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五大神王とアイテム

『ワールドアナウンス:プレイヤー名『ジーク』と『ラン』が、【古の墳墓・異】のボス『神王の墓守・黄金立像』を討伐し完全攻略しました』

『完全攻略されたダンジョンは消滅し、例外を除き挑戦出来なくなりますが、通常の【古の墳墓】には問題なく挑戦が可能です』


『新しく称号【断片を視た者・聖(道)】を会得しました

称号効果:五大神王・叡智王の物語【起】を解放』


『新しく称号【断片を視た者・陽(壁画)】を会得しました

称号効果:五大神王・太陽神の物語【承】を解放』


『新しく称号【断片を視た者・始(霊廟)】を会得しました

称号効果:五大神王・始皇帝の物語【転】を解放』


『新しく称号【断片を視た者・神(回廊)】を会得しました

称号効果:五大神王・全能神の物語【結】を解放』


『新しく称号【断片を視た者・天(宝物殿)】を会得しました

称号効果:五大神王・天陽王の物語【改】を解放』


『挑戦プレイヤーのレベルを判定…成功』

『挑戦プレイヤーのカルマ値を判定…失敗』

『挑戦プレイヤーの貢献度を判定…判定不可』

『挑戦プレイヤーの戦闘能力を判定…成功』

『挑戦プレイヤーの累計プレイ時間を判定…成功』


『総合判定によりプレイヤー名『ジーク』が選ばれました』


『新しく称号【世界再世の鍵】を会得しました

称号効果:この称号を持つプレイヤーがいない時、難易度【異】のダンジョンを完全攻略出来ない。

また、プレイヤーがゲーム内時間【1ヶ月】ログインしなかった場合、自動で称号は放棄され、クリアした難易度【異】のダンジョンが再発生する』



「お、おぉ…なんか沢山出ましたね…?」 


 MP全てを消費し、ブリリアドーロやデュランダル、具現化した伝承全てが粒子と化したすえ顔面から落下したラン。

 ちょっと心配したのだが、本人は痛がる事なく平然とそう呟いた。


 MPが無くても英雄の特性は継続されるのか…?

 それともコイツが変なだけか…痛覚制限もあるし、あんまり参考にはならないな。



「内容は俺も気になるんだが…それよりまずアレだな。ほれ、ラン早く行くぞ」


 柄でもない考察は後にして、一向に起き上がらないランの手を引きながら俺は黄金の棺を指さす。


 挑んだ時点でワールドアナウンスが出る程の重要ダンジョン、そのラスボスが守っていた棺なのだ。

 きっと何かしら重要に違いない。



「ありがとうござ、うわっ!」

「っと…大丈夫か?」


 差し出した手を掴み、感謝の言葉を口にしながら立ち上がろうとしたラン。

 しかし、突然なにかに躓いたように転ぶと、俺の胸に飛び込んできた。


 他者干渉保護(セクシャルガード)かけてるタケルとかだったら後方の壁に吹っ飛んでる所だったな…


 さて、【最上位鑑定トップ・エスティマチオネ】…あれ、デバフじゃないな…?


▽▽▽▽

状態:魔力過剰消費

効果:移動行動不能

詳細:MP上限値を超えた行使による身体異常。

足りないMPは残存HPから補填されるが、残存値が最大HPから見て半分以下になる場合は発動出来ず、この状態異常のみが発生する。

▽▽▽▽


 悪状態(バッド・ステータス)かぁ…

 このゲーム、異常効果(デバフ)向上効果(バフ)は魔法や魔法技能(スキル)で解除出来るんだが、状態(ステータス)効果は街にある神殿に行くか効果時間を使い切る以外では解除出来ないのだとアサヒが言っていた。


 となるとランは一旦放置…ってのは流石に可愛そうだな。

 折角協力してここまで来たんだし、俺としても少し心苦しいものがある。別に運べない訳でもないし。


 ということで、「よっこいせ」という掛け声と共に、俺はランを背負った。おんぶである。



「背負われてる…」

「不満か?肩車でも横抱きでも何でもいいぞ」

「いえ、アキにもよく抱えられるんですが、基本的に脇なので…」


 それで高速移動とかするものだから中身がシェイクされて気分が悪いなんてものじゃ済まないんですよね、ハハハ…と、よほど辛かったらしい思い出を乾いた笑いと共に呟いていた。

 まぁローランも脳震盪とかはおこす事もあったらしいからな…仕方ないのだろう。仕様的に。


 さて、そんなわけでアキを背負ったまま棺の前へ辿り着いた。


 棺とは言ったが…まぁ9割方ツタンカーメンなんだよな?


 複数の厨子に囲われた中、王権を示す錫杖を腕と共に交差させネメスを被ったファラオの容貌を投影した3重の棺。

 その全てを開いたその先で、最後の影は姿を見せた。



「おぉ〜」

「まさに金銀財宝ですね!」


 包帯に包まれ、いずれ蘇る時を待つ王の体。

 その体には黄金に輝く首飾りや、眼球ほどの大きさもある宝石によって装飾された腕輪の数々が煌めき、死してなお王の体は神々しさを放っている。


 これを持っていくのは本来盗掘で犯罪だが、これはゲーム。

 しかも、ボスを倒してこれを開いている訳で…これは正当な権利であると言えるのではないだろうか。俺はあると思う。



「よし!早速山分けだな、ランはどれが欲しい?」

「あ、仮面ほしいです!ツタンカーメン!」

「じゃあ俺はこの宝石だらけのネックレス…」


 軽く鼻歌を口ずさみつつ、ミイラの体から装飾を剥がしてゆく。


 黄金の首飾り、白銀のナイフ、宝石製の冠、ダイアモンドの指輪、巨大なルビーの腕輪、おっ!アダマンタイト製の剣!


