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2.いざ図書室へ

 こんにちは、葵枝燕です。

 連載『(から)梅雨(つゆ)()く』、第二話です!

 週に二話くらいは更新したいと思ったんですが、一話が限界です……。うぅ……。

 そして、感想に書いていただくまで気付いてなかったのですが、主人公のフルネームがまだ出ていないという、大事なことを忘れていました。あるんですよ、ちゃんと考えてるんです。ただ、名乗る機会がないだけなんです! しばらくは、“フミちゃん”と呼んでやってください。

 それでは、どうぞご覧ください!

 俺は、上階へ続く階段を上っていた。

 地上二階建ての(かさ)(もと)市立中央公民館は、一階に大ホールがあり、二階に小ホールと会議室、そして小さな図書室が設置されている。その図書室こそ、伯母の言っていた“市立図書室”だ。笠元市民の間では、“市立図書館”と呼ばれている。

 笠元市には、二つの“図書館”がある。一つはこの公民館内にある市立図書室で、もう一つは笠元市民図書館だ。笠元市民図書館は市民の間で“市民図書館”と呼ばれ、二階建ての建物ワンフロアが図書館で、蔵書数も市立図書館の三倍以上はある。“市立図書館”と“市民図書館”――漢字が一字変わっただけなのに、それが指し示すものは大きく異なるのだ。

 階段を上がりながら、伯母の「うちは厳密には“図書館”じゃないんだけどね」という言葉を思い出していた。詳しいところは俺にはわからないのだが、市立図書室のように公民館などの一室にある図書室は“図書館”ではないのだという。法律を絡めた話も伯母はしてくれたのだが、興味のなかった俺はそれを聞き流していてあまり(おぼ)えていない。それでも、伯母の前では“市立図書室”と呼ぶように心がけてはいた。


 そうこうしているうちに、二階にたどり着いた。廊下の向こうで、立て看板を出している女性の影が見えた。そこに向かって歩いて行く。

「お……(よう)()さん、おはようございます」

 薄ピンク色のエプロンを身に着けた伯母が、俺を見て笑う。

「おはよう、フミちゃん。今、“伯母さん”って呼ぼうとしたわね?」

「気付いてたのかよ」

「ふふふ。聞かなかったことにしてあげるわ。さ、仕事について説明する前に一仕事手伝ってちょうだいな」

 伯母がそう言って、俺を図書室内へと招き入れる。お世辞にも広いとは言えない室内は、俺が小学生時代によく居座っていたときそのままの雰囲気だった。静かで停滞しているような空気が流れている。静かに息を吸い込んでみた。ほこりっぽい、鼻がムズムズするような、本の匂いだ。

 今日から、ここで働くんだな――そんな思いが、すこしだけ実体を持って俺の中に入ってきたような気がした。

 第二話のご高覧ありがとうございました!

 行間についての意見には応えられませんが、感想などいただけると嬉しいです! 気になる点は、何とぞお手柔らかにお願いいたします。

 それでは、第三話で! 早く掲載できるように、がんばります! そしてできれば、週に二話くらい更新したいと思います。

 葵枝燕でした。

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