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入学、そして知った顔

学院の入学試験から数日後、俺が滞在していた宿屋に、学院から合格通知が来た。

「…では、明日からこの学生証を携帯して登校してください。では」

「ありがとうございます」

宿屋に来た学院からの遣いの男から、俺の名前などの情報が書かれたカードを渡される。

どうやら魔力が利用されているらしく、本人以外の人間が持っているとすぐにバレるそうだ。確かに、これは便利なシステムだな。


「まあ、学院の合格は予想通りではあるが…そうなると、荷物を纏めておかないとな…」

そう、俺の場合、自宅通いではなく、ホームステイ先から通うことになる。

恐らく今日は荷物を纏めるので潰れるな。

「…しかし、ホームステイなんて…どんな家だ? 貴族ではないと言っていたし、両親とも悪いようには言っていなかったし…悪い場所ではないんだろうが」

…というか、何であの時教えてくれなかったんだ? 驚かせたいとか言っていたが。

荷造りを終えたあとは、運送馬車の手配を宿屋にしてもらい、そのまま眠りについた。




「…で、あるからして…」

翌日、学院に併設された講堂で、新入学生を集めて集会が行われていた。

先程から、学院長であるらしい、恰幅の良い柔和そうな初老の男性が話をしている…のだが。

(…あぁ、また話がループしてるぞ…)

正直、とても退屈だった。同じことを何度も話したり、学院の自慢が始まったり。

ほら見ろ、俺の周りに座ってる奴らことごとく寝ちまってるぞ。


そんな退屈な時間も終わり、俺たちは指定された教室に向かっていた。

新入生はおよそ120人。さっき暇だったから数えておいた。

どうやら成績ごとに、1クラス40人程で固められるらしく、俺はAクラス…最上位クラスだ。

まあ子供が受けている中で1人大人が受けているようなものだ。当然だろう。

…そう考えると、俺が入ったことで枠を奪われた子は可哀想な気がしてくるな。すまん。


辿り着いた教室の中には、見知った顔がいくつか。


「…お、お前もAか。まあ当然だろうな」

先日、圧倒的な剣才を見せた赤毛の少年、アレク。


「…む、また新手か。まあ、よろしく頼むとしよう」

同じく、圧倒的な魔法の才を見せた少女、イリア。


「…っあ、あの時の……!!」

1年前、俺が救出した少女、オリアナ。そう言えば名乗っていなかった気がする。


「…まさか、学院で知っている人達全員同じクラスになるとは…」

「と言うより、お前の知り合いが全員優秀だっただけだろ」

「それを自分で言うんですか…確かにそれはそうなんですけど」

俺の呟きに、アレクが返す。


「あ、あの……」

オリアナが俺に近寄ってくる。

「あ、あの時の方…ですよね?」

「あー……ええはい、確かに」

俺は少し目を逸らして答える。一応彼女には警戒しておきたい。俺の本性を知る数少ない1人だ。

「お名前を、伺っても……?」

「アリア=ブライトと申します。貴女はオリアナさんですよね?」

「…は、はい! オリアナ=シャーレットです! またお会いできてうれしいです!」


…? 何か異常に懐かれてないか?

いや確かに彼女を救ったのは事実だがそれ以前に俺が人を殺したのを見たんだぞ。

妙に頬が紅潮しているし…どういうこった。

あと何か周囲の目線が気になる。凄くニヤニヤされてない?



その後、講師の男性が来て、連絡事項の伝達や制服の支給などの必須事項を終えたあと、俺は教室を出て、ホームステイ先に早速向かおうとしたのだが。

「「じー……」」

「あ、あの…何でしょうか」

アレクとイリアに無言で絡まれていた。


「いや、この間から思ってたんだが…お前、剣はそんなに得意じゃないだろ。多分どっちかというとナイフとか軽い身のこなしが重要な武器が得意なはずだ」

「……あの試験でそこまで見ていたのですか?」

「まあな。相手の動きをよく見ろって親父には口酸っぱく言われてるからな」

親父……父親が師だったのか。何者なんだろうか。


そして、イリアは俺の顔を無言でじーっと見つめてきている。

「……貴女は、なんの用事でしょうか」

「いや……お前、どこかで見た気がするのだが……」

…? 俺はイリアと会ったことなどないが。

「……ふむ、まあ良い。またいつか思い出すだろう。ではな」

それだけ言うと、どこかに行ってしまった。何だったんだ……



俺はイリアと別れると、ホームステイ先に向かっていた。

ここからそこまで遠くなく、場所も把握している。のだが。

「…何で貴方が一緒に?」

俺の隣にはアレクがいた。

「…? いやだって、俺の家こっちだし」

「…そうだとしても、私と一緒に行くのは、その…色々と誤解が生まれるのでは」

「そうだとしても気にしねーし……第一、お前が住むの、俺ん家だし」

「…えっ」

俺は結局、アレクとその家…俺のホームステイ先まで同行した。

さて、まあ予想外のことは起こったが、彼の父親の正体を知るチャンスだ。


…この後、人生で一番驚くとも知らずに。


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