02.状況を整理しましょう
あー。
そういえば、自己紹介がまだでしたね。先日(といっても、もう1週間経っている)、人間関係に嫌気がさして3年務めた会社に退職状を叩きつけた、しがないOL 山本 実良21歳です。
退職前の有給消化中にだらだらし過ぎたことを反省し、久しぶりに外出しようとしたところ、気づけばこの、森の中に突っ立っていたという次第です。
んー。
私のアパートの外は、まあまあ都会だったはずなのに、一体どうしたことか。私は考えているようで、実は何も動いていない脳みそを落ち着かせていた。
人間、思いもよらない状況になると、パニックよりまえに呆然と立ち尽くすんだな。
うん。
少し、落ち着いたところで、状況を整理しよう。
きょろきょろと辺りを見回す。先ほども申し上げたように、ここは、森の中だ。もちろん、我が城である少し年季の入ったアパートはない。そんで、人影もない。
あとは、本日は、カラッと晴れていて適温。過ごしやすい気候だ。心地よい風が肌にあたるのを感じる。
次に私の服装だが、スーパーに行こうと決意した格好…
「え?」
ってえぇぇぇぇ!?
まず、服装が違う。薄手のパーカー、ロングスカートにお気に入りのスニーカーを履いて出てきたはずが、生成りのシャツ?ワンピース?にエプロンをかけている。なんだか全体的に森ガールっぽい。山に登らない日の森ガールっぽい。
いや、森ガールも嫌いじゃないけど、それは見ている分であって、自分ではその類の衣類は持っていなかったはずだ。
そんなことは、百歩譲ってどうでもいいとして、
手をぐーぱーぐーぱー広げてみる。
目に映る、動く手はとても小さい。スカートを少し避けて見えた足も小さい。
そして…
「…あー」
声が幼い!え!子供!?
急にドクドク動き出した心臓を抑えながら、再び呆然タイムに入った。