ダンジョンと相会
「…わかった、だがまず顔を見て話し合いたい。伝承図書館の会議室集合でいいか?」
難易度・異という言葉で、俺はようやく納得を抱く。
なるほど〜【世界再世の鍵】の称号持ってると、難易度・異のダンジョンに挑んだヤツが通話できるようになるのかぁ〜!クソ仕様ッ!
こんな物なら貰わなければよかったと内心吐き捨てるが、同時に「まぁ絶対に難易度・異のヤツ挑める訳だし…」とプラマイでマイになる計算式を脳に浮かべて、諦めと共に集合場所を男に伝える。
『急ぎたかったが…まぁいい、わかった。なるべく早くしてくれ』
不満げな男に「できればな」と返しつつ、面倒な通話を終了させた。…というか、結構すぐ見つかるもんだな難易度・異。
マップ開放から一ヶ月程度だろ〜?多分世界に5個しか無いダンジョンの大盤振る舞いかな?
「…えっと、ジークさん。通話終わったの…んですか?」
「終わったから気にしなくていいぞ」
五大神王の今後を憂いていると、目前から無理に敬語を使ったカリナの声がかかってきた。
どうやら「気のしれない他人に聞かれている」という状況だと、緊張して自動的に敬語になってしまうらしい。
なお、敬語時には緊張からか挙動不審になる。
全身に金の鎧を纏った挙動不審の噛み噛み敬語不審者の爆誕である。
まぁそんな事はさておき…カリナどうしようか?
ランも五大神王のダンジョンには挑んでいる訳だし…アイツと同じくらい強い!って太鼓判押すには丁度いい気がする。
とりあえず誘うだけ誘うか。
「カリナ、一旦休憩取ろうとしたんだが予定が入った。ダンジョン攻略の依頼なんだが…話によってはお前も参加できるかもしれない。
休みたいとかなければついてくるか?」
「ん…そうだな、わかった。ついて行こう」
よし、それならさっさと行くか。
話でうまいことカリナ入れられるようにしよ〜っと!
▽▽▽▽
「ジークだ、グループで配信をやってる…まぁ知ってくれてるみたいでありがたいな」
「アンタ達しらないヤツはAVOに居ないよ…俺はロビン、有名じゃあないが一応配信をやってる」
この前ランと後半配信を見た会議室に、俺とカリナ、そして画面先の通話相手…もといロビンとそのパーティメンバーの合わせて6名が集まった。
それでもまだまだ広い辺り流石会議室。
「配信者のロビンはどこかで聞いた覚えがある、『ハッピーフレンズ』のリーダーだったか?」
「知ってもらえてるのか、光栄だな…あぁ、後ろにいるのがメンバーだ」
「フェルで〜す」「ガスだ」「ディア…です、よろしくおねがいします」
「おお、よろしく!」
あってた!よかった〜
カリナ育成の参考に弓使ってる人がサムネに写ってる動画何本か見たからな…たしかロビンは結構上手かった気がする。
お、なんか最初よりちょっとだけ表情明るくなったな。通話の時よか、印象よくなったっぽい?
「俺の後ろにいるのはカリナだ、人見知りだからあんまり気にしないでやってくれ」
「よ…よろしくおねがいします」
一瞬だけ顔を見せ、早口で挨拶を交わしそそくさと俺の背に隠れるカリナ。
う〜ん、俺には初対面でめっちゃ話してたし、別に人見知りじゃない筈なんだが…なんか話したがらないんだよなこの子。
敬語すぐ噛むのが原因か?違うか…
「挨拶も済んだし早速本題に移るか?」
「話が早くて助かる。何度も言うが急いでてな…」
「その急いでる理由は聞いても?」
「単純に予定がある。今日を逃すと次は明後日以降だが、そうなると別の奴等が見つけかねない」
それはまぁ切実な理由というか…
あんまり人気無いと話題性あるタイトル以外伸びにくいもんな…攻略勢で取り合いって訳だ。
「…まぁアンタからすればどうでもいい話だな」
「言っちまえばな、予定あったら断ってたかもだ」
別に俺がコイツらに媚び売る必要無いからな。
コイツらと一緒に潜る必要性があるわけでもないし、今というタイミングじゃなくて予定があれば断っていただろう。
ロビンは一瞬暗い表情で俯くも、直後なにかに気付いたように顔を向けてきた。
「断っていたかも…という事は、いいのか?」
「ああ、今は断る理由が無い…もっとも、一つ条件を飲んでくれるならば、だがな」
「…!」
何を自分に求められるのか、その緊張ゆえかゴクリと唾を呑み込む彼に、俺は迫真の表情で迫り───。
「ま、俺もアンタもまだ互いについてよく知らない…情報隠したままじゃフェアじゃないだろう?
もう少し話そう、それから条件は伝えるよ」
「…決定権はアンタにある、何が聞きたいんだ?」
ため息を吐きそうな表情でコチラを見つめるロビンに、俺はニヤリと微笑んだ。




