あっごめん。さっそくトラブルに巻き込んだかも。
『いってきまーす』
リンジーとあたしはカフェを出た。
『あっそうだイリーナ、気をつけてね。』
『何が?』
『ママ今はいいけど、ある程度付き合い始めると礼儀とかうるさいから。敬語使ったほうがいいかも。』
『れいぎとけいごって何?』
『あー。また今度教える!ほら!あそこ、私の好きな本屋なんだ!』
『ほ、ん、や‼入れるの⁈』
『ええ、もちろん!』
ほんやの存在は知ってたけどあたしたちは入れなかった。入ろうとすると、きたねぇガキは入るなといつも追い出される。ブラットが前それにキレて店主を殴り警察に追いかけ回されたことがあった。
入ると、圧倒された。本が所せましと並んでいる。あたしはリンジーについて行った。空中に本がプカプカと浮いていた。
『やあリンジーちゃん、今日はお友達を連れて来たのかい?』
声の主を見たときちょっとびっくりした。
ちっこいおっさんだった。声が野太かったからてっきり大男を想像してたんだけど。
ちっこいおっさんは分厚い本を何冊も重ねた上に乗っかって陽気に笑ってた。多分身長はショーンより小さい。
ここ、おもしろっ‼あたしはぞくってした。
『うん、この子はイリーナだよ。』
『あっよろしく‼トラブル磁石のイリーナだよ‼』
『トラブル磁石⁇そりゃおもしれえ‼』
ちっこいおっさんは、ガッはっはと笑った。
『ああ!これこれ!これイリーナに買ってあげるよ。普通の人がここに来たときに読む本なんだよね』
『いいの⁈』
『もちろん!』
『ありがとう‼リンジー‼』
『ガッはっは‼そーかい、向こうの移住地から‼じゃあお祝いにそれはタダでやるよ!』
『本当?やったー!』
リンジーが喜んだ。
『おじさん、ありがとう!』
あたしはお礼を言った。
『いいってことよ!リンジーちゃんは、うちの店にかなり貢献してるからね!ほいじゃ、ここの生活楽しんでな~イリーナちゃん!』
『うん、バイバーイ!』
『気前いいねあのおじさん。』
お店を出てからあたしはリンジーに言った。
『でしょ~⁉私、本屋はいつもあそこしか行かないんだ~じゃあ次は、、、うわっ最悪!』
『どうした?』
『あら~リンジーじゃないの~‼』
前から女の子が三人あたしたちのほうに来た。話しかけて来たのは真ん中にいるブロンドの巻き髪をした女の子だった。
『隣にいるのはお友達?』
『ええ、、、まあね。』
リンジーの顔が明らかに嫌がってる。
『お名前は?』
ブロンドちゃんが聞いて来た。まるで後ろの2人はこのブロンドちゃんを引き立てる飾りみたいだった。
『あたしはトラブル磁石のイリーナよ。よろしく。』
『トラブル磁石ぅぅ?』
後ろの2人がクスクス笑った。
『まあ、変な子!リンジーにぴったりじゃなぁい?』
また後ろの2人はクスクス笑った。
『私は、アリソンよ。右にいるのはサリーナで左にいるのはリリーよ。』
『アリソンにサリーナにリリーね。よろしく。』
なんか、よく分からないけどアリソンは一瞬ムッとした。
『ねえ、私たち五人でお茶しない?いろいろ話しましょ~よ!』
『でも、私たちあまりお金が、、、』
リンジーが言った。
『だいじょーぶよー。お茶一杯くらいならお金あるでしょー?』
サリーナが言った。多分選択権はあたしたちにはない。
”お茶”とやらは恐ろしくつまらないものだった。基本アリソンが自分の自慢をして2人がおだてるといった感じだった。
『さあさあ、イリーナ、選んで!』
メニューを渡されたけど、全く読めなかった。
唯一よめたのはワッフルのみだった。
『じゃあ、あたしワッフル食べようかな?』
『イリーナごめんなさい。お金が、、、』
リンジーは申し訳なさそう。
『ああ、大丈夫だよ。ワッフルしか読めなかっただけだから。』
『えっ?』
アリソンが反応した。
『あなた、字読めないの⁇』
『うん。少しなら読めるけど。』
三人は顔を見合わせた。
『あら、じゃあごめんなさい。メニューわたしても意味ないわね!』
アリソンはあたしの手からメニューをとった。
『あっ、、、』
なんか居心地悪い、、、
『何食べるぅ?』
『やっぱりクレームブリュレかしら~?』
リンジー本当に嫌そう。
『すみませぇーん』
リリーが店員を呼んだ。
『あのぉクレームブリュレとぉ~、季節のフルーツのケーキとぉ~、、、』
ああ、早く帰りたい。
『あなたたちは?』
アリソンが言った。
『、、、紅茶を二つください。』
リンジーはボソッと言った。
こうちゃってなにかリンジーに聞きたかったけど、聞くとまたいろいろめんどうだからやめた。
『なんで、紅茶しか頼まないの?』
『2人はお金がないのよ。』
『あっそっか~』
ああ、そうです。そうですけどそれが何か?
