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三軒茶屋DOGGY DOGS  作者: 堀川士朗
2/3

中編

おはようございます!三軒茶屋、中編をお届け致します。ますます不思議さに拍車がかかる物語にお楽しみを!


 「三軒茶屋DOGGY DOGS」

           (中編)


          堀川士朗



30分経った。

僕の頼んだ焼肉ラーメンが全然来ない。


隣の席にいた男には焼肉ラーメンが届いて、男はそれを美味しそうにはふはふ食べ終わって店を出ていった。

時間が経ってしびれを切らした僕は店員に聞いた。


「ねえ。まだかな?僕の頼んだ焼肉ラーメン」

「そこになければないですね」

「ちょっ、ちゃんと僕は食券を買ったよ!」

「え。さっき隣のお客様に渡しましたよ」


頼んだ焼肉ラーメンが他の客に食べられる。

なんていう事だ!


「何で?僕が!僕が頼んだのに!」

「あんたがぼーっとしてるからじゃないの」


サービスのライスだけ来た。

一口だけ食べる。

するとすぐに店員が来て僕のライスを下げようとした。

腕がぶつかった。

痛い!


「ライスお下げします」

「まだ食べてるじゃないか」

「お下げします」

「何でだよ!」

「汚ならしいから。おぞましいから。お下げします」


らちがあかない。

女の子の店員が出てきた。

数人。

かわいい店員の衣装。パステルカラーでふわふわのネグリジェみたいなのを着ていた。

女の子たちは顔を白く化粧していて、ちょっとオテモヤンみたいだけど、どの子も小柄で若くてかわいかった。


僕は一人の女の子店員に声をかけた。


「あのさあ。さっき頼んだ焼肉ラーメン来ないのだけれど」

「ヤ、キ、ニク……?」

「僕は焼肉ラーメンを食べたいんだけど。ラーメンの上に焼肉が乗ってあるやつ。焼肉。焼肉ラーメン」

「ヤ、キ、ニク?ラーメン?」

「そう。だから焼肉ラーメン」

「ワカラナイヨ。ワカラナイヨ」

「だ~か~ら~!」

「ノー!アスホール!サワラナイデヨ!ジゴクオチロ!」


駄目だ。日本語が通じない。

何のためにいるんだろう、この子は。

僕は店長らしき人に訴えかけた。


「ちょっ、ちょっとちょっと。あんたんとこの店、店員のしつけが行き届いてないんじゃないの?どこが、行き届いたあたたかい人情あふれるサービスなの?アスホール言われたよ!」

「まあまあ。まだあの子は不慣れな点もありますから。大目に見て下さいよ」

「甘いなあ」

「HAHAHAHA」

「それに、僕の頼んだ焼肉ラーメンまだ来ないんだけど」

「そこになければないですね」

「あ?ちょっと待てよ!」

「あらら。おやおや。まあそれにつきましては今、麺を茹であげている最中な訳らしいのですからしばしお待ちを」


店長はそう言うと奥に引っ込んでスマホをいじり始めた。

…………。

僕は、今のこの気持ちを決して祝いたくはなかった。むしろ呪いたかった。

『祝う』と『呪う』はとても字は似ているけれど。

無情だ。

無常だ。

虚しい。

焼肉ラーメンまだかな。


店内BGMがあのクラシックの名曲、『翼に翼が生えたんだ2~風を集めて』に代わった。


♪翼に~翼が~生えたんだ~

付け根部分が~

ちょっとか~ゆ~い~

風を集めて~

風を集めて~

みても~

無駄~だ~よ~

何故ならば~風は~

全然見えない~か~ら~

無駄~だ~よ~


女の子たちはひとつの固まりとなる。もこもこと同化して分裂して女の子店員が増える。

30人くらいになった。


「ご開帳指名タ~イム!」


女の子たちはズラッと並ぶ。

大きいのから小さいのまで色んな子が並ぶ。

え?え?え?

ここは。

ここは、ラーメン屋兼風俗店だったのか!

女の子はみんな、張り付いた笑顔で私を買って下さい!とアピールしている。

僕は、それがとても哀れに思えて直視出来なかった。



           ツヅク



ご覧頂きありがとうございました。次回はいよいよ最終回。頼んだ焼肉ラーメンは来るのでしょうか?お楽しみに!

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