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地獄と遭遇

「だっは〜〜っ!死ぬかと思った…!」

「いや一人死んでるんですよ…」

「リ、リリスさんが…!」

「…回復ポーションいる?」


 転送された直後、視界に広がったのはダンジョン内のアステカ神殿的なデザイン…ではなく、既に一名のパーティメンバーを失い死屍累々なロビン達。


 おいおい、入った時点で満身創痍なのは流石に駄目だろう?



「すまん、助かる…」

「か、回復役のリリスさんが落ちちゃった…!ど、どうしますか…!?」

「おしディアくんだったか、君は一旦落ち着け」


 頭を抱えてあたふたとした様子の少年を地面に座らせつつ、手持ちの余りポーションを渡してゆく。


 同じパーティになっているので全員のHPが確認できるのだが、マジで地獄の様相を催している。

 ロビン赤色ディア黄色、ガスも黄色だが毒状態…たしか毒消しもあったかな?



「少し前から目をつけられてたのは気づいてたが、あそこまで目の敵にされてたのは予想外だった…」

「PK雇ってたとか言ってたな」

「プロの殺し屋みたいな野郎だ、相当の実力があった…いや、フルパーティ3つとPKに襲われて一人落ちただけで済んだのはいい方か」


 このゲーム殺し屋いるんだ…まぁ別ゲーにも居たけど。金取れるだけの実力あるっていうのは気になるなぁ…襲ってこないかな?


 ため息を吐きながらポーションを呷る3人。

 中身が空に近づくと共にHPがじわじわと上昇してゆき、空となった瓶が粒子になる時には全員緑まで戻っていた。



「…これ効力強くないか?」

「NPCの試作品だとさ。保管期間が短い代わりに効力は上位ポーション級」

「そんなレア物いいんですか…?」

「戦闘中両手塞がるから飲むタイミングないし、保管期間短くて売るんから使える時使わなきゃゴミになるんだよ」


 既に5回ぐらい同じやつ捨ててる。

 ごめんね薬屋のじいちゃん…でも「俺使えないからいいよ」って言ったのに渡してきたのはアンタだからね…


 というかこのゲーム割とポーション自体が貴重だったりする。

 回復魔法とかあるのに使うタイミング普通ないしね、力関係NPC≪モンスター≪越えられない壁≪ボスモンスター≪プレイヤーだから、そもそも世界観的にはモンスターと殺し合うプレイヤーが異常。


 ちなみにニーベルングの街は昔から強い戦士とかが住んでて、かつモンスターとも普通に戦う戦闘狂の街だったらしいよ。

 最終的には降伏したモンスター達と契約を交わして仲良く暮らすようになったんだって。異常かな?


 結果、その名残り的に武器装備道具の制作技術が今の時代まで引き継がれて来た事で、一般に希少とされるアイテムが潤沢にあるので、ここを拠点として活動するプレイヤー多いそうだ。

 タケルpedia引用。


 まぁそんな事はさておき、俺はロビンに問いを口にする。



「そんで、これからどうするよロビン」

「どうするって…」

「メンバーが落ちただろ、一人。それも回復役のリリスだったかが…中断してもいいと思うが?」


 おそらく過激派の別動隊が近くの街を張ってるだろうからリリスとやらはログアウトしてるだろうが、メンバー全員がいないと動画的にうま味が足りないだろう。


 それに、彼らは常に4人行動でチームワークを売りにするグループだった…はず、多分。


 うちであればアサヒがタケルがディナが俺が、誰が欠けようがそれぞれが補って動くし、そもそも個人で充分に強いので何も問題はないのだが、彼らは一人居ないだけで相当に支障が出るだろう。

 なので聞いてみた。 


 すると、ロビンは一瞬悩むような表情を見せてから口を開───こうした、それと同時。



「っ『大地よ盾となり我らを守れ』【大地大盾グラウンド・ビッグシールド】!」


 地面が突起し壁となり、全てのメンバーを覆う。

 直後響き渡る爆裂音と焦熱、振動。

 大地の盾は初撃を防いだものの、その破壊力に耐えきれず崩壊した。



「クソ、勝手に歩き回るタイプか…」

「言い忘れてた、すまない」


 俺は悪態をつきつつ両手剣を取り出し、ロビンは謝罪と共に装備したボウガンを仕舞って弓を取り出す。



「伝承武装変換【勝利の弓(ヴィジャヤ)】」

「『大地よ足元を掬え』【泥溜】!」


 カリナ勝ち唱えると黄金鎧の胸部装甲が剥がれて変質し、青みを帯びた弓へと変わる。

 そしてディアは先程の慌てようとは打って変わった冷静さで罠を張り、目前に現れた攻撃の主…獅子型の大型モンスターを転倒させた。



「話しは一旦、コイツ倒してから…」


 剣を構えて目前を睨みながら、俺は呟いた。

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