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IRINA ~半分魔女の少し強すぎる女の子の物語~  作者: 中山果歩
Go back in their time編
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仲直り大作戦!

あたしはばたりとベッドに倒れこんだ。

あたしはアリスの父親について考えた。あの人はあたしの父親像からかけ離れてる。あんなことされたこともなかった。それにあたしの場合は手を伸ばした先には常に助けてくれる人がいた。アリスにはそういう人はいなかった。いつも1人であの感情を持ち、1人で耐えたんだ。そして父親はそんな気持ちを無視してアリスを傷つけた。あたしの知らない、暴力以上に心を傷つける方法で。あたしの父親はどんな人だったんだろう?、、ふと思った。こんな父親だった?いや、そんなはずはない。でも知りたい。

決めた。父親と母親がどんな人だったか、オリオンに聞こう。知りたい。あたしの本当の名前も。

『ごめんなさい。変な記憶を見させてしまって。』

後ろから声が聞こえた。振り向くとアリスがいた。前に見たときより実体化してる。

『アリス、、、』

『私の計画はね、あなたに私の記憶を見させてあなたを常に眠い状態にしてあなたが常に私を見れるようにしてから、あなたとお友達にいろいろ話すっていう計画だったのよ。そしたらあなたと魔女のお友達に通訳してもらえるから。、、、でもお友達がケンカしてしまったから。』

リンジーとナターシャのことだ。

『それなら早く言ってくれれば良かったのに。ずっと起きてるよ。』

アリスは微笑みながら首を振った。

『あなたが私の記憶をみてるときって寝てないも同然なの。だから大して変わらないわ。それに記憶を見て欲しいのもあるし。』

『なんで?』

『あなたたちには彼の過去を知って欲しいの。』

なんか他にも理由がある気がしたけど、今は聞いちゃいけないかな。

改めてアリスをみると、よくわからない親近感を持った。髪色もあたしに近いし、目の色もあたしと同じだった。

『あたしたちさ、親戚じゃないよね?』

思わず聞いてしまった。

『いいえ。違うわよ。私もあなたに親近感がわくのよ。』

アリスは笑った。パトリックが言ってたことが分かる気がした。

『あと、、、あの2人なんだけど、、ケンカしてる2人。』

アリスは急に思い出したように言った。

『ああ、、、』

あたしは言った。

『あの2人のケンカの原因は、”自信の無さ”よ。』

へ?

『どういう、、、』

『ナターシャっていう子もリンジーっていう子も自分に自信がないの。ナターシャっていう子は自分が貴族に生まれて無理矢理顔を変えられて、ろくでなしって言われ続けたから自分に価値を見出せないの。アージュドールの人がさらわれたときも自分は足でまといだって思ってたらしいし。』

足でまといなんかじゃないのに!

『それにリンジーって子も自分をブスだと思ってて、白魔法もろくに使えないと思ってる。友達もしばらくいなかったからね。』

そんな。魔法が少しでも使えるだけで幸せじゃん!

『それで2人はお互いの悩みを打ち明けたとき、お互いになぜ相手がそれで悩んでるか分からなかったのよ。例えばナターシャはリンジーの自然な顔が羨ましいけどリンジーはナターシャの顔が良かったりね。』

なるほど。

『うーん。2人のケンカの理由は分かったけどさ、、、』

『分からないんでしょ?あなたは。まあ女の子の悩みよ。』

アリスは頷きながら言った。

『なんかそれ、あたしが女じゃないみたいじゃんか‼』

アリスは笑った。

そのときだった。あたしの中で最高に素晴らしいアイデアを思いついた。

『イリーナ?何ニヤついてるの?』

アリスはあたしがおかしくなったと思ったらしい。

『いいこと思いついた!2人を仲直りさせる方法!』



『幸運を祈るよ、イリーナ!』

エリザベッタはあたしに言った。

『ありがとう!エリザベッタ!約束通り、うりあげはちゃんとあげるからね!』

あたしはエリザベッタにガッツポーズをした。今あたしはエリザベッタの店にいる。

あと十分くらいで来るな。着替えよっと。

『ねえ、アリス。リンジーは魔女だからあんたが見えるけど、もしもリンジーが来たらいなくなるの?』

あたしは着替えながら言った。

あたしは今は常に眠い状態だからアリスは普通に見える。

『いいえ。魔女は幽霊が常に見えるのが普通なの。だから私がいても気にならないわ。』

アリスは言った。

『よしっ!準備OK!』

そうつぶやき、あたしは隠れた。

『上手くいくといいわね。』

アリスがあたしに言った。

『イリーナ?来たわよ~!』

リンジーの声がした。あたしを探してるみたいだ。じゃあ、ナターシャもそろそろ、、、

『イリーナー!』

ナターシャの声!よし。そろそろだ!

