まじ最悪。
そうだよ。そもそものことのはじまりはあいつらだよ!
アリソンと"ゆかいなゆかいな仲間たち"がいた。"仲間たち"は三人増えてる。アリソンはピンクのブリブリドレスを着ていて髪の毛をいじっていた。女王ぶってる。
『ねえぇ~これ可愛くなぁ~い?』
『かわいい~!』
最初はこいつらに文句言ってやろうって思ったけどやめた。せっかくこんなに楽しい夜なのにこいつらにまた潰されたくない。
無視して行こうとした。
『あら~イリーナじゃなぁ~い?』
やべっ!見つかった。逃げようしたときにはもう遅かった。
『イリーナ~元気ぃ~?』
アリソンが近づいてくる。
やぁぁぁめぇぇぇろぉぉぉ!
『あら、あなたティアラつけてるのぉ~つけないほうがいいわ~あなたがつけるとティアラの輝きにあなたがかすんじゃうわ!』
アリソン黙れぇっ!
『それにそのドレス!ドレスがかわいそうだわ!あなたみたいな人に着られると!』
泣いてもいいですか?六人に囲まれて逃げられないし。
孤児院にいたときはみんなが人のものをこんなに侮辱することなんてなかった。そもそもおしゃれすることもなかったけど。
ブラットは見慣れてないから気持ち悪いって言ったんだと思う。
『お化粧もあなたの顔のブサイクな面を引き立ててるわ~!』
六人はクスクス笑った。
『お化粧はおばちゃんがやってくれたの!お化粧はバカにしないで!』
あたしは怒った。
そしたらアリソンにてぃあらをひょいって取られた。
『返してよ!』
もうこいつら嫌い!なんなんだ⁈
アリソンはてぃあらをくるくるふりまわしてる。あたしはすばやくアリソンの手からてぃあらを奪った。
こいつとあたしの生活環境じゃ力もスピードも違う。
『あんたらが男なら一人ずつ鼻をへし折るところよ!』
悔しかった。でも、孤児院の子供たちの中で決めたルールで普通の女と自分たちより年下は殴らないというルールが存在する。年上の男でも向こうが殴ってこようとしない限り自分からは殴ってはいけない。あたしの中でそのルールがしみついている。
だから殴れない。
『あっはっはっ!殴れば?鼻を折れるもんならね!』
後ろの一人が言った。
ムカつく、、、
あたしは囲んでるやつの一人を押しのけてスタスタと歩き出した。
『あー!ミシェル大丈夫⁈暴力反対!』
知らないよ!あんたらが殴ればって言ったくせに!そもそもなぐってなんかないし。
『ちょっと!謝りなさいよ!』
アリソンはリーダーぶってあたしの腕をつかんだ。
『そっちだって謝って!あの時自分たちのお金全部あたしたちに押しつけて!あのあとどうなったか知ってる⁈払ったやつがあたしたちを追いかけて捕まって閉じこめられて本当大変だったんだから!背中痛めるわ足の骨折るわでね‼』
あたし、そんなに友達にキレるほうじゃない。しかも女に。
『あっはっはっは!バカじゃなーい?この子?』
六人は大笑いした。信じてない。まあそれもそうかもしれない。
『それってさ~、、、』
アリソンの言葉はさえぎられた。
『ごめん!待った?君のことこの人混みだと探せなくて、、、』
男の人があたしの肩に手を置いた。
アリソンども六人はその男をみてぼーっとしてる。
あたしも違う意味でぼーっとした。
まじ最悪。なんで嫌いなやつが次々と現れるわけ?
『この人たち友達?君たち悪いけどイリーナと踊ることになってるからまたね。』
その男はあたしの腕をつかむとあたしを引っ張っていった。
その力じゃ多分あたしは逃げられない。
『ちょっと、、、離して、、、!』
あたしは男に言った。
『そうしなきゃ君は逃げちゃうだろ?イリーナ、、、』
『、、、ジョーカー、、』
『ああ、その名前で呼ばないでよ。どこにどんな人がいるか分からないからさ。』
ジョーカーは銀色のマスクをつけてる。だから顔は分からないはずなんだけど、それでもあいつらをぼーっとさせるなんて、、、
ジェイミーの言葉を思い出した。
"あいつはあの甘いマスクで何人の女性の血を吸ってきたことか"
ぞくっと鳥肌がたった。
『離してよ。』
あたしは半分諦めてる。でもとりあえずいっておいた。
『このあとリンジーと合流するのよ。あんたに付き合ってる暇はないわけ。』
『でも付き合ってもらう。』
ふざけんなぁぁぁっ‼
『あとナターシャとも、、、』
それを言って後悔した。
『ナターシャ?新しい友達?どんな子?』
やっぱりこいつは聞いてきた。
ごめん、ナターシャ!
