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人類、滅亡させてみました  作者: No.0
一章
21/66

最強2

――――――――状況は芳しくなかった。人間種ヒューマンとモンスターの本来の実力差を鑑みれば善戦といえた。


しかし、やはり種族値の壁を越えるほどの実力は豪傑揃いの王国兵を以てしても埋まるものではなかった。これではいずれ王都で起きたあの惨劇が繰り替えされるだけであった。


「さすがは王国軍ね。他国の騎士達なら、今頃逃げ出しているか撤退していたでしょうね。でもわかるでしょ?いくら王国軍が優秀とはいえ、彼らだけでモンスター達を打ち倒すのは不可能だわ。これでわかった?人類がモンスターをはじめとした数多の種族に勝つことは不可能だわ。まったく、これが賢王だと言うのだから呆れた話でしょ?あの王も、列国の王達と何も変わらないとんだ愚王だったみたいね」


 目の前の戦火を前に、『滅びると断言したレナと、世界を変えると宣言したアルベール』レナとアルベールの王都より続く舌戦の決着がつこうとしていた。


「いや、どうやらあの王はなかなか頭が切れるようだ。おそらくあの王が言っていたように、あの男のおかげで王国は今日まで生きながらえてきたのだろう。これまでの非礼心より謝罪しよう。」


 昨日散々煽り倒した相手とは思えないほどアルベールは敬意を払った。だがレナには理解できなかった。


現に、まさに今この瞬間に小細工をする人間を意にも介さず、暴力を以って粉砕する光景が広がっていたからだ。


例え人類なりにうまくやっていたとて結果が付いてこなければ結局は同じ敗北であることは何も変わらないからだ。


「どういうことかしら?」


「ここはモンスターの群生地帯だ。つまり、ほっとけば間違いなくあの国は呑み込まれるだろう。もしあの王が愚王だとしたら、ここに兵を出すことはしなかっただろう。政局やモンスターの生態に詳しくなかったら、こんな手段はとらないさ。それにあの兵士達の戦い方、実に人間らしい連携が取れた戦い方をしている。昨日今日でできる戦い方じゃない。国政、軍事力、ありとあらゆる面で彼の優秀さが垣間見える」


「はあ。そんな事?確かに彼の努力は私も認めているわ。でもそれが何だって言いたいの?努力すれば報われるとでも言いたいのかしら?結果がついてこなければなんの意味もないわ」


「君は本当によく見ている。いや、みえている。おそらく君には先見の明がある。だが、少々結論を急ぎすぎる節があるようだ。まだ彼らはすべてのカード切った訳じゃない。私が連れていってしまった生贄(彼ら)が一体何の用途で必要だったのかを知ってからでも遅くないと思うが?」


「随分と評価が改善されたようね、あの王の元へ戻って降伏でもするの?」


「アハハ!冗談はよしてくれよ。私と彼では求めるものが違う。現に一一」


「ドゴーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!!」


 あらゆる事象を妨げる爆音が戦場に響き渡った。戦火で繰り広げられていた数百の兵とモンスターとで生じた悲鳴や呻吟が可愛く思えるほどの。


レナに未だかつて感じたことのない悪寒が襲う中、王国兵の浮かべた表情はレナとは真逆であった。


そして、その音を皮切りに兵達は勝利を確信したようだった。戦況から鑑みても、劣勢であることは事実。なのに、彼らは歓喜の声を上げる。


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