情報交換と交渉
「それじゃ、早速質問いいか?」
「何度も言うが俺達に拒否権は実質無い、聞きたければ聞いてくれ」
ロビンは話が早くて助かるねぇ〜
こういう断った方が損な話し合いでも嫌がる輩は有名どころでも結構いるからな…タイミングあれば大成しそう。
そんなわけなので、早速幾つか質問してみる。
「そもそも俺はダンジョンの場所がわかってないんだが、どこにあるんだ?」
「地図で言うとイングランド側にあるエルサレム国の内陸、ギリシア寄りの辺境だな…あ、旅人の手帳は読んでいるか?」
「読んでいるからそこは大丈夫なんだが…」
だが…ちょっと遠くないか?
たしかエルサレムはウェールズ側から見て北東側にある大国だが、ギリシアはその更に北東を治める国だ。つまりめっちゃ北の方。
それに対して、俺は現在始まりの街からちょっとだけ離れ、僅かにイングランド側へ進んだ場所にあるニーベルングが最大到達地点なわけで…
「これを一日で行くのは無理じゃないか?森埋めで馬とかも通れないし」
「ん?いや、アンタは俺達が送る申請を受ければ自動でダンジョンに移動出来るはずだが…」
「え、そうなの?」
「詳しくは知らないが、俺がダンジョンに行った時に出た画面だとそう書いてあったぞ」
【世界再世の鍵】関連全部知らねぇな俺。
そういえばヘルプとか詳細とか読んでない気がする、【断片を視た者】に気とられすぎてたなぁ…
ちょっと待ってと謝りを入れて称号効果の説明を読んでみれば、たしかに『この称号を持たないプレイヤーが難易度・異のダンジョンに挑もうとする場合ブロックが入り、所有者に通話機能を用いた通知が入る』『所有者とそのパーティメンバーは、通話側が通話後に送信できる参加申請を承諾する事で距離が離れていても攻略参加が可能(参加プレイヤーは全員がパーティメンバーとなるため、所有者パーティと挑戦者パーティで合わせて6名を超える場合転送できない)』と書いてある。
パーティメンバーと書いてあるし、もしかしたら後から記述した可能性もあるな。スレとかだと結構そういう報告あったはず。
「確認できた…今度称号と技能ちゃんと確認しよ」
「俺も人の事言えねぇわ、幾つか知らない内に増えてたヤツとか確認してないし…」
めっちゃわかるぅ〜イベントで虐殺した時に手に入れた称号も技能も一切確認できてない〜
というかポイントの交換もしてねぇな、何と交換できるんだろ。
まぁそれはともかく…聞きたいことはもう無いな!
自動で転送してくれるんだったら移動とかの問題皆無だし、今度は俺から説明させてもらおう。
「俺から聞きたいことはもう無いな、称号で全部解決された。次は俺から説明したい事があるんだが、割と重要だからしっかり聞いてくれ」
「アンタがそう言うってなるとかなり重要そうだな、録音していいか?」
なに、ディナみたいな事言うじゃん。
なんでみんなして俺の言葉信用しないん?
「別に問題は無いが、そんな長い話でも難しい話でもないぞ?」
「メンバーに忘れちゃダメな事は記録しろって言われてんだよ、忘れっぽいらしいから」
「…らしいとかじゃなく忘れやすいだろ」
「今日の予定忘れてましたもんねー」
「お、お話中だから…あんまり言うのは…」
もしかしたらヤツも同じタイプの人種かもしれん…
信頼自体は厚そうだが、悪い点は全員に認識されてるのとか仲間感強い。まぁうちのは人前で文句言わんが。
「おし、録音準備できた。もう説明していいぞ」
「了解…じゃあ早速説明すると、俺は一応難易度・異のダンジョンをクリアしてる。
それ自体はワールドアナウンスで伝わってると思うが、ダンジョン内での特殊な効果とかは公開されてなかったよな?」
「何かあったのか?」
「あぁ、だからそれについて説明する。
【古の墳墓】での事だから参考程度に聞いてくれ」
思考の端に「そういえばまだ考察スレに各種爆弾投げ忘れてたなぁ」とかつてのやり残しを想起しつつ、俺は【古の墳墓】での特殊デスペナルティを伝えた。
「【古の墳墓】は通常難易度のダンジョンと地続きになっていた。
通常のボスモンスターは登場せずに、続きのエリアが出現してその先にラスボスの墓守が待ち構えていたんだが…そこで特殊デスペナルティが発生した」
「内容は?」
「現実時間で3日のログイン制限、その解除後ゲーム内で一日ステータス半減・経験値会得不可・始まりの街からの移動制限がかけられ、詳細不明の悪状態効果【神王の呪い】が永続で付加されると表示されてた」
「3日…!?」
「今日かかるとイベントには参加できなくなる計算だな」
正直これはちょい面倒だ。
ログイン制限がなければ最悪死んでも「しゃーなし」で行けるが、イベントは普通に参加したい。というかある種義務的に参加しなければならないとされている。
流石にイベントで動画上げないのはダメでしょ〜?
まぁ俺は相当規格外性能じゃなきゃAI程度には負けんが。ロビン達は知らん。
「俺が前に難易度のダンジョンをクリアしてるのはバレてるからな、言わなかっただなんだで揉めるのは面倒だから伝えたかった」
「…情報感謝する」
「アンタから聞きたいことは?」
「得には無いが…3日の制限か、キツイな」
「ここだけの話、難易度・異のダンジョンにはシナリオ的に大きい隠し事があるみたいなんだよ。だからなるべく隠すし、難易度上げて特殊効果も用意して日和らせる。
さて、無いなら条件の話をしようか?」
悩むような表情で固まる彼へ、俺は詰め寄るように言葉を続ける。
どうせ断るも断らないもコイツ次第だしな。
「俺が今からダンジョンに潜る条件は、ここにいるカリナも一緒に連れて行く事だ。
ちょうどアンタ達も4人だし、飲むっていうなら早速行ってもいいぞ」
その言葉を耳にしたロビンはギョッとしたような顔に変わると、「嘘だろう」と問いかけるように俺の顔を見つめていた。
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