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序章。
私には、人とは違った能力があるらしい。
私にとって『それ』は当たり前のことで
他の人が『それ』を出来ないなんて考えたこともなかった。
私の能力『それ』は現実なのか夢なのか分からない。
私は本を読んでいるとその世界に引きずり込まれるのだ。
その世界で私は私として存在しているし、その世界で私はいろいろな経験をしている。
シンデレラの世界で王子様に靴を片手に嘆いていたのを会いたい子がいるなら探せばいいじゃんと嗾けたのは5歳の頃の私だし
眠れる森のお姫様に遊んでもらってて塔の上まで連れて行ってしまったのも私。
天下無敵の織田信長を害するように明智光秀を唆したのも私だ。
私はその世界で自分の思うままに行動しているのに、何故か物語は私が存在していなければ起こらないことが起き、そして私の存在はきれいさっぱり消えた状態でそのままの形を保っている。
そして元の世界に戻った私は本を見た時のまま1秒も時が進んでいないのだ。
まぁ、私に不都合な事は一切ないし、いいんだけど。