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会議と伝承技能

 始まりの街へ移動した直後、再びプレイヤーが集結する前に俺達は街の屋根を飛び移りながら最初に情報共有をした練習場(手を繋いだプレイヤーのみが同じ場所に入れる)に移動した。

 ほぼ隠れ家になってるな?



「とりあえず、ボクは最低でもイベントまでは単独で行動しようかな」


 そうして始まった方針会議のはじめ、アサヒが突然なんでも無いように言うと、全員が首をかしげた。



「へぇ、なんでだ?」

「なんでって、みんなイベントに参加するだろう?」


 それとなくだとか、無駄に気を使う意味もないので素直に問うと、アサヒは逆に問いかけて来る。



「そうやなぁ」

「まぁ、そうですね」

「当然だな」

「じゃあ、ボクたちは同じレベル帯になれば敵同士って訳だ。敵に手札を見せるのは得策じゃないだろう?」


 その言葉に二人は「あぁ〜」と納得の声を上げた。

 …ふむ、ふむふむ、なるほど?



「…どうやら俺が知らんうちにイベント日時と詳細が公表されたらしいな?」

「どうやらキミは通知設定も無効化してたみたいだね?」

「うん…」


 「ほんにアホやわぁ」などと煽ってきたタケルに雑魚の素材を投げつけながら、ルール詳細を読む。

 ほぇ〜なるほどなぁ、イベントのポイントは特別な武器とか技能(スキル)に出来るのかぁ〜!

 頑張らないとだなっ!



「まぁ害ありつつ利もありってところか」

「全員の動画を楽しみにしてる人もいますからね…」

「まだまだゲームは続くんやし、今回くらいいいんと違う?」


 俺としては、別に視聴者を満足させるとかよりゲームが楽しければいいのだが…ディナは悩んでるみたいだな。

 確かに、初めてのAVO動画が個人動画となってしまうのは、初速を落とす事に繋がりかねない。

 しかし、敵になりうる奴らの前であえて切り札見せたくないし…



「…まぁいいか、個人動画でも一定数は見るだろうし。

って事でイベントまでは全員でレイドボス倒すとかの動画はナシで」

「「「了解」」」


 そんな感じで、ゆる~く方針会議は終わりを告げた。

 別に誰も堅苦しいの好きじゃないからな、特に俺が嫌いだからこんなものでいい。

 方針会議が終わったので、なにも報告がなければ各自自由解散という形となる。

 


「個人でダンジョンクリアした動画上げていいかな?」


 ディナとタケルが本職の都合を鑑みて「今のうちにレベル上げを」と言って練習場から出て行き、一人残ったアサヒは動画の投稿許可を求めて来た。


「いいけど、多分めっちゃ見られるぞ?」

「元々ボクたちの手札なんて割れてるようなものだし、()()()()は使ってないからね」

「それならいいか、データくれ」

「キミが初クリアの瞬間を収めそびれたからね、最低限補わないとだ」

「罵倒をくれとは言ってないが?」


 俺の確認に対し、彼女は別にどうでもいいと言うように答え、俺もそれに同意してデータを受け取った。


 そういえば、俺もクエストの化け物ども倒した動画全部編集しないとだな…

 通常クエストは上手い具合にいいとこだけ切り抜いた総集編的にするとして、ダンジョンクエストは…



「…ふふっ、本当に伝承クエストを受けたんだね」

「なんだよその言い方は」


 座り込んだまま思考を巡らせていると、やけに顔を寄せたアサヒが微笑みながらそう囁いた。

 普通にガチ恋距離だ、トゥンク…ってなっちゃうぞ?



「伝承クエストで技能(スキル)が手に入るなんて、誰も公表してないからね。

キミと久々に、それも存分に遊べそうで嬉しいんだ」

「あぁ…確かに、H()G()S()O()終わってからまともにお前と対人やってなかったな」


 とはいえこの小娘、可愛い顔してナチュラル戦闘狂である。

 俺がこいつと初遭遇した『ホーリーグレイル・サバイバル・オンライン』では、並み居る強豪を剣一本で打倒し、一年のあいだ頂点に輝いていた。


 純粋なアバター適応能力で言えばそこらのプロ以上だろう。

 もっとも、正確な年齢こそ知らないが、彼女はかなり若い…何なら学生とかまで有り得るので、純粋に経験値が足りないというのが欠点だが…にしても異常に強いわこの子。



「なんなら見とくか?お前の伝承技能(スキル)は動画で見てんのに、俺の見せないってのはフェアじゃないだろ」

「いや、いいよ。ボクは初見でキミを攻略してみせるからね」

「へぇ、言ったな?」

「言うとも。キミは絶対、僕以外には倒させないからね!」


 そう言って、俺達は互いに睨みながら笑う。

 決戦は一週間後、第一回公式イベントだ!!

ブクマ・ポイント・いいね・感想等いただけると幸いです!モチベが上がります!

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