ピパロン王国警備隊 第7話 りんご園のプラチナりんご
〇予告状
ピパロンりんご園の諸君、こんにちは。
私は世間を騒がす大泥棒、怪盗オリーである。
このりんご園には1日1個できる銅のりんご、1週間に1個できる銀のりんご、1ヶ月に1個できる金のりんご、そして1年に1個できるプラチナのりんごがあるときいた。
金のりんご、銀のりんご、銅のりんご、そしてプラチナのりんご、全てこの怪盗オリーが頂くことにした。15時に頂きに参上するよ。首を長くして待っていたまえ。
怪盗オリー
トーマ隊長「と、言うことか。今は、10時かぁふぁ〜あ」
ルミ隊員「あくびしないで下さい!今回は15時に来きます!気を引き締めて怪盗オリーを捕まえましょう!」
園長「頼もしい人ですね。見張り、宜しくお願いします。」
ルミ隊員「その前に、少し園内を見ても良いでしょうか?」
園長「はい。勿論良いですよ。」
〇ココのりんご園って...
ルミ隊員「知ってますか?ここ有名な所なんですよ!いつも大混雑で、最近は予約取らないと入れ無いほどなんですよ!行ってみたかったんですよね~!」
トーマ隊長「何ウキウキしているんだ。早く行こうじゃないか。」
ルミ隊員「知ってますか?銅のりんご、銀のりんご、金のりんごと、どれも凄い値段なんですよ!」
トーマ隊長「そ、それは、何円するんだ?」
ルミ隊員「私も良く知りませんが、確かプラチナのりんごは、1億、いや、1億以上の値段と言われていますよ。」
トーマ隊長「うひょー。そんな値段なのか...つまり、それ程美味しいと言う事だよな。」
ルミ隊員「はい。多分そういう事だと思います。あと噂なんですが、本当にプラチナの色という...ね。まぁとても信じづらいですよね。」
トーマ隊長「いや、信じるぞ。1億円以上のりんごなんて、ブラチナ色に違いない。怪盗オリーには絶対わたさないぞ!」
ルミ隊員「いいですね。その意気です、隊長!」
トーマ隊長「早速、プラチナのりんごを探しに行こう。」
ルミ隊員「でも、1年に1個しか出来ないんですよ。果たしてあるかどうか・・・」
トーマ隊長「あるさ!あるからこそ、怪盗オリーが狙っているのさ。」
ルミ隊員「あ、そうか。なんか、宝探しみたいでウキウキしますね。」
トーマ隊長「ああ、絶対、怪盗オリーより先にみつけてやる!」
〇宝探し
トーマ隊長「ふぃ~、疲れた~。プラチナのりんごどころか、銅のりんごすら見つからないじゃないか。」
ルミ隊員「仕方がないですよ。銅のりんごだって1日1個しかできないんですよ。」
トーマ隊長「広い!広すぎる!もう疲れたな~、ルミ隊員、休憩にしないか。」
ルミ隊員「は~、そうですね。美味しそうなりんごはどっさりあるのに、目的のりんごは全然みつからないですね。」
トーマ隊長「本当はプラチナりんごなんて存在しないのではないか?りんご園を繁盛させるためにウソの情報をSNSで流しているとか。」
ルミ隊員「そんなことないですよ。私達の探し方が悪いんですよ。頑張って探しましょう。」
トーマ隊長「う~ん、お腹がすいたなぁ。この、りんご、ひとつ頂くとするか。」
ルミ隊員「勝手に食べていいんですか?」
トーマ隊長「なーに、これだけあれば、りんごの1つや2つ食べたところで判りはしないさ。では、いただきまーす!」
あむっ、むしゃむしゃむしゃ・・・
トーマ隊長「いや~、腹が減ったときのりんごって美味しいなぁ、こんなに美味しいりんごは初めて食べたよ。ルミ隊員は食べないのかい?」
ルミ隊員「本当に食べたんですね・・・私は任務が終わるまで我慢します。」
トーマ隊長「りんごを食べたら俄然、元気が出てきたぞ。おりゃーたーとー、どこからでも出て来やがれ、怪盗オリー!」
ルミ隊員「なんか凄い!」
トーマ隊長「ルミ隊員!いつまでボサっとしているのだ!プラチナりんごを探すぞ~」
ルミ隊員「は~い(本当はもう少し休みたかったのに・・・)」
トーマ隊長「いっち、にっ、さんっ、しっ、頑張るぞー!」
ルミ隊員「・・・」
〇そして時が来た!
