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ラストスパート(4)

(まいったなあ。出遅れちゃったかな。有紀ネエ、恵ネエは前にいるのに)


 芽久美はアップダウンのコースを走りながら、ムゥーっと口を尖らせて前を見る。目の前には「605」、「606」の選手が走っている。赤のウェアが精彩を放つ。


 芽久美のスタートはけして失敗ではない。むしろ、いつもよりもいい感じである。前回の大会なら3番手につけていたことだろう。だが、今回は違った。 

 スタート直後、妃美香を先頭に赤の集団が素早く飛び出して行った。それに負けぬ勢いで、有紀と恵が追って行く。加速の度合いが端から違っていた。それでも芽久美が先頭集団の中で走っているのは健闘したと言える。


 追い抜きにかかる芽久美に「606」の選手が加速して阻止する。まっとうな勝負ではおいそれと抜かせてもらえなかった。


(えー、速いなあ。もう。急に出てきて。妃美香ネエなに考えてるのかわかんなーい)


 芽久美はプゥーっとした表情で「606」を追いかける。後ろからは社会人の選手が迫っている。追いつかれないようにペースを上げていった。


 クネクネのコースに入る。芽久美が追いつこうと「606」の背にとりつく。それを察知してペースを上げてカーブを曲がる。ロードの選手だけあってペースを掴むのも上手く、体力も芽久美を上回っている。芽久美は完全に行き詰まってしまった。すごすごとさがり後ろにつく。


 こんな時の芽久美は意外にもお気楽的である。焦ることなく、熱くなることもない。相手について行くだけの楽な走り方をする。相手はその走りを勝負を諦めたものと思いこむ。舐めてかかる。だが、芽久美は待っているだけなのだ。自分が得意なところに来るのを。

 

(このままじゃ、抜けないなあ。抜けるところ・・・・・・ロードにないものって、なあんだ?あれだあ!)


 芽久美は鼻歌まじりでペダルを踏み込み「606」に迫っていく。

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