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女王様とあたし

計画は夜に行うことにした。

この話にショーンが全く入って来ない訳が分かった。ショーンはあたしたちと一緒に来る前提でいたのだ。来る気満々でいたため話に全く入ってこなかったのだ。

ショーンが初めて話した一言。

『でさ、おいらは銃をいくつ持てばいいかな?』

ブラットと顔を見合わせた。

『お前来るのかよ⁈』

ブラットが叫んだ。

『おいら行くんでしょ?』

『いや、置いてくつもりだけど。』

『えー‼なんでだよ⁈おいらがリンジーとナターシャを守らないと‼』

リンジーとナターシャがこっそり笑った。

『おめーは、、、もういいよ‼連れてくよ!しょーがねーな!足でまといになるなよ!』

『じゃああんたはご希望通り、、、リンジーとナターシャの護衛で。』

あたしはショーンに言った。

『よろしくね。ショーン!』

リンジーは言った。ショーンは顔が赤くなった。

『おめーデレデレすんな!』

あたしはショーンの頭を叩いた。


キャビテのためにこの三日間でアージュドールのメンバーのことを徹底的に調べた。

リンジーとパトリックとブラットで襲われた基地に深夜に忍び込み部屋をあさった。

あたしは未だにキャビテがなんなのかわかってないけど。

『ちわーす!』

深夜の2時ごろに三人は帰ってきた。

『それにしても異色の三人だったわね。』

ナターシャが言った。

『ええ。分かってたつもりだったけど、ブラットってホントめちゃくちゃね。』

リンジーが言った。

ブラットはあたしの部屋のシャワーを勝手に使用しだした。

『一応手がかりになる言葉は集めた。』

パトリックはあたしに目を合わせないようにしている。あれからパトリックはあたしを避けてる。あたしは彼と話したい。

『オリオンにおいては手紙があった。いざとなればその文を読めばいいかもしれない。』

『これで全てそろったわね。あとは武器を盗んで抜け出すだけね。』

ナターシャが言った。

『今からか?』

ショーンはウズウズしてる。

『いや、明日。』

あたしは言った。

『明日かよ~?』

『ショーン、遊びじゃないの。人の命が関わってるんだから。』

あたしにおこられてショーンはしょげた。

『それじゃあ、明日の夜に。』

リンジーが言った。

『夜にね。』

あたしは言った。


眠れなかった。あたしはむくりと起きて庭に出た。

ベンチに座りぼーっとしてた。考えてみれば、5日前には花火をみてケイトの歌を聞いてて、、、その先は考えないようにしよう。

花のつぼみが光ってる。あたしはそれに手を伸ばそうとした。

『妖精の寝方なのよ。花びらをたたませるの』

後ろから女王様が来た。微笑んでる。

『あっそうなんだ、、、』

あたしは手を引いた。

『眠れないのね』

『うん、まあね、、、』

この人改めて見ると、この人から銀色の光を放ってる。ギンギンしたかんじじゃなくてふんわりとただよってる。

『まあ、いろいろあったものね。私も眠れない夜があるもの。』

なんかこの人に悪い気がしてきた。明日の夜も"いろいろ"あるし、この人に"眠れない夜"をあたしたちが作ってしまうかもしれない。

『ダンク祭はどうだった?あなたは初めてって聞いたけど。』

女王様は隣に座りながら言った。

『うーん。最初と最後は最高だった。』

『間は?』

『間は最悪だったの。いじわるガールズに会うわ、、、ジョーカーに口づけされるわ。』

言っちゃった。もう言っちゃったほうが楽になるわ。

『口づけって、、、キス?』

女王様は口をあんぐり。

『そうともいう。キスは生々しいから言わないけど。』

キスなんて絶対言わない。変わらないけど。

『、、、まあ。』

『ホント、ショックだった。しかも一回じゃなかったの。何回もつけたり離したり付けたり離したり‼もう嫌だった。そんな経験無かったから、、、』

ああもうやだ‼でもスッキリした。

『、、、私キスすらしたことないわ。』

女王様は言った。

『あんなやつとキスするよりマシよ。』

『どうしてキスを?』

『あいつが急に、、、』

『ぶっぶっぶっ‼』

女王様が急に謎の効果音をだした。顔の前で激しく手のひらを振ってた。

『どうしたの?』

あたしはびっくりして聞いた。

『虫が飛んでて、、、』

女王様は嫌そうな顔をした。

そんな一面があるなんて、、、

『あっはっはっは‼』

あたしは笑った。面白い人だな。この人!

『虫は嫌いなの。蝶ならいいんだけど、、、』

女王様は顔をしかめた。

『あら、もうこんな時間。』

女王様はいつのまにか時計を出していた。

不思議な時計だ。時計の中で金の粉が絶え間なく散っていた。時計の針も宝石が埋め込まれていている。

『うわっ、、、キレイ、、、』

あたしは思わずつぶやいた。

『あら、こういうの好きなの?』

『うん。ギラギラしてるわけじゃなくてさりげなく輝いてるのがいい!』

『そうなの?これお守りなのよ。王室に伝わるね。あげましょうか?』

突然の提案にあたしは唖然とした。

『えっいいよ!これあなたのだし壊しちゃいそうだし!しかも代々伝わるものじゃないの?いいよ!』

『確かに代々伝わるものだけど私もう一つ持ってるの。金色の粉じゃなくて花火なんだけど。私そっちのほうが好みなのよ。』

それでいいのか女王様。

『あっでも、、、』

『少し待って。』

女王様は時計を裏っかえしにして指先から細い光を放ちはじめた。何かをかいてるみたい。

『はい。これ。』

裏にはおしゃれな字でこう書いてあった。

"親愛なるイリーナ あなたとの出会いに感謝。ミアーナ"

『今日の出会いにね!』

女王様はニコニコしていた。

あたしは胸に熱いものを感じた。物の価値以上のものをあたしにくれるんだ。

この人なら信じられる?

『、、、ありがとう女王様。大切にする!』

あたしは心の奥底からお礼を言った。

『女王様じゃなくてミアーナがいいわ。みんな怖がってそう呼んでくれないんだけど。』

『ありがとう。ミアーナ。』

ミアーナはほほえみではない、満面の笑みを浮かべた。

『明日から、あなたのお友達にもそう呼んでもらおっと‼』

本当に嬉しそうに女王、、、ミアーナが言った。明日、、、思い出した。明日あたしはこの人を傷つけるかもしれない。いや、傷つける。

『ミアーナ?』

その呼び方を心底嬉しそうに振り返った。

『なに?』

笑ってる。なんて言おう?

『あのさ、あたしたちトラブルメーカーなの。だから"ちょっとしたトラブル"があるかも。でも、それは悪気はないの。それだけ伝えようと思って。』

ミアーナはよくわからない顔をしたけど

『分かったわ。』

と言って微笑んでくれた。

『それじゃあ、おやすみなさい。あなたと話せて面白かったわ‼』

『おやすみなさい。』

あたしはミアーナに笑いかけた。

ミアーナお辞儀をして滑るように歩くといなくなった。

あんたはこの人を裏切るんだ。

あたしの頭の中の声がいじわるにつぶやいた。

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