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人類、滅亡させてみました  作者: No.0
一章
10/66

王2

しかし一一


「いや~すみません。質問いいですか~?本当は遠慮しようと思っていたのですが、王のせっかくのご行為に甘えようかと」


 馴れ馴れしく、図々しく、不遜に、王の進行を妨げる。あまりの軽口に、電流が走ったかのように一瞬空気がピリついた。


効果音をつけるとすればゾワッだが、顰蹙を買わないように当然誰も声を挙げない。

 死ぬことが確定している彼らが恐怖していることからも、王の絶対的力が伺い知れる。


「なかなかユニークな男が紛れ込んでいるようだな。いいだろう、何でも言ってみろ」


 王の穏やかな表情に一安心して、兵士を含むこの場にいるものの緊張がとける。


「ではさっそくですが、神々はどこにいて誰から守ってくれるんですか?」


 兵士達はあまりにまぬけな質問に鼻で笑い、王は頭に手を当て呆れる始末だ。とはいえ、この状況を作り出したのは王である。どんなに間抜けな質問が飛んでこようと答える義務がある。王は少し溜息混じりに答えた。


「神々は、遥か上空神々の国にて我々を見守り。そして、この国に害をなす者達を排除してくれるそうだ」


 えらく雑に答えた。王が語るに過ぎないことと切り捨てたからだ。


しかし、人間とは恐ろしいものでたった一言。そう、たった一言間違えただけで取り返しのつかなくなることがたたある。


「つまり、人間も例外でないと……?」


 アルベールは低い声で問うと、ニタリとした。一瞬、ほんの一瞬だけ、この時、嫌なにおいがした。ここに居てはいけない、そんな予感とともに。


「そうだな。害をなせば、だが」


 王は時計塔をチラリと見て、アルベールとの会話を切り上げる。


「少し予定より押したか?まあよい。準備しろ」


 王は何やら兵達に指示を出す。というのも、この国では住民達を見送る際に花火を打ち上げるらしい。


国の平和とその命を思う儀式とか。兵士達がセカセカと動き花火を打ち上げる大砲を仰向けにセットする。


「準備できました!」


 兵士から報告を受け、ベランダで咳払い。?いよいよだ。この場に集められたもの達が生贄へと捧げられる。


しかし、彼らは一体どのように自分たちが生贄として捧げられるのかしらされていない。そんな彼らが唯一知らせているのは必ず死ぬということだけだった。?


「ご苦労。では、これよりこの者たちの一一」


「バン!」


 王のありがたい言葉の邪魔をしたのは、一発の大砲。住民達への最後の花道として無数の大砲が並ぶ中、たった一つの大砲から煙が立ち上がる。


はるか上空で花火が虚しく鳴り終えると、焦げたような臭いがツンと刺激する。ここで視線が二分した。王の顔色を伺うものと、大砲へと目をやるものとで。


「随分と寂しい花火になってしまったな」


 不服そうに漏らした王の言葉に、兵達に緊張が走る。そして、その彼らは一斉に暴発させた兵士へと視線を向けた。


それは憐れみの視線ではない。怒りを含んだ眼差しである。万が一、万が一に課せられる連帯責任ペナルティを恐れてのことだ。そんな中、アルベールは極めて小声で。


「そうでもないさ。せっかくのお祭りだ‥‥‥派手に行こう」と、薄ら寒く不敵に笑う。

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