藤原純友は冤罪に怒りたい
あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いします。2023年が皆様にとって益々良い年となりますようお祈り申し上げます。Happy New Year!
承平天慶の乱のもう一人の主役は藤原純友である。純友は史料が少ない。権力者中心の歴史に埋もれた存在である。純友は寛平五年(八九三年)頃に藤原良範の三男として生まれた。藤原北家という貴族として名門中の名門貴族の家であった。
純友が少年の頃に良範が大宰少弐になり、九州の大宰府に赴任する。純友も一緒に大宰府に行った。朝鮮半島では新羅が衰退し、海賊が横行し、博多の商船が攻撃された。純友は大宰府で武芸を修練し、海賊を討伐する父の手助けをしていた。
ところが、良範は早くに亡くなってしまう。これは純友にとって出世の見込みが消えてしまうことを意味した。純友は親の身分が低いと子は出世できないという格差社会の不合理を実体験することになった。
純友は従兄弟で伊予守の藤原元名に呼ばれて、承平二年(九三二年)に伊予掾となり、伊予国に赴任した。大宰府での海賊討伐の経験が期待され、海賊討伐に従事した。これによって瀬戸内海周辺で純友の名前が知られるようになった。
元名は承平六年(九三六年)に大和守に転任するが、純友は伊予に残って海賊討伐を続けた。その後の天徳四年(九六〇年)に元名は讃岐守になった。
ある日、都から陰陽寮にいたと自称する占い師がやってきた。
「お前が噂の男だね?占ってあげるから、こっちへおいで」
占い師は純友の前に座ると、目を閉じた。
「…………これはすごい。あなたはとても運勢が良いですね」
光が目を開けるとそう言った。
「ほう……。それは良かった」
「ただ、気になることがあります」
「何かね?」
「あなたの未来についてです」
「どんなことかね?」
「このままでは、近いうちに大きな災いに見舞われるでしょう」
「どういうことだ?」
「詳しいことは分かりません。でも、とても恐ろしいことが待っているはずです」
「なんだと……?」
「どうか用心なさってください」
「分かった。肝に命じておくことにしよう」
純友は任期を終えても都に戻らず、海賊討伐を続けた。ところが、純友の海賊討伐の手柄は朝廷の役人に横取りされ、勲功を黙殺されてしまい、朝廷に不満を抱くようになった。それどころか純友は藤原子高から濡れ衣を着せられてしまう。
「そちは国賊であるぞ」
「何を言うのです!?」
「そちが瀬戸内の海を荒らしまわっているせいで、船が出せなくて困っているという苦情が出ている」
「それなら、私が責任を持って対処します」
「だめだ。そちは役職を罷免されたうえに、財産没収の上、国外追放となる」
「待って下さい。どうしてそうなったのか、理由を教えてください」
「いいから言うとおりにしろ!」
純友は無実を訴え続けたが聞き入れられなかった。
「苦労して海賊を捕えても、役人達は海賊と癒着していて、逆に自分を海賊呼ばわりする。おのれ……!あいつらめ!絶対に許さぬからな!!」
純友は内心では怒り狂っていた。