『あんたには関係ない!離してよ!』
こいつは歩く方向を変えて屋台に向かった。
『ひとつください。』
こいつは店の人に言った。
『あいよっ!』
店の人は愛想がいい。
あいよっ!じゃない!助けて!お願い!
こいつは財布を出し始めてる。
『やめて!あたしいらなんぐぐぐっ~!』
あいつはあたしの口をふさいだ。
『ほーい。まいどっ!』
おっさん!助けて!マジで!
あいつは何かを受け取ってあたしを引きずりながら席に座った。
あたしを強制的にあいつの隣に座らされてあたしが逃げないように腰に腕を回されあいつの体に引き寄せられた。
『やめろっ!離、、、』
『アイス。君好きでしょ?』
あたしの言葉はこいつにさえぎられた。
『どうせ逃げられないんだし、食べれば?』
『あんたが逃がしてくれればいいでしょ⁈』
『やだ。逃がさない。』
あたしは思いっきりこいつを睨みつけた。
でもどうしようもない。
あたしはスプーンを握りアイスをやけ食いし始めた。でも思わず言ってしまった。
『うまっ!』
あたしは言ったあとにしまった!と思ってこいつを見た。
笑ってる。
あたしは腹がたってまたこのおいしいアイスをやけ食いした。
『きれいだね。』
あいつは急にあたしに言った。
『はぁっ⁈』
あたしがそう言ったときに相当変な顔だったからだと思う。またこいつは笑った。
『本当だよ。あのおバカさんたちは君のことひどく言ってたけど、君はすごくきれいだよ。』
あいつはあたしの頬をなでながら言った。
『バカにしないでよ!きれいなわけない!』
こいつの手を振り払ってまたあたしはにらんだ。
『だから本当だって。あの子達に言われたことが傷ついた?それとも言ったのが俺だから?』
『どっちもよ!』
あたしはアイスを一口食べながら言った。
『じゃあパトリックに言われたら素直に喜んでたかな?』
『、、、はっ?なんでパトリックが出てくるの?』
『君たちが閉じこめられていたときにパトリックにお店でのスピーチを褒められて素直に喜んでたじゃないか。俺が言ったときには怒ったくせに。』
『パトリックはあたしのこの姿きれいなんて思ってない、、、てか聞いてたの⁈』
『誰がいないって言った?』
『、、、信じらんない。』
全部聞かれてたなんて!親の話とか全部聞かれた!もうっ、、、!
そのとき音楽が流れ始めた。
『あっケイトの歌だ!』
ケイトっていうのは歌手のこと。あたし、ケイトの歌大好き。あんまりケイトの歌を聞けることはないんだけど。
立とうと思ったけど、こいつがあたしの腰に腕をしっかり回してるから立てない。
立って踊りたい。それで歌いたい。
『立たして。』
あたしはこいつにぶっきらぼうに言った。
踊りたいなんて言いたくない。
『なんで?』
『別に。』
『理由言わなきゃダメ。』
『この歌もっとよく聞こえるところで聞きたい。』
『逃げないでね。』
と言ってこいつは腕を離した。逃げないわけないじゃん。ふっふっふ。
あたしは普通に歩いていってあいつが見えなくなると入り口に向けて走り出した。リンジーに会わなきゃ!もうそろそろくる時間だ。
入り口にたどり着いた。少し息を荒げながらリンジーを探したけどいなかった。しばらくケイトの歌を聞こう。
"この光を失わないわ、だって私はこの光を頼りに生きてるの、きっとあなたは私の光がまぶしすぎるでしょう、そうよ私はこの光を頼りに生きていく"
この歌大好き。サビが本当に好き。
あたしは1人で踊って歌ってた。
歌と一緒に花火が打ち上げられた。
『うあー!きれい!』
歌が変わった。またケイトの歌!今度はバラード。
"なんでこうなったんだろう、私はただ普通に生きてただけなの、でも私の運命はあなたのせいで変わってしまった"
あたしは花火を見ながら聞いてた。この歌も好き。恋愛ソングだからよく分からないけど。
1人で思わず笑ってた。
"きっとあなたは私の運命を変えたなんて思ってないでしょうね"
足音がした。見るとあいつだった。
"あなたは自分のしたいことをしただけ"
『やばっ』
あたしは逃げようとした。
"でももうこれ以上私の運命を変えないで"
また捕まった。でもあいつは何にも言わない。じっと私を見つめてる。
『何、、、?』
あたしはつぶやいた。
急にあいつの顔があたしに迫ってきた。
"私にはどうすることもできない"
あたしの唇に冷たくて柔らかいものが触れた。
"誰か私をこの人の毒牙から救って"
柔らかいものがあいつの唇だってしばらくたって気がついた。
"あの人の毒が私の体に入る前に"
この歌はまるであたしのことだった。
花火が美しく空を散った。




