


暫くして、ジオとエリスがリビングに入ってきた。心做しかジオが小さくなった気がする。

「ふふ、2人ともお疲れ様。まだちょっとお話の途中だったけど、お客さんが来たから」

ああ、ジオのやつ、キレられたな……やっぱり尻に敷かれてやがった。ザマ見ろ。

それにしても、客とな。一体誰が……


「お邪魔しまーす……って、もしかしてこの子? かわいー!!」

「うわっ!?」

その客は部屋に入って俺を見るなり、そう言って俺に抱きついてきた。

「……ミリアム、自重しろ。困っているだろう」

「ぶーぶー、最近張り詰めてた私には癒しが必要なんですー」

「相変わらず大の子供好きじゃの……」


……コイツらか……

ミリアム=コルズ。ゲイル=カッツェ。シド=メイディ。

まさか言った翌日に来るとは。まあ一応心構えは出来てたし、ジオ達に会った時ほど驚いていないが……

……ん? 待てよ。今俺に抱きついてるのって……

「~~~ッ!?」

俺は冷静になったがゆえに、今の状況に混乱した。

ミリアムは、恥ずかしながら俺が好意を寄せていた相手だ。そんなミリアムに抱きつかれている状況を改めて認識してしまい、滅茶苦茶に動揺してしまっている。


「…ミリアム、嫌がってるぞ」

「がーん……」

「あ、いや、違くて……驚いただけで……」

「うーん、まあよく分からない人に抱きつかれても困るか。

私はミリアム=コルズ。獣人ね」

ミリアムはパッと俺を離し、猫耳をピコピコと動かしながら簡単に自己紹介をする。

「でー、あっちのイカついオッサンがゲイルでー、ヨボヨボのおじいちゃんがシド」

「誰がイカついオッサンだ!!」

「儂はまだまだ元気じゃがなぁ」


俺は軽く放心していたが、ハッとして立ち上がり、

「ア、アリア=ブライトです。昨日からここでお世話になっております…」

「うーん、いい子!! 今度ウチにこない!?」

「えっ」

「……ミリアム、いい加減にしろ」

「ちぇー」


……しかし、ミリアムもゲイルもシドも、変わらないな。

獣人のミリアムは人間より少し長命で外見も変わらないし、元々オッサン顔だったゲイルも爺だったシドも外見的には変わってない。

色々と情報が処理しきれていないが……コイツらも元気そうで良かった。

そう思うと、自然に頬が緩む。

……これからも、あの頃のように騒がしいことになりそうだ。

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