いつもの
「もう朝か・・」
スマホにセットしておいたアラームを止めながら、僕は学校に向かう準備をする。
制服を着て、朝食を食べて。
「行ってきます」
誰もいない家にそう言い残し、僕は学校へ向かう。
「おはよー」
「おはよう」
みんなが友達と朝の挨拶を交わす中をサッと通り抜けて、僕は自分の席へ向かう。
「よ、慧。」
そう話しかけてきたのは、僕の親友であると言えるうちの1人、天野緋夏。
「はよ、緋夏」
「お前、告白断ったらしいな。女性経験ほぼなしで将来だいじょぶか?」
「ま、大丈夫だろ。なんとかなるさ」
「いーや、もう少し現実見た方がいいんじゃない?」
そういって話に入ってきたのは、もう1人の親友、伊織椿。
「現実?」
「だってさぁ、あのちょー美人のマリアさんをフッたってことは、慧って相当理想高いんでしょ?」
「いや、だって話したことないのにいきなり告白されたし。断った後もそっかで終わりだったし。」
「ま、慧は顔で選ぶタイプじゃないし、ましていきなり告白されたら断るか。」
「そゆこと」
「ふーん」
そんな話をしていると、担任が教室に入ってきてHRが始まった。
(・・・今の僕はただ我儘を言っているだけで、傲慢なのだろうか。)
4限が終わり、昼食の時間。慧のクラスは購買派が多いので、すぐに教室からは人がいなくなった。
慧はバッグからゼリー飲料を取り出し、スマホをいじりつつ1分ほどで昼食を終わらせる。
慧には弁当を作ってくれる人はおらず、かといって自分でつくるのは面倒なのでいつもこれである。
「まーたゼリー飲料か」
「手軽だしな」
「もう、ちゃんと栄養のあるもの食べなさい!」
「おかんか」
緋夏とそんなやりとりをしつつ。
緋夏はバッグから自分で作ってきているらしい弁当を取り出して、慧の机に広げ始める。
「そういや、慧はもう進路決めたか?」
「一応ね。緋夏は?」
「俺はここらへんの大学だな。まだ実家暮らししたいし」
「ちゃんと親孝行するんだぞ」
「へいへい。慧は卒業したら地元離れるのか?」
「そのつもり。寮がある大学行こうかなーって感じ」
「自立するつもりなんて、いい子に育って・・ぐすん」
「まだそれ続いてたのか」
「ま、俺がおかんになるまでもないか。両親には話したのか?」
「ん・・・話したよ」
緋夏のよくわからない言葉はスルーしつつ、そう答える。
が、実際は全く話していない。慧の両親的にはとにかくいい大学に入って欲しいらしいが、慧は両親に従う気は悉く無い。とにかく両親から離れたくて、わざわざ県外の大学を選んだのだ。
「伊織さんは?何か聞いてる?」
「なんで僕に聞くんだよ・・特に何も聞いてないよ。まぁでも、それなりに上の大学なんじゃない?最近勉強がんばってるみたいだし。」
「ふーん」
「聞いておいて興味なさそうにすんなよ・・」
「いや、慧と一緒の大学行くのかなーって勝手に思ってたから」
「なんでや」
「めっちゃ仲いいから?」
「確かに仲はいいけど。わざわざどっちかに合わせるほどじゃないよ」
「まぁそんなもんかー」と緋夏は言いつつ、いつの間にか食べ終わっていた弁当を片付けて、また僕たちは雑談に花を咲かせるのだった。