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讃岐介は討伐軍を編成したい

純友の林田湊攻略は讃岐国府に報告された。

「純友軍が林田郷を占拠したか……」

「はい」

「このまま黙って見ているわけにもいくまい。我はすぐにでも出陣するぞ」

「お待ちください。今すぐ動くのは危険です。まず、入念な作戦を立てるべきです」

「しかし、悠長なことをしている暇はないぞ」

「わかっております」

讃岐介は討伐軍を編成した。


「この程度のことで官兵を出動させるのか?」

讃岐守は批判した。讃岐守にとっては寺社に賊徒平定の祈願をさせる方が重要であった。

「これ以上、好き勝手にさせないためにも、ここは私自らが出ようではないか」

讃岐介は自ら軍を率いることにした。

「自ら指揮をとる必要はないのではないか?」

「なぜですか? 私はこれまで数々の功績をあげてきました。今こそ、その成果を発揮する時です。どうか、私に行かせてください」

「そうか……。それならば止めまい……」


讃岐介は出陣した。

「良かったですね! じゃあ、今日から堂々と自分が指揮を執ることができるんですね!?」

真菜美は嬉しそうな顔をしている。

「そうだな。ただ、あまり大きな顔はできないけどな」

「それは仕方がないですよ」

「まあ、それもそうだが……」

「気持ちはよく分かります。私も同じ立場ならきっと同じことをしていたと思います」

「ありがとう」

ところが、讃岐国軍は大敗北を喫した。純友は海上から矢を放って攻撃する戦法を得意としており、「弓矢射ち」と呼ばれた。

「敵襲だぁーっ!」

「なんだって?」

振り返ると、讃岐国軍を背後から奇襲してきた部隊がいた。それは林田郷の武士達であった。

「これはどういうことだ?」

「俺にもわからん。だが、どうやらお前さんと戦うことになったようだな」

「くそぉ……。どうしてこうなった?」

讃岐介は頭を抱えた。純友軍は元気一杯である。

「このまま戦っても勝てるかどうか……」

讃岐介は悩んだ末に撤退を決意した。

「とにかく逃げよう」


「おい、逃げる気か?」

純友は逃走する讃岐介に叫んだ。

「うるさい。逃げるわけじゃないぞ」

讃岐介は怒鳴り返した。

「だったら、どうするつもりだ?」

「……それは、お前を倒してからだ」

讃岐介は刀を抜いて構えた。純友も刀を構え直した。

二人は同時に駆け出し、斬りかかった。

「うおおおっ」

二人の叫び声が響き渡った。純友は讃岐介を切り倒した。


「これは大変なことになったぞ!」

讃岐守は慌てふためく。

「このままでは済まないぞ! すぐに対策を考えねば!」

しかし、対策を考える間もなく、讃岐国府が攻撃された。純友は上陸してからも弓を使って遠距離攻撃を仕掛けるなど陸戦でも強かった。

「これでは勝てるわけもないわ……」

国府はあっという間に制圧されてしまった。純友は国府にあった財物を略奪して撤退した。国府にあった財物は民衆から収奪したものであり、純友は取り戻したという感覚である。純友は海賊であり、領土的支配を目指すものではなかった。


「これが噂に聞く海賊なのか……」

讃岐守は嘆いた。

「なんということだ……。こんなことになってしまうとは……」

讃岐守は失意のどん底に陥った。


部下の一人が言った。

「この次はどうするんですか?」

「まずは備前国に行かねばならぬ。そこで仲間を集めるのだ」

純友は海賊船団を率いて備前国へ向かった。さらにお備後国や周防国など各地の襲撃を続けた。


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