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人類、滅亡させてみました  作者: No.0
一章

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26/66

女心2

★★★

 酒場で食事をとり終えたアルベールは、自室に籠りセカセカと動き回っていた。先程レナに話した内容。


エルフに会うための準備と、それに同行させる仲間を検討していたためだ。今回の目的はあくまで交渉、大人数は連れてはいけない。


それに、あまりの大所帯だとモンスターはもとより王都から差し向けられている死角にだって見つかるリスクは高くなる。


それ故メンバーは少数精鋭が望ましかった。そこに、コンコンとノックが鳴る。古い建物だ、ドアのノック一つで埃が落ちる。


「少し、いいかしら?」


 ノックをして僅か寸刻。レナはアルベールが返事をするより早く部屋に侵入し、浮かない顔をしていた。


「ああ、別に構わないが?」


「さっきの話だけれど、私も参加しても構わないかしら?」


「……。」


 アルベールはすっと作業をやめ、怪訝そうにレナを見る。さっきの話とはおそらく南にあるというエルフの森だろう。


「なぜだか理由を聞いてもいいかい?」


「そんなのどうでもいいでしょ?」


「……。今回は遠征。旅とでも言おうか?正直、私は君を連れていく予定はない。おそらく、君ではついてこられない。王国との往復で足が使いものにならない君では、正直足手まといだ。私と仲間達の足を引っ張ってでもついてくる理由はあるのかい?」


 言葉には一切の優しさはない。レナを心配して出た言葉だと解釈するのであれば、これは優しさと呼ぶべきものだ。実際、アルベールの口調は柔らかい。


「……。言いたくないわ」


 少し躊躇い、濁した。目線は逸らしているものの、意思だけは貫いているようだった。


「死ぬぞ?」


 アルベールは最後の忠告をするように静かに脅した。


「別に構わないでしょ?今更誰が死んでも」


 フラッシュバックした。住民たちがモンスターに蹂躙される悪夢のような現実がレナの脳裏を駆け巡り、吐き気すら催す。


それでも、彼女は覚悟を決めて言い放った。それはけして悲観的なものだはなく、恐れながら勇気を振り絞って発したものであった。


現に、彼女の手は震えていた。腕を組んで脇で隠すようにしていた震えが一発でアルベールに看破されるほどに。


アルベールはレナに微笑み、今まで感じることがなかったレナの意思に敬意を払う。そして、理解させられた。強い言葉で脅しにかかった己の愚かさを。


「はぁ。まったく、私はつくづく思うよ。肉体的だけでも男性が強くて良かったと。心と肉体まで上回っていたのでは、いよいよ男の立つ瀬がない」


 いい女ほど決断が早い、アルベールの持論である。


「どうも」


 レナは最後にアルベールからの賞賛の言葉をもらうと、アルベールの部屋から静かに出ていった。


「ふぅー。世の中うまくいかないものだなぁ」


 疲労混じりの一息。汚い部屋に置かれた使われた形跡のないベッドを背に、たった今できた謎を解消するために足を運ばせた。

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