『2人はお互いの存在に気がついたわよ。』

アリスが小声で教えてくれた。行くぞー‼

『みんなー‼ヤッホー‼』

あたしは店のカウンターから飛び出した。

リンジー、ナターシャを初め、店に来てた客も目が点になった。まあそうでしょう。


だってあたし、大きなサングラスかけて真っ赤なストレートヘア、耳からは巨大でカラフルなイヤリングがぶら下がり真っ黄色のTシャツとジャラジャラとつけたネックレス、めちゃくちゃ短いズボンにどピンクのたいつと呼ばれるものを着てるんだから。

『YO~‼』

しーん。

『ふんっバカじゃない?』

誰かがつぶやいた。それはあの憎たらしい声がだった。

うっそ~。これは計画外。

『アリソン、、、』

アリソンはジュース片手に近づいてくる。

『なに?小遣い稼ぎ?まあ、あんたみたいなブスにはお似合いよ。そういう服。』

今日は後ろに2人ついてる。

『ふーん。まあ知らないけど。でも今からあたしがすること邪魔しないでよね。』

あたしは無視しようとした。

『あんたみたいなやつが公共の面前で出るべきじゃないわ。字も読めないバカがね。』

店内は少しざわめいた。

『こうきよーのなんとかがなんなのか分からないけど、字は最近読めるようになったよ。』

リンジーとナターシャはあたしのそばに来ようとしたけど、あたしは止めた。めげてたまるかっ‼

『ふんっ。そんなの知ったことじゃないわ。』

いつもと少し違うのは、後ろの2人がクスクス笑わない。アリソンもそれに気がついたらしい。

『ん?なに?あんたたち、面白くない?』

後ろの2人は引きつり笑いをした。

『今から大事なことするんだから、邪魔しないでよね。』

あたしはもう一回言った。

『それに字が読めないのは、どうしようもないこと。あんたには分からない世界だよ。あんたみたいに外見しかこだわりのないやつにはね。』

こう自分で言ったときぴんときた。これ、アリソンどもを上手く使えるかも。

『みんな、外見じゃ分からないこともあるよね?いろいろ。例えば、ニキビで悩んでる人は?自分に価値のないと思ってる人は?』

店内でパラパラと手をあげる人がいた。

『何いい人ぶってんの。ムカつく。』

アリソンは言った。

『あんたらにムカつかれてもどうでもいい。それにそういう事言うと顔に出てくるらしいよ。』

それがアリソンの怒りに触れたらしい。ジュースをあたしにぶちまけた。

『うわっ!』

これは予想外のことだった。

『お前、、、なんか、、、あんたなんかより、、ずっと、、美しいわ、、、あんたは、、ボサボサの髪で、、日焼けして、、そばかすだらけで、、、バケモノみたいな顔してるくせに‼』

アリソンは怒りながら言った。もういいや、放置。

”あなたには私の価値は分からない”

あたしは歌った。みんながその様子を見てる。

『は、、、?』

アリソンは唖然としてる。

『ケイトの歌。』

それだけ言ってあたしはまた歌い出した。

”あなたには私の価値は分からない、でもわかる人にはわかる”

”私はミス美人じゃないわ。私は自分の中のミスコンに優勝したいの”

”だからあなたに悪口を言われてもどうでもいい、だってあなたは私に嫉妬してるだけでしょ?”

歌い終わると、みんなが拍手してくれた。ナターシャもリンジーも。

アリソンは椅子を蹴りながら帰って行った。

あたしからは、パインジュースの香りが漂ってる。




『ほい、お疲れさん!』

エリザベッタがあたしにアイスをくれた。

『ありがとう!』

あたしは頬張った。

『いいってことよ!今日の売り上げ、あんたのおかげで跳ね上がったんだから!』

エリザベッタが言った。

そもそも、あたしの計画はこうだった。

まず、2人を呼び出す。2人を隣同士で座らせてあたしが歌い、2人は仲直りって感じだったんだけどアリソンがめちゃくちゃにしかけた訳だ。

まあ、あのあと2人は一緒に帰った。そこで話し合いをするみたいだ。上手くいくようにとあたしは願うばかりだ。

『てかさ、アリソンのやつなんでタイミングが悪いわけ?』

あたしはエリザベッタがいなくなったあとにアリスに言った。

『実はね、、、アレキサンダーが呼んだのよ。』

『、、、えっ⁈』

あたしは立ち上がってしまった。

『正確に言うと先にパトリックって子がやろうとしてたんだけど、彼が横取りしたの。』

、、、?

『なんでそんなことを、、、?』

『まあ、言いづらいんだけど、、、やっぱりあなたの計画じゃ不安だったんじゃないかしら?』

そんな、、、

『だって、2人を呼びつけて急にあなたが歌い出すなんておかしいもの。2人からするとなんのこっちゃ分からないわよ。』

、、、確かに。

『だからあの子を呼ぶことであの子はあなたをけなすでしょ?それからあなたが歌ったらまだ説得力あるわ。』

えー。上手くいくって思ってたのに~‼

まあ、これで2人が仲良くなればいっか。

ジョーカーがアリソンたちを呼びに行ったのはパトリックの嫉妬心以外の何物でもありません(笑)

まあアリソンはおバカなのでジョーカーの

『ねえ、君と食事したいんだけど。』

の一言であっさり引っかかりました。

ちなみにパトリックが言ってもアリソンは引っかかったでしょう(笑)

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