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Railroad Tutor  作者: 悠蓉
普通車掌編
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普通列車発車

 今回の乗務行路は普通列車で途中駅まで行き、それからまた普通列車で戻ってくるようになっている。


「ご乗車ありがとうございました。この列車は普通列車セミラミス行きです。列車は各駅に停車します。次に止まります駅はツクヨミです」


 この車両は発車すると放送を自動でしてくれる。念のために乗務員室と客室とのドアを少し開けて開けて放送がきちんとできているか確かめる……よし、大丈夫だ。放送が終わっても次の駅まではまだ少し時間があるので車内を巡回する。


「これより車掌が参ります。まだ乗車券をお買いでないお客様、乗り越し、行先の変更をされるお客様、その他御用のあるお客様はお声をおかけください」


 車内を回る前に切符の発行機を持っているか確認し、それと椅子に座っている少女に尋ねてみる。

「今から車内を回るけど、君はどうするの?」

「どっちでもいいことになっているんですけど、せっかくなんでついて行かせてもらいます」

ということらしい。



 車内を回ってみる。とはいえ基本的にみんなカードや自分の端末、生体認証で乗車券を買っているから紙の切符を持っている人は少ない。これが急行や特急であったら旅の記念などの目的で紙の券を買う人もいるにはいるのだがここは普通列車なのでそのような人はぼぼいない。結果、車内でトラブルが発生していないかやゴミが落ちたりしていないかを確認するのが主な目的だ。


「そろそろ駅よ。戻らないといけないわ」


 いけない。駅に着くときは乗務員室からホーム監視をすることになっていた。もう駅が迫っていることを少女に指摘され、慌てて列車の一番後ろまで戻ると何とかギリギリのところで間に合った。

 ドアを開け、時刻になりホーム確認をしてドア閉め、発車。落ち着いていつも通りこなしていく。



「先ほども言った通り私の名前はアヤといいます。座敷わらしなのですが……そもそも座敷わらしって知っていますか?」

「いや、知らないなあ。聞いたこともない」

「そうですか。やっぱり今の人は知らない人がほとんどでしょうね」

 少女は一瞬残念そうな顔をしたがすぐに続ける。

「座敷わらしというのは妖怪の一つで、主にお屋敷なんかに住み着いているんです。……そんな顔しないでください、妖怪といっても怖くないですから。私たちがいるとそこに幸運をもたらすんです」

「幸運をもたらすってことは何かいいことが起こるの? あと、ここはお屋敷でもお座敷でもない列車だよね。どうして君がいるんだい?」

「その疑問はもっともですね。とりあえず座敷わらしについてわかってもらえたようなのでそれも話します。あ、でも続きは次の駅を発車してからですね。ホーム監視をお願いします」

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