表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

掌編小説集10 (451話~最新話)

もっと早くに…

作者: 蹴沢缶九郎

それなりに資産を持つ男がいた。それまで男は、スマートフォンという物を、これといった理由もなく毛嫌いしていたが、周囲の勧めもあり、初めて触れるスマートフォンの便利さに感動していた。

地図アプリで自身の居場所を確認してみたり、気になった物事を片っ端から調べては結果に頷き、動画共有サービスを見て、大いに笑って泣いた。

それはまるで、新しいおもちゃを買い与えられた子供のようであった。男が言った。


「スマートフォンがこんな素晴らしい物だったとは。こんな事なら、もっと早くにスマートフォンを使っておけば良かった」


男の目は、新たに出会った相棒への期待と楽しみで光り輝いていた。

だが、男がスマートフォンに触れる機会は二度となかった。翌日、よわい九十になる男は、老衰で亡くなったのだ。

男の息子は悔しさをにじませながら言った。


「こんな事なら、もっと早くに遺言書を書かせておけば…」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 蹴沢缶九郎 様 >> 蹴沢缶九郎さんの作品を拝読して、思いました、SNSのコンテンツや日々の通信コンテンツが、そのまま遺言にならないかなあ、と。 > その設定でうまく肉付けしていけば…
[良い点] 蹴沢缶九郎さんの作品を拝読して、思いました、SNSのコンテンツや日々の通信コンテンツが、そのまま遺言にならないかなあ、と。
[一言] つまり、スマホが使えるほど頭がしっかりしてるのなら、遺言書を・・という事なのかな
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