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だって『私』は聖女だから

王族の婚約破棄、そこから繋がる一人の女の子の不幸……そんな馬鹿げた事が世界を救う唯一の方法なんて……




幼い頃から私には不思議な力があった。どんな事でもやり続ければちゃんと結果が出るし、些細な怪我ならすぐに治るし、病気はおろか風邪一つ引いたことがない。そんなだから昔から気味の悪い子だと遠ざけられてきた。唯一特技と呼べる他者の怪我の治療はみんな有難がる癖に、治療が終われば関わりたくないと逃げるように去っていく。

何処に行っても私の居場所はなかった……()()()()()は。


『もう!なんで私が動かせないのよこの体!せっかくヒロインに転生したのにこれじゃ意味ないじゃない!』


何時からか聞こえてくるその音は、当初のような喜色の音はなくなり、不満ばかりの音になっていった。


(魔物……にしては私の力で消えないし、なんなんだろコレ?他の人には聞こえないみたいだけど)


不思議な()()()の音が鮮明に聞こえるようになったのは数年ほど前の事だ。

支離滅裂な話ではあったが要約すると、私は聖女でこの世界のヒロイン……そして、ナニカはおそらくこちらを観測出来るような上位次元の存在であるという事だった。

与太話、妄想、疲れからくる幻覚、様々な要因を考えたが、結局うるさいだけで実害はないので無視を続けていたところ……ナニカの話が本当である事を知ったのだった。




「この力…まさしく貴女こそが聖女たる資格を有する証!」

「さあ、このような下賤な所からは早く離れましょう!私の家には暖かいベッドも用意してありますよ!」


神官と連れの貴族曰く、どうやら私は聖女として何処ぞの貴族の養子になりこの国の為に働くらしい……調子がいいなこの人たち。


(でも、こうなると()()()が本当の可能性が高くなってくる……それなら)


『キター!コレよコレ!これからは学園に入学して、イイ感じにイベントこなしてイケメン達とのラブロマンス!』

「ねえ」

『ワイルドな騎士様や、知的なイケメンもいいけど………やっぱり王道の王子様よね!』

「もしもーし」

『優しいだけでちょっと物足りない所はあるけど………異世界の乙女ゲームなら鉄板よ!ルートも簡単だし!』

「………学園に入学して魔法を学べば、アナタの事も出してあげられるかもなー」

『なんですって!それを早く言いなさいよ!』


自分の世界に入ったナニカは、その言葉に反応して急に私に話しかけてきた。


(変わり身早いな……まあいいけど)


「この国一番の学園らしいし、近道じゃないかなって。アナタも、どうせならちゃんと自分の体が欲しいでしょう?」

『それはまあ、そうね!……でもアナタも聞こえてたならもっと早く返事しなさいよね!』

「ゴメンナサイ」

『いいわ!許してあげる!じゃあさっさとその体渡しなさいよ』

「………こんなみすぼらしい体でいいんですか?きっと聖女(ヒロイン)なら、少し学べば綺麗で可愛いアナタのための体を用意出来ますよ?」

『えぇ〜でもなぁ、早く攻略したいし』

「……面倒な勉強とかの雑事を私に任せて、アナタは一番良いところからやっていけば良いんですよ……だって、ヒロインはアナタなんだから」

『!?そうね!そうよね!私がヒロインなんだから!』

「それでは、()()を円滑に進めたいのでアナタの力を貸していただきたいです」

『ええ!いいわよ!任せて!』

「アナタの知っているこれから(未来)について、くわしく教えてください?」





街道を歩く少女を見つめる。学園で見かけた時から分かってはいたが、やはり彼女も私と同じようにナニカが憑いているらしい。


(にしては、随分と楽しそうだけど……泣いてしまうよりよっぽど良いよね)


『ナンデ……コンナ……コト』


私に憑いていたナニカの残り滓がまだ残っていたらしい。しぶといな。


彼女(アウローラ)の悲劇自体がなくなったのは予想外だったけど……どこまでフォロー出来るか分からないし、結果的に良い方向に進んでいるならそれもまた良し、でしょ?」

『ソンナノ…シラ…ナイ』

「そもそも、起こる可能性の高い未来を知っているなら、愛による覚醒とかの不確定要素に頼る事が間違いなのよ」


情報を得た後は、ナニカをのらりくらりとかわしつつ力をつけてきた。既に私はゲームの聖女に近い力を持っているのだろう……現にナニカを封印する事が出来ているし。


「悲劇を知っていて、防ぐ事の出来る力を持っているなら回避する為に尽力する……その方が笑顔でいる人が多いなら当然でしょう?」


後は、愛人にかまけて碌な統治をしない王やそれに連なる者を排除する。その為にちゃんと活動してきたのだから、しっかりやらなくちゃね。

期待してくれた人たちの為にも。


「……だって私は聖女だから」








「なあ、聞いたかお嬢?」

「知らない。それよりこのスープはどう?」

「滅茶苦茶美味い……じゃなくて、あの国の上層部が大幅に変わったって話だよ」

「ふーん。はい」

「雛鳥みたいに口開けるなよ可愛いだけだぞ」

「ん」

「……………分かったよ、ほら、あ、あーん」

「我ながら完璧なのでは?」

「自分で言うなよ……そりゃラスボススペックをフルに活かしたらしたらそうなるよ……」

「違うわ、愛よ」

「……………あー、あれかな、あの聖女様が頑張ったらしいな。今思えばタダもんじゃなかったよなぁあの人……そういえば似たような気配を感じたしもしかして俺と同じか?」

「……………………………………………」

「や、ごめんて」

「毎回私の愛をはぐらかすし、もっと分かりやすくしないとダメって事よね」

「うっそだろこれ以上分かりやすくされたら爆発するぞ」

「ちゃんと私()()を見てよ。私の味方なんでしょ?」

「まあ、そうだけどよ」

「うふふ」

「ちょ、ま」

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