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第四話 私の血液型はO型ですけどなにか?




 目を開けるとすでに外は明るくなっていて、鳥の鳴き声が聞こえていた。

 目をつぶってからそれほど時間が経ったようには感じないのに何故だろう。頭も、今までになかったほどさえている。


 ベッドから起き上がって部屋を出る。

 食事をする、リビングのような部屋は昨日私の部屋に案内してもらう前に連れて行ってもらっていたので、とりあえずそこへ行ってみる。

 すると、テーブルについてハルムさんとミリアさんが食事をしていた。


 「おはようございます」というと、ふたりが「おはよう」と返してくれる。





 「よく眠ったら疲れが取れたかしら?それにしてもカイユキちゃんの寝顔可愛かったわぁ」


 ふふっとミリアさんが笑い、ハルムさんがお茶をすする。

 寝顔?不眠症の私が眠った?驚いて目を見開く。

 それを見たミリアさんが、私が怒っていると勘違いしたのか少し焦った様子で


 「朝食がもうすぐ出来るから呼びに行こうと思って、勝手にカイユキちゃんの部屋に入っちゃったの。ごめんなさいね。」


 といった。


 「ああ、気にしないで下さい。ただ、涎を垂らしてなかったか心配でして」


 あはは、と笑って言う。

 そういえば寝るってこんな感じだった気がした。

 気がついたら時間が過ぎてて、外が明るくなっていて。


 うわぁー!中1ぶりだからえーと?8年ぶりじゃんか!

 一人で感動していると、ハルムさんが


 「朝食が冷めてしまうよ?食べてしまいなさい」


 ミリアさんが料理を差し出した。


 「ありがとうございます」といって椅子に座りテーブルを見ると、パンらしきものとベーコンのようなものと、黄身の部分が青色のうずらの卵くらいの大きさの目玉焼き3つがのっていた。


 「さ、どうぞ。」


 青色の目玉焼きを食い入るように見つめるわたしににっこり笑って見リアさんはそう言う。


 「食べたら掃除をしましょうね?」


 こわい。こわすぎる。全然美味しそうに見えない。

 それに、食べた後は掃除だと思うとさらに食べたくなくなる。

 


目をつぶって口に入れてみると、パサパサした塩っぽい味がした。

 不味くはないが美味しくもない。


 なんかちょっとがっかりだ。



 そんなふうに朝食を食べ終えるとハルムさんは昨日青年と入った部屋へ行き、私とミリアさんは掃除道具を持ってマイスイートルームへ行き、私の大嫌いな掃除が始まった。










  


 「うわあーお」



 A:一瞬にしてほら!どうです?見てくださいよ。

 B:あんなに頑固な汚れが!これだと掃除が楽しくてしょうがないですね!

  ・・・でもお高いんでしょう?

 A:ところが今ならなんと!19800円!19800円からのご提供です!

 B:うそおー!夢みたいだわあ!

 A:しかも!今ならセットでもう一つおまけに付けちゃいます!もちろんお値段は変わりません!

 B:今すぐ電話しないと!

 A:お問い合わせは ○○○○-○○○-○○○ まで!お早めに!



 頭の中でおにーさんとおねーさんが喋っている姿が浮かぶ。




 「ふう。きれいになってきたわねぇ」

 「そうですねぇ」


 そう言いながら床を拭く私とミリアさんが手にしているのは葉っぱ。

 ただの葉っぱと馬鹿にしちゃいけない。

 見た目こそ普通にそこら辺に生えている雑草と同じだが、床を拭くとあらびっくり。汚れが葉っぱに吸収されていくのだ。

 しかもその汚れはなぜか手に付かない。さっと一拭きであらきれい!掃除嫌いの私もお掃除が楽しくなっちゃうわ!



 



 はぁー。めんどくせぇ。


 なにしろ飽きやすい性格なんですって。

 私元々掃除嫌いだし?いくら新しい道具貰ってもねぇ?


 やる気が無いモードに突入し始める。



 「まぁこれくれくらいでいいかしらねえ」


 ガッツポーズをする私を見て笑うミリアさん。

 

 「じゃあ次は隣の部屋ね?」


 


 笑顔が引きつる私を見て、さらにミリアさんが笑った。













 その後、もう一部屋掃除をした私はくたくたになって椅子に座っていた。

 そこにミリアさんがやって来る。


 「お疲れ様」

 

 そう言って暖かいお茶を渡してくれた。

 「ありがとうございます」と言って受け取りお茶をすする。 

 いつの間にか外は日が落ちかけていた。

 


 生きていくにはなんでもするつもりの私だけど、その方法が掃除なのはツライ。

 だからといってやめる訳にはいかない。

 ぼんやりと太陽が存在するって事はもしかしたらここは異世界というより同じ宇宙の地球ではない星なのかもしれないな、と考えながらその眩しさに目を細めた。


 「私にもお茶をもらえるかな?」


 声が聞こえた方を見るとハルムさんがこちらに歩いてきていた。

 ミリアさんからお茶を受け取りすする姿をぼんやりと眺めていると不意に目が合った。


 「今日はミリアの手伝いをしていたそうだね。大変だったかい?」

 「いえ、それほど大変では無かったです」

 「そうか」


 

 カップの中身を見つめる。

 見た目も味も紅茶そっくりだけどコーヒーの香りがするそれを揺らしていると


 「明日は私の仕事を手伝ってはくれないかい?」


 という声が聞こえた。

 ハルムさんは医者だと聞いて手伝えることはないか、とたずねた時に話を軽く流されていたので私には手伝えない、もしくは手伝わせたくないのではと思っていた。

 まあ医者は命を扱う職業だし、素人なんかには手伝えないのだろうと自己完結していたのだが・・・。


 「いいんですか?私なんかが手伝っても?」

 「まあ試しにやってみたらどうかね?」


 ありがとうございます!私は掃除以外ならなんでもいいです!という言葉を飲み込んで


 「はい、よろしくお願いします!」


 と言った。出来る限り声が弾まないように気をつけながら。

 しかし嬉しいものは嬉しい。若干最後にテンションが上がってしまった。

 ミリアさんに


 「明日はハルムさんの仕事をお手伝いをしてもいいでしょうか?」


 と聞くと「いいわよぉ」と許可してくれた。

 

 「ありがとうございます」


 お礼を言うためにミリアさんの方を見ると、にっこりと微笑んできた。

 私はその前に顔が曇っていたのを一瞬見た。






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