吾輩の名は“ゴットハンド”
...僕は噂でこんな事を聞いた。
この街の何処かに“ゴットハンド”と呼ばれる人がいるらしい!
何でも願いを叶えてくれるのか、、、?
それとも、どんな病気でも治せるのか、、、?
はたまた、物凄く重たいモノでも持ち上げれる力持ちの持ち主なのか、、、?
そんな人が、この街にいるなら会ってみたい!
僕はその人を探す事にした。
僕の名前は 『倉沖 タケシ』35歳、二次元の女の子が大好きだ!
現実の女の子は、僕を直ぐに傷つけるから嫌いだ!
仕事も、マンガ喫茶で働けて幸せだ!
毎日、僕の好きなモノに囲まれて仕事出来る事は幸せ極まりない!
▽
でもそんなある日、、、。
僕の携帯に1本の電話が入る。
【プルルルル プルルルル プルルルル】
『はい! 倉沖ですが、どなたですか、、、?』
『わたくし、○○○○総合病院の畑と申します! 今日の朝、倉沖さんのお母さま
が突然倒れて、私どもの病院に入院しております。至急、お母さまの事で、
お話したい事もありますので、病院の方へ来てください!』
『...母が倒れたんですか、、、? 直ぐに行きます!!!』
*
病院に行くと、、、?
母を診てくれた先生が出て来て、こう僕に言った。
『倉沖さんの息子さんですか、、、? お母さまに会う前にお話ししたい
事があるので、こちらへ来てください。』
『...ははい、』
部屋に入ると、、、?
先生が僕に話し始めた。
『お母さまの病気の事なんですが、、、? 末期の腎臓がんです。もう、
あちこちに癌が転移していて、治す事は不可能かと? 勿論! こちらも
できるだけの事はしますが、その事だけお伝えしたかったのです。』
『...母は、もう治らないんですね、、、?』
『少し、落ち着いてから、、、お母さまに会われるといいですね。私は先に
行きますので、ここでゆっくり心の準備が出来るまでいてください。』
『...ははい、ありがとうございます。』
『では、』
先生は僕にそう伝えると、、、? 先に部屋を出ていった。
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そして母がいる305号室に入って行くと、、、?
母は僕を見るなり、ニコッと僕に笑いかけてこう言った。
『ごめんね、タケシに心配かけるつもりはなかったんだけど、、、?』
『そんなのはいいよ~もう、大丈夫なの?』
『もう、大丈夫だよ! 元気だけど、、、? まだ検査があるとかで
退院させてくれないだけなんだよ!』
『...そう、じゃ、もう少し入院してもっともっと元気にならないとね!
時間がある時は、お見舞いに出来るだけ来るから!』
『いいよ! いいよ! タケシは好きな事をしなさい! お母さん!
それの方が気が楽だしね~!』
『...あぁ、わかったよ! でもお見舞いには来るからね!』
『うん、ありがとう!』
...この後も、少し母といて家に帰った。
僕は益々“ゴットハンド”と呼ばれる人を探す事を心に決める!
病院の先生も匙を投げるほど、母の病気は治らない!
それなら、神にもすがる思いで“ゴットハンド”と呼ばれる人を探す
事を決心する!!!
僕がこの“ゴットハンド”と呼ばれる人を探し出して2週間。
遂に情報が入った。
この街の一番隅にあるところに住んでいると言う。
家もポッンとそこにだけあり、かなり古い家だ、、、!
僕は早速会いに行く。
▽
【ピンポーン】
家のチャイムを鳴らすと、、、?
一人の男性が現れた!
『あのう、、、噂で貴方の事を聞きました。“ゴットハンド”と呼ばれる人!
正直、それがどういう事なのかはわかりません。ただ、母が病気でもう、
治らないと言われて、それで貴方を探してきました。』
『...話はわかった! 取り敢えず、中に入りなさい!』
『...ははい、』
中に入ると、、、? その男が僕にこんな事を言う。
『私は確かに“ゴットハンド”と呼ばれているが、この力は二つに一つの
選択をするしかない! あなたの命か? お母さんの命か? どちらか
しか助ける事はできない、さあ! どうする、、、?』
『...うん、他に方法はないんですか?』
『ない! 少し考えるといい!』
僕は声にならない声が出そうだった。
母を助けるには、僕の命を差し出す事! そうしなければ、母が死ぬ。
...僕は子供の頃の事を思い出していた!
楽しそうに母と遊んでいる僕がいた!
『そして、僕は決断する!!!』
▼
次の日、、、。
『倉沖さん! 大変な事が起きましたよ~ 今日レントゲンを撮ったら、、、?
悪いのが何処かに行ってしまってますよ~! 本当に奇跡ですね!』
『えぇ!? 治ったんですか、、、?』
『えぇ、そうですよ! これなら明日には退院できますね!』
『先生! ありがとうございます!!!』
母の癌はすべてなくなっていた。
そして、僕はこの世にもういない、、、。
最後までお読みいただきありがとうございます。