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世界史A  作者: MICKEY
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第6話「諸民族の春」

七月革命により成立した七月王政。銀行家(金融資本家)中心の金権政治を行うルイ・フィリップ。


その頃、「産業革命」の本格的な進展により、「産業資本家」が誕生。

資本家階級が成長し、「参政権」の拡大を要求。労働者階級には社会主義思想が広がった。



1848年「フランス二月革命」。

その直接のきっかけは、「選挙法改正」を要求する集会を政府が弾圧したことだった。

これも七月革命と同じく、「パリ市民」が蜂起。再び激しい市街戦を繰り広げた。


これにより国王ルイ・フィリップはイギリスに亡命、七月王政は崩壊し「第二共和政」が樹立された。

こうしてヨーロッパ各地に自由主義・ナショナリズム運動が盛り上がり、「諸民族の春」(諸国民の春)が始まる。


第二共和政(1848~52年)の展開で、「臨時政府」が成立。臨時政府には、資本家階級を代表する共和派「臨時首相ラマルティーヌ」らと、労働者階級を代表する社会主義者「ルイ・ブラン」らが居た。


臨時政府は、自由主義的改革として「男性普通選挙」の実現、社会主義的改革として「国立作業場」の設置など、様々な政策を進めた。


また、4月には「総選挙」(四月普通選挙)を実施。普通選挙で国民の初めての意思表明が行われた。


結果、社会主義者は「惨敗」。フランスに多い「中小農民」が社会主義政策の進行により「土地」(私有財産)を失うことを恐れたためだ。

5月に国立作業場は閉鎖。失業者は激増する。

6月には「パリ労働者の六月蜂起」が起こり、政府軍により鎮圧された。

これにより、資本家階級と労働者階級の対立が表面化した。



-諸民族の春-


1848年、フランス二月革命の影響は七月革命を遥かに上回り、ヨーロッパ各地で「自由主義」・ナショナリズム、および「社会主義」を掲げる革命運動が高まる。

これを「諸民族の春」と呼ぶ。これによりウィーン体制は完全に崩壊する。



ドイツ「三月革命」。オーストリアの首都「ウィーン」で市民の武装蜂起。

その結果、「メッテルニヒ」が亡命。


更には「ハンガリー」で「アジア系マジャール人」が指導者「コシュート」自治を求め民族運動を起こす。

しかし結果はロシア軍の支援を受けた帝国軍に敗れた。


「ベーメン」(現在のチェコ)では「スラヴ系チェック人」が都市「プラハ」で「スラヴ民族会議」を開催。民族の同権を主張したが、オーストリア帝国軍により鎮圧された。


プロイセンでも首都「ベルリン」で暴動が起き(ベルリン三月革命)、5月に「フランクフルト国民議会」が開催された。

目的は全ドイツの統一と憲法制定で、統一方法をめぐり「小ドイツ主義」と「大ドイツ主義」が対立。

小ドイツ主義は「プロイセン」中心、大ドイツ主義は「オーストリア」中心に統一しようという考え方で、結果的には小ドイツ主義が勝利し、プロイセン王をドイツ皇帝とすることが決定。

しかしプロイセン王の拒否により、ドイツ統一は実現せず、議会は解散した。


「ポーランド」でも民族運動が起こったが、ロシア軍により鎮圧。

ウィーン体制崩壊後、ロシアはオーストリアに代わるヨーロッパ最大の「保守反動国家」として「ヨーロッパの憲兵」と呼ばれるようになる。


また「イタリア」各地でも民族運動が起こり、革命家「マッツィーニ」率いる革命結社「青年イタリア」は蜂起、一時的に「ローマ共和国」が樹立された。しかしこれはオーストリア軍やフランス軍に鎮圧される。


イギリスではチャーチスト運動が最後の盛り上がりを見せ、「アイルランド」での武装蜂起が起こる。

原因は「ジャガイモ飢饉」だった。



1848年の後半になると、フランスで「六月暴動」が起きる。これで新たに「社会主義」の動きが台頭。

すると「革命の急進化」を恐れる自由主義者たちが急速に「保守化」。


更に「ハンガリー」では自治政府発足と共に「少数民族」の権利を無視。新たな「民族対立」の表面化が起こる。


このようなことから、各国政府は「労働者階級と資本家階級の対立」や「複雑な民族対立」を利用して勢力を巻き返し、「1848年の革命は失敗」に終わった。



そして1848年、諸民族の春の意義とは何だったのか?


-「ナショナリズム」の著しい発展-


民族の「自由と独立」を求める動き・・・例:ハンガリー、ベーメン、ポーランドなど

民族の「統一」を求める動き・・・例:フランクフルト国民議会、イタリア各地など


これらナショナリズムの精神は拡大するにつれ、同時に新たな「民族対立」を生むこととなる。


-新たな「階級対立」の表面化-


資本家階級「ブルジョワジー」と労働者階級「プロレタリアート」との対立。

労働運動など、労働者階級の成長による革命の急進化を恐れた資本家階級は「保守化」。

以後は「上からの力」に頼り、改革の主導権を労働者に奪われないようにした。


また1848年にはアメリカで「ゴールド・ラッシュ」が起き、世界的な資本輸出・労働力の移動が発生。

世界の一体化が進み、資本主義は「帝国主義」へと向かう。



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