『ねえリンジー、あたし本屋に忘れ物しちゃったみたいなんだけど。』
『えっそうなの?』
リンジーは、不思議そうに聞いた。
『取りに行かなきゃいけないね。』
あたしはリンジーにいわくありげに笑った。
リンジーの顔が少し輝いた。
『そうね!早めに言ったほうがいいわね!あそこ閉まるの早いから!』
もちろん嘘だけど。
そうこうしてるうちに、お菓子とこうちゃがきた。
こうちゃはおいしかった。ちょっと熱かったけど。
『本屋ってどこの本屋ぁ?』
『あのボロいところでしょ?』
『ああ、あの変人小人のお店でしょ?』
『2人にぴったり!』
三人はクスクス笑った。
やっぱりダメだ。
『あのねぇ、あんたたちあたしたちのこと変人変人って言うけど、この世の中みんな変人じゃん‼』
ちょっと声がおっきかったみたい。店がシーンとした。
『あら、じゃあ私も⁇』
アリソンが言った。みんな聞いてるよぉ~
『もちろん。人にはみんな一人一人個性があるっていうでしょ?でもその個性って裏を返せば変ってことだよね?だからみんな変人!
世の中で言われる変人って個性が強い人のこというんだよ。その個性がみんなに分かるくらい主張できるってなんかかっこ良くない?』
一瞬沈黙。
そしたらおっさんが
『その通りだ、お嬢ちゃん‼』って言った。
周りにいた人は、拍手してくれた。
うわっ、恥ずかしい。
『とっトイレ行ってくるっ!』
あたしは走ってトイレに行った。長ズボンだから走りづらい、、、
『あー恥ずかしかった‼』
『かっこよかったよ!イリーナ!ああ、すっきりした‼あいつらの顔みた?ざまあみろって感じ!』
トイレであたしは顔が真っ赤になりながらリンジーと話してた。
『さあ、さっさと帰ろう!"本屋の忘れ物"取りに行かなきゃ!』
2人でにやってした。
『あれ?あいつらいないね。』
あたしはつぶやいた。
テーブルへ戻ってくると、三人ともいなくなってた。
『恥ずかしくなって逃げたんじゃない?まあ嬉しいけど!さっお金払いに行こう!』
リンジーは嬉しそうに言った。
『うん!早く次の場所行きたいなー!』
『次は、どこ行きたい?公園とか?』
リンジーはお財布を出す。
『いいね!普通の公園?』
あたしとリンジーは、"れじ"って呼ばれるところについた。
『うん、あたしからすると普通の公園だけど、、、⁉』
リンジーの表情が固まった。
『どうした?』
『なんでこんなに高いの⁈私たち、紅茶二杯しか飲んでないんですけど‼』
あたしにはよくわからないけど、高かったみたい。
『こちらだと紅茶二杯とクレームブリュレと季節のフルーツのケーキとチョコレートパフェとジェラートのご料金をお支払いして頂くことになっておりますが。』
『ああもう‼あいつらっ‼』
リンジーはめちゃくちゃ怒ってる。
『あたし、そんなに食べてないけど。』
『違うわ!あいつらわざと料金払わないで行ったのよ!恥かかされた仕返しに‼』
リンジーはワナワナと体を震わしてる。
『ねえ、紅茶以外あたしたちなにも食べてないんだけど。』
あたしは店員さんに言った。
『ですが、支払いがそうなってますので、、、』
『じゃあ、私家からお金とって来るので待っててはくれませんか?』
リンジーは怒りながら言った。
『申し訳ありませんが、それはできないんです。そう言って支払いを逃れようとする人もいるので、、、』
『そんな、、、』
リンジーは、怒りと困った顔が混ざったような顔をした。
『じゃあいまからあたしがあいつら探して、、、』
そうあたしが、言ったときだった。
前から黒いコートを着た人があたしたちの前割り込んできた。
『ちょっと!』
あたしが前の人に言った。
『あの~お客様、まだ前の方の会計がすんでないのですが?』
『ああ、この子達の分も俺が払います。』
その声を聞いた瞬間、すべてが停止した。
あたしは、リンジーを引っ張ってゆっくりドアへ移動した。
この横顔も見慣れてる。すごくなつかしく感じる。
『うぁ、、、かっこいい、、、』
リンジーがぼーっとした声でそういった気がした。
その人は、こっちを見た。もうお金は払ったみたいだった。財布をポケットにしまい。微笑んでこっちに来ようとした、、、
あたしの中で警報がビービーとなった。リンジーの腕をひっつかみ全力で走った。
『ちょっ、、、イリーナ⁈』
どこに向かってるのかも分からない。
ただあの人から逃げるために走った。
神崎さん、、、、
アリソン、嫌なやつでした。
イリーナ、神崎さんに会っちゃった⁈