トーマ隊長「園長!見廻り完了しました!異常はありません・・・と、いうか、プラチナりんごは本当に有るのでしょうか。一所懸命探しましたが、見つけられなかったのですが・・・」
園長「ああ、そう言えば説明していませんでしたね。プラチナりんごは、普段は普通のりんごと変わらないのですが、暗くなるとプラチナ色に光るのですよ。」
ルミ隊員「そうだったのですか!それでは、いくら探しても見つかる訳ないですね。」
園長「説明不足で申し訳ございませんでした。そろそろ予告状の時間ですね。プラチナ色のりんごの所にご案内します。」
ルミ隊員「いよいよプラチナ色のりんごを見れるのですね。なんか楽しみ!」
園長「さ、さ、こちらです。この辺りにあるはずですが・・・」
トーマ隊長「あれ、ここは休憩した辺りではないか?」
ルミ隊員「・・・何か嫌な予感がするのですが・・・」
園長「あぁ、無くなっている!まだ予告状の時間より早いのに。トーマ隊長、事件発生です!早く犯人を逮捕して下さい!」
トーマ隊長「・・・はい、あ、実は・・・」
ぷっぷっー、「郵便です」
園長「郵便ご苦労さまです。やや!これは!」
親愛なるピパロンりんご園の諸君
私は世間を騒がす大泥棒、怪盗オリーである。
今日は、金のりんご、銀のりんご銅のりんご、プラチナのりんごを頂きに伺おうと思っていたが、なんと、トーマ隊長が先にプラチナのりんごを食べてしまったようだね。今日は私の負けだ。さすがの怪盗オリー様でも、トーマ隊長のお腹の中にあるものは盗むわけにはいかないからね。
また逢える日までを楽しみにしているよ。
怪盗オリー
園長「え、まさか、これは本当のことですか?」
トーマ隊長「こ、ごめんなさい、知らなかったんです!本当です。弁償します。でも、1億円は持ってないので、分割払いでいいですか。月々1万で、え~っと、何ヶ月でしょう・・・」
ルミ隊員「1万ヶ月です。833年かかりますが。」
トーマ隊長「うわー、そんなに長く生きられないよ~」
園長「プラチナのりんごはピパロン王に献上するものです。売り物ではありません。王様に相談されてはいかがでしょうか?」
トーマ隊長「は~、そうしてみます。」
ルミ隊員「打首かも知れませんよ。」
トーマ隊長「ひえ~」
〇ピパロン王の御沙汰
トーマ隊長「・・・と、いうわけで、間違って食べてしまいました。お許しください!」
ピパロン王「ふぉっ、ふぉっ、ふぉっ」
ルミ隊員「トーマ隊長はそそっかしいですが、いつも頑張って警備隊を率いています。寛大な措置をお願いします。」
ピパロン王「ふぉっ、ふぉっ、ふぉっ。
プラチナのりんごは、このピパロン王国のために頑張った人への褒美なのだよ。今年は誰にしようかと考えていたところだ。これからの働きに期待して、今年はトーマ隊長に褒美を与えることにしようかの~」
トーマ隊長「お、お、王様。ありがとうございます。」
ピパロン王「精一杯働くのじゃぞ。」
トーマ隊長「はい!」
ルミ隊員「良かったですね、トーマ隊長!」
ピパロン王「ふぉっ、ふぉっ、ふぉっ」
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