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Railroad Tutor  作者: 悠蓉
新米専務車掌編
16/30

見習い乗務――急行列車

 今日はいよいよ見習い乗務の日。指導担当は自分より一回りくらい上くらいの女性の車掌だった。もちろんお互い傍には少女――座敷わらし――も一緒で知らない人が見るとびっくりするだろうが、座敷わらしはお客さんには見えない。


「梅田です。よろしくお願いします」

「アヤです。梅田車掌をお願いします」

「私は宮野。今日から一ヶ月くらいだけど、よろしくね」

「私はユキです。よろしくお願いします。アヤさん、また一緒になれてうれしいです。よろしくお願いします」


 四人で挨拶をしてからいよいよ乗務へ向かう。今日の乗務は急行いかるが5号、アルテミス発イサラギ行きで五時間余りの乗務となる。八両編成で一等座席車とカフェカーもついている。

 ホームに入ってきた列車に乗り込みドアを開けると運転士と通話テストを行う。特急と急行列車には運転士が乗務しているのだ。これも今まで乗務していた普通列車や貨物列車とは違うところだ。

 運転は基本的に自動化されているので運転士は機器の監視と故障の対応などを行うこととなっている。長距離、長時間の運行を支障なく行うための要員だが、技術の進歩とともに故障は少なくなり、近いうちに特急、急行でも取りやめとなることが決まっているらしい。

 ちなみにその代わりも兼ねて一部の列車で車掌の人数を増やすために専務車掌の増員が行われているというのは宮野車掌の推測である。


「それじゃあ放送をしようか。訓練もかねてということで、始発駅と終点での放送は機械は使わないことになっているからね」



 ――本日は急行いかるが5号をご利用くださいましてありがとうございました。これから止まります駅と到着時間をご案内いたします。次は……



 放送をするということ自体は普通列車と同じだが、急行用車両ということでチャイムがついているのがうれしい。放送前後に鳴らすことで旅の気分が盛り上がるのだと、わかる人にはわかってくれるだろう。


 放送を終えたら車内を回る。指定席車両では手元の端末から予約状況を確認し、予約がない席に座っているお客さんには移動をお願いするか空席を販売していく。

 さらに、自由席車両では一人一人に急行券の確認をする。普通列車のように乗車券だけなら基本的に駅側の確認のみでも良いのだが、別料金のかかる列車ではそうもいかない。払わずに乗ることもできてしまうので車掌がしっかり見なければならない。

 しかし、いつまでも車内改札をしているわけにもいかない。停車駅が近づいてきたらホーム監視のために車掌室に戻らなければならない。運転士がいるとはいえ、ドアを開けたり出発の合図を出したりするのは相変わらず車掌の役目だ。お客さんへの案内は自動放送に任せることができているけれども、これを全て車掌が行うことになればとてもじゃないけど間に合うとは思えない。


「急行列車って車掌は結構忙しいのですね」

「特に今日はまあまあの乗車率だったからね」


 駅間が少し長めのところで宮野車掌と少し話してみる。急行は中距離利用が多く、頻繁に車内を回らなければならない。肉体的にきついから普通車掌のままでいたりや貨物専務の方を希望する人も多いそうだ。

 車掌室は中ほど4号車と一番後ろの8号車にあるからそれを何度も往復するような形でひたすら歩き続けた。


 十三時を過ぎたころカフェカーで昼食をとる。車掌はカフェカーやレストランカーでは飲み物は無料、食べ物は半額ということになっている。

 今日は素早く食べられるものということでサンドイッチとコーヒーを頼んだが、車内での調理仕立てとあってとてもおいしく、急いで食べるのがもったいないほどだった。ここのメニューは車内販売でも買うことができて人気なのだそうだ。


 食事を終えたら再び車内を回る。疲労もたまってきてかなりきつかったが、何とか終点のイサラギ駅まで頑張った。くたくたになって列車を降りた後、宮野車掌からもアヤからもよくできていたと言ってもらえたのは素直に嬉しかった。

 イサラギでは一泊して今度は同じく急行いかるが2号でアルテミスまで折り返しとなる。行きと比べると少しは慣れた気もするが、やはり苦労しながらの乗務だった。時間帯の関係でサンドウィッチを食べることがなかったのは残念だった。

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