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ラストスパート(1)

 開会式が始まる。その後は、恵の出場するCクラスのレース開始へとつながる。


「これ食べて」


 美樹雄が栄養補給の携帯ゼリーを渡す。恵はそれを受け取ると、素早く口に含んだ。冷たい感触が熱くなった喉を冷やし、マスカットの風味が口に広がっていく。


「Cクラスは短期決戦だから、はじめから全力で行くことになります。スタートから神沢に食らいついてください。出遅れると命取りです。遅いグループに巻き込まれると挽回は絶望的だから」

「うん。分かった。ありがとう」

 

 美樹雄の言葉に頷くと恵は一気にゼリーを吸い込み、パックをクシャッと握った。


 開会式が終わり、Cクラスの集合がかかる。


「では、今回も行ってきます」


 恵は、昨日と同じように敬礼ポーズをしてヘルメットを被った。フルフェイス型ではなく、芽久美がエイリアンと言っていたスポーツタイプのヘルメットだ。


「水城さん。今回はどうも様子が変です。神沢だけじゃない。取り巻きもいる。それに、有紀もメグも加わる。他にも多くの力ある選手がいます。スラロームは1対1のレースだけど、クロカンは1対多数。周りに気を配らないといけません」

「ありがとう、美樹雄。ワクワクするし、やばい感じもする。なんだろうね。この胸騒ぎ。昨日とは違う何かがありそう。でも、たぶん大丈夫。まあ、どのみち私は全力でいくしかないもん」


 恵はガッツポーズをして元気をアピールすると奈美がピョンと飛びついてきた。いつもの奈美にもどり黄色のウェアが似合っていて可愛く笑っている。


「恵ちゃん。私、恵ちゃんと走りたい。このレース見たらきっと、走りたくてたまらなくなる。応援してるから」

「奈美ちゃん、いつもありがとう。元気出るよ。()()()に、一泡吹かせてやる。朝見校なめるなよ!」


 ギュッと拳を握りしめ、ニヤリと奈美に笑う。

 

「なあ、今日は例のやつやらないのか」


 瞬がテントを出ようとする恵を呼び止めた。


「あっ、そうだあ。じゃあ、例のやついきましょうか」


 円陣を組む。


「朝見校!ファイト!めざせ、ナンバーワン!さらなる高みへ、ゴー!」

 

 奈美、美樹雄、瞬は恵に応援の気持ちを込めてハイタッチをして送りだした。


 その気持ちを受け取ったと伝えるように、恵は後ろ手にVサインをしながらテントを出ていった。


 まさに強大な帝国の女王に挑む若き新米騎士。美樹雄は恵の後ろ姿にそれを見ていた。


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