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ラストスパート(18)

 右側を走る恵と有紀。奇妙な連携が妃美香を阻む。

 

(おもしろいですわね。連携してわたくしを押さえ込むつもり?有紀もよく承知しましたわね)


 妃美香がチラリと二人に目をやった。


 恵の前輪が妃美香の前方に出る。とてつもない厚い壁が恵を押さえ込む。何もないはずなのに、押さえ込まれている。力を抜けば、あっと言う間に取り残される感じだ。いや、実際、妃美香は恵と同じ速度で走っている。いつ巻き返されてもおかしくなかった。力の出し惜しみは無しだ。ここで妃美香をブロックしなければ、この先の林道での上りはついていけない。恵らしくない弱気ともとれる思いが脳裏に浮かぶ。

 妃美香の横に並び、その力量を初めて感じ取って微かに腕が震えている。


(なに?なぜ震えている。どうして奈美ちゃんが見えるの?)


 恵は鈍くなりそうな動きを何とか踏ん張り、奈美の声を聞こうとした。だが、声は聞こえてこなかった。


 目の前に林道の入り口が迫る。


 妃美香は恵の動きの変化を見逃さなかった。


(あら、どうしまして?ここで力尽きて。がっかりしますわね。これからですわ)


 妃美香は恵の差を何事もないように詰めていく。再び並んだ二人が肩を並べる。ぶつかり合うくらい接近する。


(なにくそ。怯むな私、ここは取らないと)


 恵が入り口に突っ込んでいく。妃美香がかわして横に並ぶ。二人が流れるように入り込む。瞬間、恵は感じた。林道入口から続く勾配。タイヤがわずかにスリップした。妃美香はその隙を逃さずに加速を増す。わずかな隙間をすり抜けて横にいた妃美香が瞬時のうちに前に出る。かわしていく妃美香が放つオーラは恵を凍りつかせ、その目は妃美香を見送る事しかできなかった。全てを押さえ込んでしまう白とも黒ともいえない重い絶対的なオーラの前に、恵は動くことができなかった。心臓を握られたような息苦しさと恐怖が恵を襲う。

 

 妃美香が完全に林道を制した。


(さあ、どうしますの。水城恵。私にひれ伏しなさい)


 ギヤを落とし、妃美香は林道を駆け上がっていく。


 恵と有紀が後に続く。その後に「602」と「603」がくる。


 恵の追撃の光は絶たれてしまった。

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