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IRINA ~半分魔女の少し強すぎる女の子の物語~  作者: 中山果歩
Go back in their time編
53/66

甘ったるい夢と気まずい現実

『あなたには、ストーカー癖があります。違いますか?』

”あたし”はアレキサンダーに尋問してる。

『、、、ある。』

彼は少しむすっとして答えた。

『私があなたを知る前からあなたは私をつけてた。違いますか?』

『、、、つけてた。』

カフェでアイスを食べながら”あたし”は考えた。

『なんで話しかけなかったの?』

”あたし”は聞いた。

『、、、君に嫌われると思ったから。』

『なんで、、、』

『人はヴァンパイアに異質さを本能で感じるんだ。いい意味でも悪い意味でも。』

彼は口を尖らせた。子どもみたい。

『まあ感じたけど、、、』

”あたし”はつぶやいた。

『どんな風に?』

彼は身を乗り出した。”あたし”は顔が赤くなっていくのを感じた。あの初めて会ったときの感覚は伝えられない。

『今は私の質問の番だから!』

慌てて”あたし”は言った。

そう。2人でお互い分からないことが多すぎるからこの際聞こうってことになったのだ。

『分かったよ。他に質問は?』

彼は言った。

『あなたいくつ?』

『一応23で止まってる。だからそういうことにしておいて。』

彼はごまかし笑いをした。そういうところずるいんだから。

『なんで、、、私なんか好きになったのよ。』

”あたし”は顔を赤くしながら言った。

『うーん、難しい質問だな。正直言って俺にも分からない。でも君を初めて見たとき、君は子供たちとはしゃぎまわってたんだ。それがなんか、、、すごく愛しくて、、、それから君をつけ始めた。君の血の匂いを嗅ぎ回ってね。』

やっぱり聞くんじゃなかった。”あたし”の顔が赤くなりすぎて、顔の上でお肉でも焼けちゃうわ。

『じゃあ、質問終わり?次は俺だよ。』

彼は勝手にすすめた。

『俺に初めて会ったときに君はどんな異質さを俺に感じたの?』

やっぱりそこなの?恥ずかしい。

『、、、すっ、、』

『ん?何?』

彼は”あたし”に耳を近づけた。

『、、、すっごく、、、ハンサム、、、だな、、、って、、、』

また顔が赤くなる。彼はにやついてる。

『嬉しいな。君にそう思ってくれて。』

『私だけじゃないわよ。町中の人がそう思ってるわよ。絶対。』

そこは断言した。でも彼は不思議そうな顔をした。

『えっ、、、もしかして、自覚してないの⁈』

”あたし”は唖然として聞いた。

『君がそこまで俺をかっこいいって思ってくれるのはすごく嬉しいけど、、、俺は大したことないよ。』

大したことないですって⁈”あたし”をよそに彼は質問を続行した。

『君ってさ、その青のワンピースが好きなの?俺は好きだけど。』

”あたし”は頭が戻ってくるまでに時間がかかった。

『えっ、、、違うわ。ただ、外出用の服が少ないだけで、、、』

『ふーん。今度、買ってあげるよ。ちょうどあと一ヶ月でダンク祭だろ?』

彼は普通に言った。

『えっ、いいわ!行けるかも分からないし!』

『俺が迎えにいく。俺決めた!なんて言っても君をダンク祭に連れて行くよ。』

そんな、、、

『、、、父が許さないわ。』

”あたし”は小声で言った。彼に知られたくないという気持ちと知って欲しいという気持ちで揺れる。

『君のお父さん?』

彼は無邪気に聞く。

『ええ。2、3日かに一回のペースでしか家にいないんだけど、いつも私に暴力を振るうの。私は行くあてもないから。』

それだけ伝えた。彼は少しショックを受けたみたいだ。

『、、、そうなんだ。でも洋服は買いに行かない?それならいいだろ?』

『でも、あなたにおごってもらってばっかりだわ。』

『いいんだよ。気にしないで。』

彼はそう言って微笑むと、”あたし”を抱き寄せた。

『辛かっただろう。大丈夫。これからは俺がいるから。アリス。』

その言葉にすごく安心した。ずっとこのままでいたい、、、!

