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Railroad Tutor  作者: 悠蓉
新米専務車掌編
22/30

見習い乗務――寝台特急その2

 一泊して翌日の夕方には地球発からの折り返し乗務となる。

 今は車両基地から駅ホームに向かう最中で、この間に車内を点検している。個室内のベッドメーキング、アメニティの確認をみんなで手分けをしてしていく。


 全ての個室での案内も済ませると、あとは途中駅から乗車してくる人への対応というくらいなる。とはいえ始発駅時点でほぼすべての部屋が埋まっており、それに関してはほとんど対応しなくていいのは地球始発の列車の特徴だろう。国内の人の流れが見えるという点では面白い。


 車内巡回では足音がしないように気を付けながら個室のドアが並ぶ廊下を歩いていく。もちろん防犯カメラが常に目を光らせているのだが、実際に人が巡回することでお客さんには安心感を与え、泥棒に対しては抑止力となるそうだ。でもこんな弱そうな車掌でも抑止力になるのだろうか。

 上りの乗務の時は余裕がなくてあまり見ていなかったが、レストランやロビーのバーはかなりにぎわっている。部屋に料理を届けるサービスもあるが、一人用個室など別々に泊まって、食事などに連れ立ってくるお客さんが多いようだ。なるほど、寝台列車の方がお客さんが多いというのはこういうわけだったのだと納得する。


 営業終了後のレストランで食事をするのも行きと同じ。だが、レストランのクルーは地球駅で交代となっているのでメンバーは違っている。たくさんの食材や調理器具と一緒に交代するので始発か終点でしか交代できないのだそう。 


 食事を終えて一息ついた頃からそろそろ降車客が出始める。朝早すぎる時間にも思えるが、それは宇宙内でのこと。エレベーターで地上に降りれば真昼間ということもあるから、こういう時間にも中短距離客はいる。高い寝台特急料金を払って贅沢な気もするが。

 一等車のお客さんには駅到着十五分くらい前から知らせに回る。とは言っても、「お客様、間も無く到着です」とドアをノックして声を掛けるくらいだ。絶対に起こせる訳ではないが、お客さんも気をつけているし、部屋についている目覚ましが降りる駅の前でなるようになっているので普通は大丈夫だ。ただし、列車が遅れたりしたときには二度寝してしまうお客さんもいるから要注意だそう。


 そうしているうちに時間が過ぎ、朝一の放送をして引継ぎの準備をしていると、あとは早い。あっという間にアルテミス駅に到着した。やっと帰ってきたという思いと同時に、ホームで待機している車掌の姿が見えてなんだかほっとする。


「異常ありません」

「異常なし、了解です」

「よろしくお願いします」


 こうして四日間もの長い長い行路が終わった。

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