 確かアダマンタイトも未発見だったはず…俺は両手剣だから使わないが、オークションにでも流せば相当の値が付くだろう。

 笑顔が止まらんなぁ…!


 クエストは基本慈善事業である為、金銭的な報酬は出ない。

 通常は討伐したモンスターの食材系・素材系ドロップを売ることで金を稼ぐらしいが、俺はあくまでもモンスターの無力化と引き渡しを延々と行っていた為、売れる素材はほぼゼロだ。


 ボスドロップの素材は売りたくないし、何匹か倒した通常のモンスターの食材は大半素焼きで食べちゃったからね…


 魔眼大蛇が貯めていた金を貰えたので本当に金が無いという訳ではないが、ミスリル製の両手剣にかなり持ってかれたので余裕もない。


 ので、予想を超えた臨時収入はとても嬉しい。

 まぁ全部貯金行きなんだけどね、買いたいものあるわけじゃないし。

 いずれ買いたいものを買う為の金だ、多分。



『現存伝承【五大神王・天 ラムセス2世のミイラ】が獲得出来ます。

 プレイヤー間で話し合い、獲得するプレイヤーを決めましょう。


 獲得しますか? YES/NO』


 おっと、なんか出たな?

 伝承関連は確実に重要アイテムだ、考察スレや検証スレを冷やかす為にぜひ欲しいが…



「ラン、この重要そうなミイラ貰えるみたいだが欲しいか?」

「気持ち悪いのでいいです…」

「多分重要なものだが、それでも?」

「重要なら、それこそジークさんが貰ったほうがいいんじゃないですかね。俺はただゲームを遊ぶだけなので」


 そこまで言ってくれたなら問題ないな。いつか欲しいって言ってきても渡さないからな。

 内心で確認するように呟きながら、俺はミイラを仕舞った。



『アナウンス:【五大神王・天 ラムセス2世のミイラ】の回収を確認しました。

 この報告より一分後、ダンジョン内にいるプレイヤーは自動でダンジョン入口に転移されます』

『残り時間 60…59…58…57…』


 …この残り時間、そういう事だな?


 振り返れば、地面に倒れ伏す曲がった巨大立像と両断された巨大立像を始めとして、キラキラと輝く貴金属の宝物の数々が目に入る。


 おそらくは超古代の品々であろうし、これを売ればかなりの額になるだろう。

 欲しいなぁ、金。無限に欲しい。


 ついでにゲーム内のイベントが進むかもしれないし、あえて何もしないのはあり得ないな。



「ラン、手当り次第にあそこの宝仕舞うぞ!」

「やっぱりそういうことですよね、このカウンドダウン!」


 俺はまず倒した黄金立像を掴み───仕舞えた!

 やはりこのカウンドダウンは、宝物を持っていけるフィーバータイムの制限時間という訳だ。


 それなら、全霊を尽くす他無い!


 とりあえず、手に取りやすい大きな物から仕舞ってゆく。

 鎧に刀剣、盾、絵画、手に取れる物は例外なしに全部だ、残り時間40秒。


 魔法技能(スキル)をつかおうとしたが、流石にそれは制限されているらしく、体表を巡る魔力の粒子が霧散し、発動がキャンセルされた。

 残念だ、古の光(アンティファ・ルクス)とか使おうとしたのに…残り30秒。


 背負った状態ながら、ランも俺と同じように手に取りやすいものを優先して取ってくれたため、全体を2周もすると宝物殿から大きな物は無くなった。


 となれば、次は道具類だな。


 先程まで仕舞い続けていた物のほとんどは、鎧や剣を含めて室内装飾専用のアイテムだった。

 つまり、武器装備の形をしていても装備はできないアイテムだった訳だ。


 だが、一部のアイテムは実際に装備可能な剣や鎧もあった。

 それがあったという事は、他にも装飾以外のアイテムがある可能性は非常に高いだろう。


 これこそ【最上位鑑定トップ・エスティマチオネ】を使えば楽なのだが…ダメかぁ、そっかぁ…


 視界に刻まれる極小の魔法陣も、【古の光(アンティファ・ルクス)】と同じように砕けて霧散する。

 まぁズルいし仕方ないけどな…


 実際に使える道具類と使えない室内装飾類、売却専用アイテム…それらの区別が俺に出来るかといえば当然NOだろう。


 とはいえ、時間制限が原因で道具を取り逃すというのは掌の上で転がされているようで嫌だ、腹立つ。

 俺はなるべく運営をぎゃふんと言わせたい男ジーク。

 それがこの程度の事で諦めるなどありえない、あってはならない。

 俺はそれに、全力で立ち向かう────ッ!


 全ての道具を回収しつくしてやるからなぁッ!!



▽▽▽▽


 なお後日、転移した先で二人でちゃんとアイテムを2分割した際に、内訳を調べた所、

 俺が回収したアイテム153個のうち、6個が装飾装備、4個が消費系アイテム、21個が素材系アイテム、累計装備回収個数は32個であったのに対し、

 ランの回収したアイテム71個のうち、19個が装飾装備、11個が消費系アイテム、34個が素材系アイテム、累計装備回収個数は55個だった。


 …人間が持つ純粋な運が反映されている気がする。 

ブクマ・ポイント・いいね・感想等いただけると幸いです!モチベが上がります!


今日明日は20~23時の連続更新です!

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