教室、夏の朝にて。
今日も世界のどこかで。
それは、夏の教室で。
「おはよ〜。」
「おう、おはよ。」
「今日も涼しそうな頭してんね。」
「な!丸坊主をいじるな!これは高校球児の魂なんだよ!」
「はいはい、じゃあランナー2・3塁逆転のチャンスで三振しないでよ。」
「なっ……め、面目無い…。」
「精進しなさい。」
「ん?ていうか昨日の試合、見に来てたんだな。」
「誘ったけど来ないって言ってたのに。」
「あ…。」
「べ、別に友達から聞いただけだし。アンタの試合なんて見に行くわけないでしょ。」
「ふーん、ま、そうだよな。」
「あ、そうだ、これ、ホイ。」
「ん?何これ。」
「花火大会のチラシ…?」
「あぁ、そういえばアンタの家いっつも屋台出してんだっけ。」
「今年は何やんの?」
「あー、かき氷屋。」
「つっても人手足りなくてさぁ、ハハッ。」
「へぇ………ってまさか。手伝わせようっての?」
「絶対却下。2年前手伝った時は地獄だったし。タダ働き同然だし。友達は楽しそう遊んでたし…。最悪よ最悪、ブラックにもほどがあるわ!」
「絶っ対、やらないから。」
「すげぇディスり…。」
「てか、別に手伝いとか言ってねーだろ、俺。」
「へ?…違うの?」
「うん。」
「?」
「だからさ。」
「2人で行こうよ。」
「どこに?」
「いや、だから花火大会。」
「へ?…。」
「私とアンタで?」
「おう。」
「え、あ、アンタ練習は?いつも夜9時までしてるんじゃないの?」
「その日は練習早上がりだから、時間の心配はしなくていいぞ。」
「そ、そう…。」
「どしたんだ?」
「ほら、私、浴衣とか持ってないし、そういうの初めてだし…。」
「その…心の準備ってのが…。」
「美咲。」
「は、はい!」
「来るの?来ないの?」
「行き…ます。」
「よっしゃ、決まりだな。」
「じゃ、俺用事あるから。」
「楽しみだな。」
「あっ、待って!」
「ん?」
「………私も、楽しみだよ。」
短編集です。
ちょこちょこ更新していきます。
ご覧賞ありがとうございました!