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第一話 「hello! おっさん!」



甲斐悠樹かいゆき 23歳。

会社帰りに突然の心臓麻痺で死亡。






私は中学一年生の頃から不眠症だった。

最初の内こそ親に相談して病院に行ったりしたものの全く治る気配もなく、眠くもならないし体も時々横になれば別に問題なかったので、両親や医者には治ったと言っていた。

寝なくてすむというか眠れないので、高校、大学の入試勉強を夜中はずっっと勉強していたのでそこそこいい学校に行くこともでき、ついこの間無事に就職先も決まり、社会人として働き始めたばかりだった。

嫌な事といっても上司が口うるさいくらいで毎日楽しく、充実した毎日を送っていた。



そんなある日、会社帰りに最近飲むようになったビールを買おうとコンビニに寄ろうとしたところ、一瞬苦しくなり意識を失った。











そして今の状況になった。


目の前にはファンキーなおっさん。

金髪のアフロに黒いサングラスをかけている。





とりあえず外国人っぽい顔をしているようなので、英語で「hello?」と話しかけてみる。と、

「hello!」と返される。


やはり私の読みは正しかったか!と地味に喜んでいると


「てかなんで英語?」

と、にこにこしながら日本語で聞いてくる。

ええーっ!日本語話せんのかい!






そういえば・・・

「Who are you?」

「ええーーーーっ!だからなんで英語!?日本語話せるってば!」

もおーっなんでやねんっとツッコミを入れてくるおっさん。

「いやいや、質問に答えろよ」

「俺?神だけど?」


と、言ってきた。

私は瞬時に小さな頃に母に言われた言葉を思い出した。

『見ちゃだめよ!』





絶対頭おかしい人だコイツ。今すぐ立ち去ろう。

と、周りを見ると何も無い。本当に何も。

ただただ白っぽい色が見えるだけで先も見えない。

私はコンビニに向かっていたはずだ。


「ここはどこ?」


誘拐されたのだろうか?誘拐されたとして真っ白で何も無いって意味わからん!

こめかみを人差し指でぐりぐりしていると


「んーっどこって言われてもなぁ。まあキミのいた世界とは違うよね。かといって異世界でもないし、キミたちの言うあの世でもないしぃー?」



夢だ。うん。これは夢。はやく目ぇ覚めろ!今立っている床に頭を打ち付ける。

これは夢。おはよう私。早く起きろ!


「おいおいなにしてんの!もう一回死んじゃうよ!?」


ピタッと頭を打ち付けるのをや止める。








「・・・・・・待って。今なんて言った?」

床から顔を上げてファンキーおっさんを見る。


「もう一回死んじゃうって言ってんの!さすがに二回も死んだらいくら神だからって俺も生き返らせられなくなるよ?」




もう一回?ってことはもう死んだって事なのか?

「・・・・・・。」


「そ。キミは死にましたぁー!」

「たぁー!じゃないよ!やっぱり夢だ!そうに決まってる!」


うー、あー、とうなっていると

「別に死んだ事、認めたくないなら認めなければいいんじゃね?そしたら俺はキミを生き返らせなくてすむわけだし、面倒事さようならぁ!」

自称神はそんなことほざきやがった。

うん。もう変態さんでも別にいい。生き返らせてもらおう。



「変態じゃないし自称でもないんだけどね?」

ん?私口に出して言ってたっけ?ふと疑問に思うと


「神なんで考えてることも全ておみ通しなのさっ!」

はい、そこのおっさん。キモいからくねっとしないの。

「ひどっ!もう!生き返らせないぞ!」

「すいませんでした!」



ここは素直に謝るのが一番だ。

「てか私は死んだとしてなんで死んだの?」

やっぱそれくらいは死人として知っておきたいよね。


「え!?なんでって!?」

え、なにそのあせり方。





「だから死因!もしかしてアンタが私を殺したの?それで生き返らせるとか言ってるわけ!?」

ビクッとするおっさんの反応を見るとそのようだ。

私の充実した毎日はコイツのせいで!



「いや!そうは言ってもね?人にはそれぞれ一生のうちに起きて行動出来る時間が決まってて、

その時間が終わるとキミのように心臓麻痺とか事故とかで死ぬんだけど、

キミの場合は夜に寝なったことでほかの人より過ぎてしまったわけだけど、

元々キミの寿命、起きていられる時間はほかの人より短く、不眠症にならなかったとしても

どうせあと3年と8ヶ月と12日しか生きる事が出来なかったわけで!」


あわあわとおっさん(自称神)が言う。



「アンタが私を不眠症にして寿命を縮めたのか!」

原因はこいつか!人生の中で一番の睨みをする。



「だからそれは悪かったって!だから特別に今度は寿命延ばしてあげるからさぁ?怒んないでよ!もうドSで困っちゃうわ!もう!」


うるうると少し涙を浮かべて言う。

でも別に金髪アフロにサングラスのおっさんがそんなことしても可愛くもなんともないし、キモいだけだ。

そしてわたしにおっさんをいじめて楽しむ趣味は無い!




「もういいからはやく生き返らせてよ」

なんかこの神と喋ると疲れるわ・・・



ほい、とどこから出したのか水のような液体を差し出してくる。

え、今どっから出したの!?もっとじっくり見ていればよかったと少し後悔。


「あ。言い忘れてたけど時々面談するから。」

「はあ!?」



「本当ならあとちょっとしか生きられないのに800年も寿命伸ばしてあげるんだからやって欲しいこともあんの!」



ん?今数字がおかしかった気がするけど気のせいだよね。うん。気のせいだ。

てゆーかやって欲しいことってそのために私を生き返らせるのかよ!


「さ、はやく飲んで。それとも生き返りたくないの?」




3年と8ヶ月だったかしらないけど、アンタは私の貴重な人生を奪ったんだぞ!

「生き返りたいよ!」



「じゃあさっさとこれ飲んで。ちゃんと飲み込むんだぞ?」

と先ほどの水のような液体を差し出してくる。

おっさん(自称神)から受け取った液体を見る。


もうこうなったらヤケだ。飲んでやろうじゃねーの!

とあおる。




瞬間、喉に焼けるような痛みを感じた。

まるでどろどろに溶けたマグマを飲んでいるよう。


神を見ると飲み込む事を促すように首を縦に振っていた。


ごくっと飲み込むと、体全体が熱くなり痛んだ。

手や足をかきむしるが痛みは引かず、暴れる。





「ああああああああああああああああああああああああああああああああっっっっっ!」








まぶたが閉じる直前、

「最初の面談は一週間後だ」


とだけ聞こえて私は気を失った。

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