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人類、滅亡させてみました  作者: No.0
一章
20/66

最強

☆☆☆

 ――シュオール平野。王国兵の後をつけること数時間。アルベールがやってきたここはモンスターの群生地と化したシュオール平野。


地理に詳しくないアルベールはここが浸食平野なのか堆積平野なのかわからず自分の知識不足を嘆いていた。


傭兵を志す以前から知識を蓄えていたアルベールにとってみれば未だに未知の世界があるのだと知れることは尽きない理への挑戦である。


だが、師団相当が集う王国側はもちろんアルベールに同行したレナでさえそんな事に興味を示すこともなくただただこれから行われる命のやり取りに集中していた。


「いいか!我々の役目は一匹でも多くモンスターを殺し、王国につかの間の平和を齎す事とだ!」


「「はっ!」」


 騎士長らしき男が檄を飛ばし、騎士たちの目により一層力がやどる。


 王国側における戦力、彼らの出で立ちは正に武人のそれであった。素人目からでさえわかる一芸を極めた玄人にも似た洗練さを感じさせられる佇まいがある。


明らかに隣国の騎士とはものが違った。が、違和感もある。騎士長らしき男が兵士達に激励の言葉をとばす際、彼らの中に誰一人恐怖するものがいなかったのだ。敵はモンスター。


つまり、自分達より上位の存在。なのに、なぜあんな表情をしていられるのだろう?人類にとって強者に逆らうなは絶対条件、本来なら嫌で嫌で仕方がないはずなのだ。


今にして思えば、アルベールを支持して付いてきた者達の中には兵士達がいなかった。レナの中でふと沸いた問いであったが、むしろアルベールからすればその真意を知るために王都へ来たといった感じだった。


数十年もの間数多のモンスターを退けてきたという一種の伝説が終わり、モンスターが闊歩する滅国と化していた国に残る決断を満場一致でするほどの何か。それを知るためにアルベールは今ここにいた。


「よし!始めろ!」


「「はっ!」」


 わずか数分の激励が終わり、速やかに散開する兵士達は実に迅速かつ無駄のない動きで陣形を形成する。いよいよ始まる。


現場にいる兵達に緊張が走る。戦火となる平野より離れたレナにもほぼ同等の緊張が走っていた。レナが戦場を拝むのはこれが初めてというわけではないが、人類が勝利するかもしれない決死の戦いを拝むのはこれが初めてであった。


平常心で眺めるアルベールの裾を無意識に掴み、号令がなるのを今か今かと待ち望む。その一方で、これから命を落とす勇敢な戦士たちへの感謝の気持ちとが複雑にまじりあっていた。


その冷徹な少女になり切れない愛らしさにアルベールは笑みを浮かべ肩に手をまわした。


「突撃――――――――!!」


 アルベールが手を回した直後だ。全身全霊の気合がのった一命がとどろき、王国軍は突撃を開始した。

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