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IRINA ~半分魔女の少し強すぎる女の子の物語~  作者: 中山果歩
Go back in their time編
59/66

あたしたちは、、、

『いい天気だね。』

パトリックが言った。

お城からすぐ近い公園に6人できた。ブラットは早々と木に登ろうとしている。リンジーとナターシャは2人でサンドイッチを作ってくれた。

『あたしも木に登ってくる!』

そう言ってあたしはブラットを追いかけた。

『おう!イリーナ!競争するか⁈』

ブラットが言った。

『うん!』

2人で木に飛びついた。少し前まではこれが当たり前だったのに、今はすごく懐かしく感じる。木に登って、振り向いたときに見える景色がいつも美しいのがあたしが木登りで1番大好きなところだった。

『俺の勝ちだ!』

ブラットはあたしのすぐ上でドヤ顔してる。

『ああ、、負けた、、』

そんな気分も振り向けば全部吹っ飛んだ。じょうかまちが一望できた。城を中心に町が広がってる。

『キレイ、、、』

あたしはつぶやいた。

『ああ、だな。』

ブラットは言った。

『あんたにもそんな感情があるんだ。』

『おめぇ、失礼だなっ‼』

あたしは笑った。

『大人になったらこんなことしなくなるのかな?』

あたしはふと思った。

『でもよ、もっといいことが待ってるぜ⁈』

ブラットは興奮して言った。

『ああ、あんたの夢は大人になることだもんね。』

『おう!大人になって、孤児院の奴らを助けるんだ!大金持ちになってよ!金をみんなにあげるんだ!』

ブラットはそう言って笑った。

『おめーは、なんだっけ?』

『冒険する人。』

『ああ、そうだったな!みんなはなんなんだろうな?』

『確かに、みんなに聞いたこと無かったね。』

ブラットはすいすいと降り出した。みんなに将来の夢を聞きに行ったんだ。あたしもそれを追いかけた。




みんなサンドイッチを頬張ってた。

『なあなあ!おめーらの夢なんだ?』

みんなむせた。

『なんだよ、急に。』

パトリックは本を閉じた。

『さっき2人で話してたんだ。将来の夢。』

あたしはサンドイッチを一枚もらった。

『私は、、医者になりたいな。』

リンジーは顔を赤らめた。

『お医者さんか~』

サンドイッチの具はチーズとハムとレタスだった。

『私は、、なんだろう?考えたこと無かったな。イリーナは?』

ナターシャは気持ち良さそうに伸びをする。

『あたしは冒険する人。いろんなところを回りたいんだ~パトリックは?』

『僕、、夢ない。』

『おめー、つまんねえーな‼』

あたしはブラットの背中を叩いた。

『いってー‼』

パトリックは笑った。

『ショーンは?』

ナターシャが聞いた。

『おいらは、兄貴みたいに強くなりたい‼』

ショーンは得意げだ。

『それじゃあ、おめーはかんちょー以外の技を作れ‼』

『かんちょーは強いんだぞ‼』

ブラットとショーンは2人でガチャガチャし始めた。

『あっ』

『ん?ナターシャどうしたの?』

『今日ダニエルと会うんだった、、』

ダニエルっていうのは、ナターシャのボーイフレンド。

『何時から?』

『あと10分ぐらい。ごめん、私行かなきゃ!』

ナターシャは立ち上がった。

『じゃあ、あたしも送ってく。ナターシャ1人だと危険でしょ?いろいろ。』

ストーカーとかストーカーとか。

『そうね。お願い!』

『というワケであたしもいってきまーす‼』

あたしはみんなに手を振った。ブラットとショーンはまだガチャガチャしてる。リンジーとパトリックは手を振りかえしてくれた。

『ダニエルってどんな人?』

『優しい人よ。リンジーは会ったことある。』

へ~。




『やあ、ナターシャ。あっお友達?』

ダンク祭のときの記憶がよみがえってきた。あの時はマスクをつけてたからよく分からなかったけど。

『うん、イリーナよ。』

『イリーナだよ。よろしく。ダニエルだよね?』

前は“トラブル磁石のイリーナ“と言ってたけど、これを言ってたせいで本当にトラブルに巻き込まれたためやめた。

『ああ、君の話はよく聞いてるよ。』

ダニエルと握手した。ナターシャ、一体何を話してる。

ダニエルはリンジーと同じくらいの褐色の肌の黒髪。身長がまあまあ高い。

『じゃあ、楽しんで!』

あたしは2人を見送ったあと、1人で公園に戻ろうとした。ん?待てよ、、、ジョーカーはいつもあたしが1人でいるときに登場するよな、、どうしよう、、なるべく人混みを通ろうっと。

少し遠回りして歩いたところだった。

前から上半身裸の男がすごい速さで走ってくる。しかもめちゃくちゃ速い。よく見たらそれがブラットだと分かった。

『あっブラット、、‼』

呼び止めようとしたがブラットはあたしに気づかず、通り過ぎた。わずかに見えたブラットの顔は歪んでた。ケガで歪んだものではない。心から滲み出ているものだった。

かなりあとになってみんなが息を荒げながら追いかけて来た。

『どっ、、、どうしたの?』

『はぁっ、、、はぁっ、、、イリーナぁ、、、』

ショーンが泣いてあたしに抱きついて来た。

『しょっ、、ショーン、、』

『僕が、、ブラットを、、止めてくる。リンジーは、、イリーナに、、』

パトリックはまたブラットを追いかけ始めた。

『何、、どうした、、』

『イリーナ、よく聞いて欲しいの。』

リンジーはあたしの肩に手を置いた。

『イリーナ、あのね、、、』

リンジーの話は信じたくなかった。あたしたちを闇に突き落とす話だった。ショーンもあたしの膝でずっと泣いてる。

あたしはしばらく黙ってた。

『リンジー、、先に行ってて。やりたいことがあるの。』

リンジーは黙って歩いて行った。

『ショーン、、、行こうか。』

泣いてるショーンを引き連れて、リンジーとは反対方向へ向かった。




あたしたちはさっきいた公園にたどり着いた。周りには誰もいない。

『いるんでしょ。出て来てよ。』

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