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Railroad Tutor  作者: 悠蓉
新米専務車掌編
27/30

停電

 復路のこと、快調に走っていたと思っていたら突如室内灯と空調が切れた。幸いなことに数秒で室内灯が再び点灯し、空調も動き出していてびっくりしていたお客さんもすぐに落ち着いてきたようだ。幸いなことに動力部分には問題がないようで列車は何事もなかったかのように次の駅に向かっている。

 原因を突き止めるために急いで乗務員室に戻り、確認すると発電装置が緊急停止して予備バッテリーに切り替わっているようだった。何らかの理由で列車のサービス系統で電力不足に陥り発電装置の故障を防ぐために非常停止したようだ。こういう時にどうするか必死にマニュアルを見返しながら格闘する。


「もしかしたら古い車両で発電装置の性能が落ちていたのかもしれませんね。昨日は問題なく走ったのですし、大したことはなければいいのですけど」


 後ろから聞きなれた声に気づくと、いつの間にか戻って来ていたアヤがつぶやいていた。どうやら妖怪のせいではないらしい。


「とりあえず電気系統を中心に異常がないか点検をさせてみましょう」


 自動点検装置で大抵のことはわかるのでアヤのアドバイス通り診断をさせてみると何処にも異常は無し。ひとまず次の駅で念のため専門の検査員に来てもらうことにして連絡をする。ただしレストランでは電気を多く使うので自動復旧はせず、引き続きそこだけは電源を切ったままにしておく。

 よし、これで一件落着。あとは検査員に引き継げれば問題ない、そう思っていたが一つ忘れていたことがあった。


「車掌さんすみません。調理室の電気が止まったままなんです! 灯りも全部消えてしまったし、このままじゃあお客様に料理が出せないので何とかしてください!」

「わかりました。今からそちらに向かいます」


 慌てた様子で車内電話がかかってきた相手はレストランのコックさんである。他の電気機器は復旧しているのに調理室だけ使えないままで、しかもそのことについて説明していなかったのでこうして電話が来るのは当たり前だろう。当たり前のことだが原因は自分がスイッチを切ったから。すぐに戻すことはできるけれどなるべく電気の使用は抑えたままにしたいのでどうしようかというところだ。

 とはいえ、調理室の灯りまで消えてしまったのはよくなかったので、すぐにスイッチを入れるようにすることにした。


「ちょっと灯りだけはつけてくるよ。それで、あとは検査員を待つように頼んでみるよ」

「わかりました。私はここで待っておきます。」

「ありがとう、何かあったらよろしく」


 めったにないことだからか、車掌室から操作ができないようなので直接行ってスイッチを操作をする。マニュアル片手にいざレストランへ。相手が妖怪ではないならこっちのものなのだ。



「お待たせしました。とりあえず灯りだけ先につくようにしますね」

「お願いします。故障ですか? 調理の方はできないでしょうか?」

「ちょっと発電機の調子が悪いみたいです。次の駅で検査員を呼びましたし、そこで異常がなかったらすぐに動かせるようにします」

「そうなんですか。調理室の方も機器が古くてちょっと調子が悪いんですよ」

「やっぱりそうなんですね。実は他にも空調の利きが少し悪かったりするんですよね」


 レストランまで行って車両の配電盤を開けて作業をしながら、心配して見に来たレストランのチーフと少しお喋り。致命的なものはなさそうだが、やっぱりあちこちが老朽化しているようだ。


「よし、これで灯りがつくはずです。確認してください」

「はい、つきますね。ありがとうございます」

「ではまた他の機器も動かせそうになったらまた来ます」


 無事に灯りだけつけ、一旦車掌室に戻る。とりあえずは既に出来上がっているものや加熱が必要ないものだけなどで料理の提供はするようだ。さて、もうしばらくで次の駅につくのでそろそろ用意をしよう。

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