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車掌になる
「最後の見習いが終わったな。試験も合格だ。これでもうお前も独り立ちだ。これからはもう俺はいないが、お前ならきっと大丈夫だ」
「師匠にはまだまだいろいろ教えて貰いたいです。これからもよろしくお願います」
「いやいや……俺が教える必要なんてもうないよ。お前にも次の乗務から見えるようになる資格があるからな。彼女から教えてもらうんだ。じゃあな」
「師匠! 待ってください。見えるようになる資格って? あー、行っちゃった……」
連邦鉄道公社で働いている自分は今日、念願の車掌の資格を得た。今までは駅員として地上や人工衛星が職場だったが、車掌は列車が職場の車掌だ。これからはお客さんを乗せて宇宙を飛び回ることになり、腕には誇らしげに「車掌」と書かれた腕章もついている。
気がかりなのは何やら謎の資格も得たということだけである。