『ごめん。冷たかっただろ?俺”死体”だから。』

彼はそう言ってニヤッと笑った。

『そういう冗談は良くないわ。』

”あたし”は彼から離れながら言った、、、




起きた。あたしは砂糖を吐きそうになった。人って恋するとこんなに甘ったるくなるんだ。

顔を洗ってるとき、ナターシャとリンジーの事を思い出した。どうしたら2人は仲良くなるかな?孤児院にいたときはどうしてたっけ?

そんなことを、考えてたら床に手紙が落ちてた。

(イリーナへ

約束忘れてないよね?今日朝ごはん食べたら来てね。)

送り主は書くまでもなかった。すっかり忘れてた!あいつ、なんでよりによって、、、てかどこに行けばいいの?

約束したつもりはないけど、、、仕方が無い。覚悟を決めろ!




朝ごはん食べに行ったら、リンジーに会った。

『あっ、おはよう!』

あたしは明るく言った。

『おはよう、イリーナ。』

リンジーも微笑んだ。

『イリーナ、今日も夢を見たの?顔がひどいわよ。』

リンジーが心配そうにあたしの顔を覗き込んだ。

『そう?確かに眠いけど、、、』

そう言いかけたとき、なんとナターシャがやって来た。急に張り詰めた空気が流れた。

『おはよう、ナターシャ。』

あたしはナターシャにあいさつした。

『おはよう、イリーナ。』

ナターシャも返してくれた。

でもそのあとは沈黙が続いた。こんなに黙々と食べる朝ごはんなんて耐えられない。

『♪ん~だったったらら~だらららら~♪』

あたしは歌ってみることにした。雰囲気が穏やかになることを願って。お皿をナイフとフォークでカンカンカンって鳴らした。

2人はあたしを”あなた何考えてるの?”って顔で見た。

『だったっららら、、、ごめんなさい。』

あたしは謝った。ますます気まずくなった。




気まずい朝ごはんを早々と終わらせて、あたしは次の試練に備えた。深呼吸をして、門を出た。

次の瞬間だった。あたしは誰かに抱き上げられて、目にも止まらぬ速さであたしは風を切って移動していた。瞬間移動とも言うかも。

怖くて、抱き上げた奴にしがみついた。

『君もそういう面があるんだね。』

”抱き上げた奴”は笑いながら言った。

目を開けたら止まってた。

『あんたさ、あいさつぐらいしてよ!』

目を開けると知らないところに来てた。

あたしは降りながら言った。顔なんて見るまでもない。

『てか、ここじょうかまちじゃない!おばちゃんに怒られる!』

あたしは見たこともない場所をうろうろした。

『城下町はやだ。あいつらの管理下だから。ここは、アダマースって村だよ。帰りはまた送るから安心して。』

あいつは言った。やだって子供かよっ!

『今日行くところは俺が好きな店。君のご希望通り、太陽で照らされてる場所だよ。ぎんぎんじゃないけどね。』

あいつはあたしを引っ張っていった。

『ちょっと‼』

あたしはあいつの腕に全体重をかけたけど、びくともしない。あいつはまるで巨大な綿を運んでるような気分なのかもしれない。

『てかさなんであんた、太陽に当たっても平気なの?』

あたしはあいつの顔に太陽の光が当たっても全く気にしてない様子なので聞いた。

『内緒。』

こいつ、あたしが分からないから笑ってやがる。

そういえば、パトリックがなんか言ってたな。

”最近だと日光をはじき返す指輪ができたから完全な弱点ではないけど”

『あんた、指輪つけてるの⁈』

あたしは言った。あいつは笑うのをやめた。

『いざとなったら指輪を破壊してやる!』

あたしは決意した。

『やめてくれよ。』

あいつは少しうろたえた声をした。

『あんたが変なことしたらね。』

あたしは声を鋭くした。

『別に変なことなんて、、、ほら、あそこだよ。』

あいつは指差した。

なんちゅうやつ。

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