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Railroad Tutor  作者: 悠蓉
新米専務車掌編
17/30

見習い乗務――夜行快速

「ご乗車ありがとうございます。快速列車の地球行きです。列車は七両で運転します。前から1号車、2号車の順番で一番後ろが7号車です。3号車と4号車は一等車です。自由席は1号車と2号車、それ以外の車両は指定席車両です。間もなくの発車となります。ご乗車のお客様は車内にてお待ちください」


 マイクを置いて一息つく。今日はツクヨミ発地球行き普通列車に乗務する。運転経路上にアルテミス駅はないが、普通列車とはいえ急行用の車両を使っているということで、多くの優等列車を受け持つアルテミス車掌区が担当している。何しろ地球行きの長距離列車だ。普通列車扱いなのはカフェカーが営業していなくてサービスが劣るためらしい。

 地球には昔一度だけ行っただけなのだが、本社はもちろん、あらゆる省庁が集まる国の中枢で人工衛星も巨大であった。そのため地球との行き来は需要もあって競争が激しい。この列車は価格競争に打ち勝つための列車という意味もあるそうだ。


 そういうことだけあってお客さんも多い。最初は一等車を二両もつなげて大丈夫なのかと思ったけれども、こちらもかなりの乗車率があり、二等指定席車より人気に思えるくらいだ。寝台列車よりも安く快適に寝たいという需要によるものらしい。

 本来は二人で乗務のこの列車、指導担当と見習いでも二人とカウントするようで宮野車掌と二人で分担して車内改札をしていく。

「じゃあ私が一等車の二両を見るから、梅田車掌は後の三両を頼むね。何かわからないことがあったら夢に聞いて」

「わかりました。ユキさん、よろしくお願いします」

「ユキでいいですよ。よろしくお願いしますね」

「じゃあ私は宮野車掌について行きますね。頑張ってください」 

 今日は普段とは違うペアになって車内を回っていく。お客さんの口から聞いたこともないような駅や列車名の名前が出てきてハッとすることもあるが、座敷わらしはお客さんから見えないことをいいことに横から教えてもらいながらこなしていく。



「ご乗車ありがとうございます。普通列車地球行きです。ただいまの時刻は零時十五分です。すでにお休みになられているお客様もいらっしゃいますので、この放送を持ちまして、特別な場合を除きまして、エリス駅到着十五分ほど前、頃まで休ませていただきます。これから停まります各駅と時刻をご案内いたします……」


 そして夜遅くなってきた頃、お客さんの睡眠の妨げとならないように放送の休止を案内する。俗に言う「おやすみ放送」である。これも本当なら自動放送なのかもしれないが、見習いの項目の一環として自分で行う。

 放送をやめたとはいえ列車は駅に停車していく。地球までずっと乗っている人が多いが、途中で降りていく人もいる。指定席のお客さんなら降りる駅が手元の端末からわかるので、駅到着前に起こしに回ったりもする。


 失敗もあった。

「しまった。ここで降りる5号車のお客さんを起こし忘れた」

 どうして思い出せたかわからないが、駅を発車した瞬間に気が付いた。慌てて見に行くと自分で起きて降りてくれていたようで事なきを得た。

「私もうっかりしていました。今回は大丈夫でしたけど、気をつけましょうね。起こされなかったって怒るお客さんもいますから」

 ユキと二人で反省だった。




 エリス駅が近づいて来ると終点まであと少しだ。「皆様おはようございます……」から始まる「おはよう放送」と呼ばれる放送から案内を再開する。

 エリス駅からは太陽系の中に入る。ここから列車はエリス、カリスト、タイタン、火星、月、そして地球と各駅停車になる。次第に近づいてくる青い星、地球。


 ――本日は宇宙鉄道をご利用くださいましてありがとうございました。まもなく終点、地球でございます……

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